解熱鎮痛剤の違いを解説!「アセトアミノフェン」と「イブプロフェン」などの成分の違い

発熱や頭痛、さらには生理痛や歯痛など、熱や幅広い痛みの症状に対して効果を発揮する解熱鎮痛剤。配合される成分によって作用の仕組みや特徴に違いがあります。
今回は、解熱鎮痛剤に含まれる成分を中心に、各成分の特徴と、シーン別に選ぶ際のポイントを解説します。新型コロナワクチン接種後の副反応に対して解熱鎮痛剤を使用できるかについても専門医の先生に解説頂きましたので、ぜひご活用ください。

監修:永武 毅 先生(桜みちクリニック 院長)

解熱鎮痛剤の特徴と作用

解熱鎮痛剤とは

解熱鎮痛剤とは、発熱や痛みを緩和する効果を持った内服薬のことをいい、市販の解熱鎮痛剤は下記のような痛みや熱に対して効果を発揮します。

痛み

頭痛、歯痛、歯を抜いた後の痛み、のどの痛み、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざに伴う痛み(ねんざ痛)、生理痛(月経痛)、外傷痛

発熱、悪寒(発熱によるさむけ)

解熱鎮痛剤は風邪薬(総合感冒薬)と混同されがちですが、両者は異なります。解熱鎮痛剤が上記のような痛みと発熱に特化しているのに対し、風邪薬は頭痛・発熱だけでなく鼻水やくしゃみなど風邪症候群に伴うさまざまな症状に対応しています。解熱鎮痛剤と同じ成分を含んでいますが、目的が一部異なるものである点に注意しましょう。

解熱鎮痛剤の代表格「NSAIDs」が効く仕組み

解熱鎮痛剤の成分として多く利用されているものに、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs:エヌセイズ)と呼ばれる成分のグループがあります。NSAIDsは、プロスタグランジン(PG)という物質が体内でつくられるのを抑える薬です。PGは、痛みが脳へ伝わる際のシグナルを増幅させることで痛みの感覚を強めている(発痛増強物質)とともに、体の体温調節機能に作用して発熱を引き起こす要因となる物質(発熱物質)で、細胞が何らかの刺激を受けたときにつくられるものです。NSAIDsはこの物質がつくられるのを邪魔することで、痛みや発熱を抑える効果があります。

解熱鎮痛剤に含まれる有効成分の違いとは?

解熱鎮痛剤に配合されている代表的な成分には下記のようなものがあります。

※以下に紹介する成分は市販の解熱鎮痛剤に含まれる主要なものですが、成分によっては、それぞれの人の健康状態・疾患の有無および病歴・現在服用している他の医薬品などに関連して、服用できないものが存在します。製品を選ぶ際は薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

アセトアミノフェン(パラセタモール)

アセトアミノフェンは、NSAIDs以外※の解熱鎮痛成分としてよく利用される成分です。脳の体温調節を司る中枢に作用することで、熱を体外へ逃がす機能を強めて体温を下げると考えられています。また、痛みや発熱が起こるのを抑制する作用も持っています。比較的安全性が高い成分とされており、多くの市販薬に利用されています。
小児科では解熱剤としてアセトアミノフェンを含む坐薬を処方することも多いため、薬の重複によりこの成分を過剰に摂取してしまうことに注意が必要です。

※アセトアミノフェンをNSAIDsに含める場合もあります。

イブプロフェン

イブプロフェンはNSAIDsの代表的な成分で、解熱・鎮痛作用を発揮する成分です。古くから利用されているアスピリン(後述)と比べて強い鎮痛作用を持つとともに、胃腸への影響が少ないとされることから、痛みや発熱に対して幅広く使用されている成分です。抗炎症作用を持ち、喉や関節などの炎症(腫れ、赤み、熱感など)を伴う痛みがある際にも用いられます。

