インタビュー
つながって支える
自分らしい妊活
-正しい情報と頼れる仲間-Vol.1
妊活研究会
東尾 理子さん、森 瞳さん
ご自身の不妊治療の経験を通じ、治療で不安に、そして孤独になりがちな人たちをサポートしたいという思いから、プロゴルファーの東尾理子さんと、NPO法人umi理事長の森瞳さんが、2021年10月、コミュニティー「妊活研究会」を立ち上げました。妊娠出産を取り巻く問題に果敢に取り組むお二人に「いま」「これまで」「これから」について伺ったお話を3回にわたり紹介します。(取材日時:2022年12月20日 取材場所:カフェ ベルアメール)
今回は第1回目、妊活研究会の「いま」についてです。
妊活研究会とは
- プロゴルファーの東尾理子さんが主宰している妊活に関する会員制オンラインサロン。
全国の妊娠治療クリニックの治療実績、クリニックの先生✕東尾理子の対談動画、専門家による妊活講座、オンライン/オフライン両方の交流会を開催している。
妊活に役立つ基礎知識や意外と知らない豆知識まで受け取れるコミュニティ。 - 妊活研究会ホームページhttps://tgp-ninkatsu.com
- 妊活研究会オンラインサロンhttps://lounge.dmm.com/detail/3862
- 妊活研究会インスタグラムhttps://instagram.com/ninkatsukenkyukai?igshid=YmMyMTA2M2Y=
東尾理子さんが月1回、不妊治療のクリニックや病院を訪れる「突撃対談動画」を配信
妊活研究会のアピールポイントと現在の活動内容について教えてください。
森そもそも私たちの活動をアピールしなくてもいい世の中をつくりたくて、私たちは活動しています。できれば自然に、何の滞りもなく妊娠できればいいのですが、それができずに悩んでいる方が、思ったよりもすごくたくさんいるという事実を知って、それをサポートするものが必要だなということで、いま活動をしています。
具体的な活動としては大きく6つあります。不妊治療のために、初めてクリニックに通おうと思ったとき、婦人科と不妊治療をしているクリニックの何が違うかもわからない方がたくさんいます。また、不妊治療専門のクリニックがあるとわかっても、たくさんある中で、どこに行ったらいいかがわからない。そこで、クリニックの得意、不得意などを、皆さんにわかりやすく紹介したいということで、活動の1つ目が、月に1回、理子さんが「突撃!隣の晩ご飯」的な感じで、病院やクリニックの先生を訪れ、いろいろ質問する突撃対談動画を配信する「映像で繋がる」です。
妊活研究会 6つの繋がり
- 映像で繋がる
- 情報で繋がる
- 専門家とつながる
- リアルで繋がる
- 掲示板で繋がる
- みんなで繋がる
東尾この動画は今どき珍しく編集していません。そのままをお見せすることで、先生のお人柄や雰囲気がよくわかると思います。文章だけでは見えない部分を、お届けできたらと思っています。
病院紹介の取材先は、どのような基準で選ばれているのですか。
東尾始めたころは、ご紹介いただいた先生のところに取材に行っていましたが、そのうちにいろいろな先生や看護師さんがご紹介してくれるようになり、福岡や大阪、先週は茨城など、全国で取材させてもらっています。大きな病院から不妊治療に特化したクリニックまでさまざまです。今月(2022年12月)の動画は、田園調布にあるクリニックで、早期閉経といって、早発卵巣不全の治療に特化したクリニックを取材しました。
始めてちょうど1年で、12施設になりますが、全国で不妊治療をしている施設は600ぐらいあるので、目指すは全施設制覇です。
森中には取材を引き受けてくれないところもあるのですが、理子さんが行くと、不思議と先生方は笑顔になります。しかも先生から聞き出すのが上手で、先生や施設のポジティブな面を、会員の皆さんによく伝わるように引き出してくれるので、あえて編集せずに配信しています。
東尾患者さんは病院に行っても、院長先生に気持ちを察してもらえるとは限りません。そのため、院長先生にその施設の方針を伺い、施設の特長が伝わるようにしています。
森活動の2つ目は「情報で繋がる」です。普通に治療していたらなかなか見えにくいけれど重要な情報を、厚生労働省のホームページから抽出し、それを皆さんと共有しています。
東尾自施設のホームページ視点にはない、もっと公平な立場から病院の実績が見られるようにと考えました。
