北里大学東洋医学総合研究所は1972年、診療部門、研究部門および教育部門を有するわが国初の近代的な東洋医学の総合研究所として設立されました。伝統医学を継承し、設立以来、西洋医学的見地に立った漢方薬のエビデンス*確立に努め続けてきました。1976年には、41処方・54品目の漢方エキス製剤が保険収載されましたが、本研究所の設立がそうした漢方薬の再評価の一助になったと言われています。1986年には、日本の施設として初めて、世界保健機関(World Health Organization:WHO)の伝統医学協力センターに認定され、漢方医学の国際化にも貢献することになりました。
本研究所の4代目所長・花輪 壽彦先生は、国内外の医療者に漢方医学への理解を促すために、漢方治療の科学的エビデンスの集積を目的とするEBMセンター(臨床試験部門)を創設。 同センターでは、ヒトの瞳孔反応から交感神経と副交感神経の状態を評価する方法の開発をはじめ、脈波伝播速度や心拍変動の測定など、様々な西洋医学的手法を取り入れ、漢方治療の有効性について検証されています。
*エビデンス:大規模臨床試験の結果を基とした科学的根拠のこと。