アスピリン

アスピリンは他のNSAIDsと同様に解熱・鎮痛作用を発揮する成分です。NSAIDsの中でも歴史が長く、多くの実績がある成分です。傷を負った際には血液に含まれる血小板が集合してかたまりをつくって傷口をふさぎますが、アスピリンにはこの作用を妨げる効果があるため、出血傾向のある人や、病気の治療で血液凝固を抑える薬を飲んでいる人が使用する際には注意が必要です。
また、成人喘息の約10%を占めるアスピリン喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息)もアスピリンの服用により急激な喘息発作やアレルギー症状を誘発するため、特に過去にアスピリンを使用して喘息発作やアレルギー症状を起こしたことのある人などは注意が必要です※。

※アスピリンだけでなく、他の解熱鎮痛剤にも注意が必要です。

ロキソプロフェン

ロキソプロフェンもNSAIDsに分類される成分です。解熱・鎮痛作用を発揮し、鎮痛作用が強いとされています。体内で作用する過程が特徴的で、プロドラックという、そのままでは薬としての作用(鎮痛など)を発揮しない状態で消化管へ届き、消化管から吸収された後に薬としての働きを持つ物質に変換され、PGがつくられるのを抑えるという仕組みです。消化管に達する時点のプロドラックの状態では胃粘膜への刺激作用が弱いという特徴も持っています。

シーン別 解熱鎮痛剤の選び方

妊娠中・授乳中の人が服用する場合

妊娠中の人が解熱鎮痛剤を使用する場合には、胎児の動脈管に影響を与える可能性があるためNSAIDsには注意が必要とされています。妊娠中またはその可能性がある場合にはアセトアミノフェンが使用できます。日本産科婦人科学会からも「アセトアミノフェンは内服していただいて問題ない」と発表されていますが、長期間の使用には注意が必要です。

小さな子どもが服用する場合

小さな子ども(生後1カ月~6歳)の場合、発熱時に使う解熱剤としてはアセトアミノフェンを使用し、アスピリンやイブプロフェンを含む市販薬は使わないようにしましょう。熱があっても元気な場合や、38℃未満の場合は解熱剤の使用は控えます。また、生後3カ月未満で38℃以上の熱がある場合や、生後3カ月以上の子どもでも元気がなくてぐったりしている、尿が出ない、水分を摂るのをいやがるなどといった症状が見られる場合には、医療機関を受診しましょう。夜間や休日などの診療時間外の場合は、急患診療所を受診してください。

※低年齢の方に使用可能な成分であっても、製品ごとに対象年齢などが異なります。使用にあたっては対象年齢などを確認しましょう。

眠くなりにくいものがよい場合

車の運転や機械の操作が必要なときや仕事に集中する必要がある際は、眠気を催す成分を含まない製品を選ぶのがよいでしょう。
解熱鎮痛剤には鎮静作用を目的として、眠気を催す成分が配合されていることがあります。具体的な成分としては、ブロモバレリル尿素やアリルイソプロピルアセチル尿素があり、どちらも脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする作用を持っています。鎮静作用は同時に眠気を催すため、これらの成分を含む薬の服用後に運転・機械操作することはできません。

胃腸への負担が少ないものがよい場合

解熱鎮痛剤は胃腸粘膜の保護機能を低下させてしまい、腹痛など消化器系の副作用をもたらすことがあります。こうした胃腸への負担をより少なくすることを目的として、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの制酸成分が配合されている場合がありますので、そのような製品の使用も選択肢の一つです。

頭痛を抑えたい場合

頭痛の増強にはPGが関与していると考えられるため、そのPGがつくられるのを抑える成分の薬を選ぶのがよいでしょう。多くの解熱鎮痛剤には、アセトアミノフェンやNSAIDsなどPGがつくられるのを抑える成分が含まれています。製品(成分)を選ぶ際の目安として、例えばライフステージ(年齢、妊娠中・授乳中など)やライフスタイル(車を運転するため眠くならないものがよいなど)、健康状態(胃潰瘍などを患ったことがあるなど)など、本記事で解説したような要素を踏まえて選択をするとよいでしょう。