森2022年4月から不妊治療が保険適用になりましたが、3月まで保険適用についての情報は公開されていませんでした。「保険適用になったらどうなるのか」、皆がわからなかった時に、私たちはいち早くその情報を入手し、皆さんに提供しました。賢い患者になることは治療に主体的に取り組むために重要なポイントだと考えています。さまざまな情報にアンテナを立てて、皆さんに早く情報提供できたらと思っています。
活動の3つ目、「専門家と繋がる」というのは、どういったことでしょうか。
森例えば、「私は今日、注射を打ち忘れたけれど、どうしたらいいか」、「治療がうまくいかないから、病院を変えたほうがいいのか」などの個人的な悩みや質問、相談を専門家に聞ける場を設けています。会費とは別料金になりますが、一対一で直接専門家と繋がる場をつくっています。
東尾なぜこういう場をつくったのかというと、もともとこの治療自体、カミングアウトしていない方が多く、周囲の人に言いにくく、相談しにくい。気軽に友達にも言えない方が多いからです。
また、診察室に入ると、聞きたいことの半分も聞けず、診察室を出てから、「あれも、これも聞きたかった」という方も多いので、それをフォローして差し上げられたらと思い、この場をつくりました。
森4つ目は、目玉企画のお茶会「リアルで繋がる」です。月に1回、皆さんと交流できる場をつくっています。私、理子さん、スタッフが自分の経験を話したり、皆がしている治療法を聞いたり、悩みを共有しています。
そしてリアルのお茶会だけでなく、平日は毎日、Zoomを使用してお話し会を開いています。「今回採卵で5個卵が採れたよ」とか、「移植で今回だめだった」とか、いつでも、どこでも自分がどんな状況でも、悩みを分かち合え、励まし合える場をつくっています。
オンラインのお話し会は、どなたがホストになるのですか。
森メインは私、理子さん、スタッフの3人です。ただ、もう始めて1年が経ち、最近は頻繁に参加してくださる会員さんが増えてきました。そういった方の中からスタッフを募って、その方にホストを務めてもらうこともあります。また、皆でテーマを考えて話し合ってくださるので、私達がちょっと離れていても、会員さん同士で会を盛り上げています。
東尾お話し会が育ってきている、皆で育てている感じです。
森5つ目の活動は、「掲示板で繋がる」です。オンラインの中に掲示板機能があり、皆がいつでも書き込めます。ある人が病院にいる時に、「今、判定待ちです。緊張で気持ち悪くなりそうです」と書いたら、皆がコメントを書いてくれたりしています。自分の好きなタイミングで掲示板に書いて、それにコメントをもらうといった感じで、皆で繋がっています。掲示板なら話すのが苦手な方も参加できますし、書くことで自分の気持ちを整理することもできます。
東尾日記のように使っている方もいて、それを読んで情報を得ている方もいらっしゃいますね。
森私や理子さんもコメントに返信しますし、一方的なものではなく、ここでもやはり情報や感情を共有して支えあっています。
東尾会員の皆さん、本当に温かいですね。皆、子どもがほしいという目標に向かって、いろいろな角度から参加してくださっています。中には養子縁組を考えようかなというステージの方もいらっしゃるし、様々な状況の話を聞くことで、皆さんの中の選択肢や知識が増えていっていると思います。
では最後の6つ目の活動を教えてください。
森これも目玉企画で、「みんなで繋がる」です。妊活している方は、皆さん、自分で何かできることはないかと、一生懸命なのです。例えば鍼灸とか漢方とか、妊活のために何かやりたいと思っていますが、それはお金がかかることなので、私たちからは勧められません。そこで、理子さんというアスリートがいますので、自分でちょっと体を動かしてみようということで、毎月の目標を決めて、理子さんが実際に体を動かしている様子の動画をアップしたり、掲示板に解説を入れてアップしたりしています。
東尾今月は「足、トントン」です。つま先をトントンしたら、今度は踵(かかと)をトントンするといった、とても簡単なもので、アットホームな感じでやっています。
森もう一つが専門家たちの専門講座の動画です。もう100講座ぐらいアップしています。講師には鍼灸師さん、漢方薬剤師さん、栄養士さん、看護師さん、助産師さん、心理師さんなどで、サクッと見られるように要点だけを押さえた30分ぐらいの講座です。講座にリアルに参加していれば、最後に先生に質問できますし、アーカイブであれば診察の待ち時間など空き時間に見ることもでき、とても好評です。
東尾学べて、発散する。心と知識と身体、さまざまな角度から支援していきたいと考え、この妊活研究会の活動をしています。
Vol.2では妊活研究会を立ち上げるに至った「これまで」についてお伺いします。2023年5月31日に更新予定です。