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生理痛を抑えたい場合

生理痛(月経痛)は経血を子宮から排出する過程で起こる痛みです。子宮を収縮させるPGの過剰分泌が原因とされています。生理痛を抑えるためにはイブプロフェン、アセトアミノフェンやロキソプロフェンなどを選ぶのがよいでしょう。ただし、15歳未満の場合はアセトアミノフェンを選ぶ必要があります。生理痛を効果的に抑えるコツは薬を服用するタイミングにあります。痛みを我慢し続けたあとに服用すると、既にPG が産生されているので効果が発現するまでに時間がかかるため、痛みを感じたら我慢せずにすぐに服用することがポイントです。

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歯痛を抑えたい場合

歯の痛みは、主に虫歯などに対して体が発する警告信号です。解熱鎮痛剤の成分によって痛みをやわらげることができますが、原因である虫歯自体を解決しなければ、悪化するおそれがあります。したがって、歯が痛むときには歯科を受診するようにしましょう。解熱鎮痛剤を使用する際はイブプロフェンやアセトアミノフェン、ロキソプロフェンなどを使うとよいでしょう。

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新型コロナワクチン接種後の副反応時にも使用可能

新型コロナウイルスに対するワクチンについては、接種後に注射した部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱などといった症状(副反応)が見られることがあります。熱や痛みについては、日本で接種が進められている2種のワクチンにおいて、50%以上の人に頭痛、10~50%の人に発熱が見られたとされています*1。また、発熱や頭痛などは1回目よりも2回目の接種後の方が現れる頻度が高い傾向にあるとされています*2
副反応はほとんどの場合、接種翌日をピークに数日以内に回復しますが*1 *2、症状が気になる場合には、発熱や痛みに対してアセトアミノフェンや、イブプロフェン・ロキソプロフェンなどのNSAIDsといった市販の解熱鎮痛剤で対応することも可能です*2 *3。 ただし、接種後に副反応の症状が出る前から予防的に解熱鎮痛剤の使用を繰り返すことは、現在(2021年11月)のところ推奨されていないので注意しましょう*3

*1 厚生労働省:これまでに認められている副反応にはどのようなものがありますか。(『新型コロナワクチンQ&A』,2021年10月22日閲読)
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0002.html

*2 厚生労働省:新型コロナワクチン接種後の副反応への対応方法,2021年9月9日.
https://www.mhlw.go.jp/content/000830259.pdf

*3 厚生労働省:ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。(『新型コロナワクチンQ&A』,2021年10月22日閲読)
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html

服用時の注意点

市販の解熱鎮痛剤の服用にあたっては以下のような点に注意しましょう。
また、各成分・製品によって細かな注意事項があるので、パッケージや付属されている製品説明書の記載事項をよく確認の上、適切に使用しましょう。

他の薬(成分)との、のみ合わせに注意する

市販薬には1つの製品の中に複数の成分が配合されていることが多くあります。そのため、他の薬と一緒に服用したときに同様の作用を持つ成分が重複する可能性があります。また、薬の成分には「相互作用」というものがあり、特定の成分同士の組み合わせが薬の作用を過剰に強めたり、副作用が起こる可能性を高めたりするなど、意図しない結果を招くこともあります。

用法・用量・服用間隔を守る

薬には、その成分がより効果的かつ安全に作用するための分量が決められており、用量や服用する間隔を守らなければ、薬がうまく効果を発揮しなかったり、副作用など健康リスクを増大させたりすることにつながります。成分によっては小さな子どもや高齢者、あるいは特定の健康状態にある人(有病や妊娠中など)に対して、服用の禁止や用量の調整など細かく指定していることがあります。これらも必ず守るようにしましょう。

服用するときは多めの水かぬるま湯で

薬を服用する際の飲水量は、薬の成分を体内へ吸収する速度や量に影響を与える可能性があります。目安としては、コップ1杯(150mL程度)の水かぬるま湯でのむようにしましょう。ただし、医師から飲水量の制限を受けている人はその指示に従うようにしてください。

飲酒(アルコールの摂取)は控える

アルコールの摂取は解熱鎮痛剤の作用に対して好ましくない影響を与える可能性があるため、服用中は飲酒(アルコールの摂取)を避けましょう。アルコールの作用により胃粘膜の荒れが、薬の成分による胃腸への悪影響へとつながる可能性があります。また、飲酒により肝臓が薬の成分を過剰に分解・変換してしまうと、薬の成分が速く失われてしまい効果が現れない場合や薬によっては副作用が出やすくなる可能性もあります。普段からよくお酒を飲む方は、アセトアミノフェンは避けたほうがよいでしょう。

長期間にわたる服用はしないようにする

薬を長期間にわたって服用することは、副作用が起こる可能性を高めることにつながります。一定の期間または回数を使用しても症状の改善が見られない場合には、病気をはじめ何らかの原因がある可能性があるため、服用を中止して医療機関を受診しましょう。

「薬物乱用頭痛」に注意する

解熱鎮痛剤の服用を過剰に続けることで、かえって頭痛が連日のように起こってしまうことがあります(薬物乱用頭痛)。以前から頭痛に悩んでいる人で、1カ月の間に15日以上頭痛があり、解熱鎮痛剤などを3カ月以上定期的に使用している(NSAIDsやアセトアミノフェンを1カ月に15日以上服薬している)人で、他に頭痛の原因となる疾患の可能性がない場合には注意が必要です。この薬物乱用頭痛は薬剤の乱用を中止すると改善すると報告されていますが、再発の可能性や入院が必要なケースもあるため、医療機関を受診するのがよいでしょう。

病気の治療中である場合は医師に相談してから

病気を治療中の人は既に薬を服用していることが多いため、市販薬の使用にあたってはのみ合わせに注意する必要があります。また、薬は成分によっては特定の病気を患ったことがある場合や現在患っている場合にその症状を悪化させることがあるため、薬によらない治療を受けている場合であっても注意が必要です。必ず主治医や薬を調剤してもらった薬剤師に相談し、市販薬に頼るべきかどうか相談するようにしましょう。

困ったら医師・薬剤師に相談を

解熱鎮痛剤は発熱や痛みを一時的に抑えるための薬であり、その発熱・痛みを引き起こしている病気自体を治療するものではありません。市販薬を使っても症状が改善しない、症状が繰り返し現れるといった場合には、薬のパッケージや付属されている製品説明書(添付文書)を持参の上、医師や薬剤師に相談するようにしてください。市販薬を服用している間に体の不調や症状の悪化など、副作用が疑われる変化が見られた場合には、速やかに服用を中止して医療機関を受診してください。特に、高齢者の場合には基礎代謝や生理機能が低下しており、副作用が現れるリスクも高い傾向にあるとされているため、服用後の体調変化には十分注意しましょう。また、熱・痛み以外に別の強い症状を伴うような場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

まとめ

解熱鎮痛剤は発熱や頭痛などの痛みを一時的に抑える対症療法の薬です。手に取りやすいものであるため、市販薬のみで対処しがちという人も多いようですが、その熱や痛みの根本的な原因をそのままにしてしまうことに注意が必要な場合もあります。薬で痛みがやわらいだからそれでよいと、症状が出れば薬で緩和することだけを繰り返しているような場合は、薬による副作用などの危険性が増すだけでなく、適切な治療を行う機会を失うことにもつながりかねません。
薬は症状や目的に合わせて選び、付属されている製品説明書(添付文書)に記載された内容をよく確認しながら、用法・用量を守って正しく服用しましょう。

【参考】

・厚生労働省:解熱鎮痛薬の製造販売承認基準.医薬食品局腸発令「解熱鎮痛薬の製造販売承認基準について」(平成27年3月25日付け薬食発0325第30号)所収.
・厚生労働省:試験問題作成に関する手引き(平成30年3月).
・日本ペインクリニック学会:ペインクリニック治療方針 改訂第6版.真興交易医書出版部,2019.
・厚生労働省『新型コロナワクチンQ&Aサイト』(2021年10月21日閲読)
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html

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