毎月、生理前になると心と体に不快な症状があらわれ、日常生活に支障をきたす状態を月経前症候群といいます。下腹部が痛くなったり、重くなったりするとともに、胸の張りや痛み、顔や手足のむくみ、肩こり、イライラ、ゆううつ感、疲れやすいなどの症状があらわれます。また、便秘や吹き出物などを訴える場合もあります。これは、女性ホルモンの分泌の変化によるものと考えられています。
急性うっ滞性乳腺炎
乳腺に炎症が起こる疾患です。急性乳腺炎には母乳が乳房に溜まって炎症を起こす急性うっ滞性乳腺炎と細菌感染によって炎症を起こす急性化膿性乳腺炎があります。急性うっ滞性乳腺炎は初産の女性に多く、出産後母乳の通り道となる乳管が十分に開いていないことや、赤ちゃんが上手に乳を飲めないために母乳が出口を失い、乳腺の中に溜まり、乳房が腫れ、熱や痛みを持つようになります。
急性化膿性乳腺炎
急性乳腺炎には、急性うっ滞性乳腺炎と、乳頭にできた傷口や乳管口から細菌感染することで炎症を起こす急性化膿性乳腺炎があります。急性化膿性乳腺炎は、ほとんどの場合、うっ滞性乳腺炎が誘因になります。急性化膿性乳腺炎には悪寒や震えをともなう高熱が出ることが多く、乳房が赤く腫れひどく痛みます。さらに腫れや痛みはわきの下のリンパ節にまで広がることもあります。急性化膿性乳腺炎は治療が不十分の場合に慢性化することもあります。
乳腺症
乳腺に、良性のしこりができる疾患です。しこりは触れるとわかるので、乳がんと間違えられることが少なくありません。乳房の片方あるいは両方に、境目のはっきりしない弾力性のある大小さまざまなしこりが、いくつもできるのが特徴です。このしこりは生理前になると大きくなり、生理が始まると小さくなっていきます。乳房に張りや痛みを感じることもありますが、これも生理前に強まり、始まるとやわらぎます。乳腺の病気の中で最も多く、30代〜40代によくみられます。
乳腺線維腺腫
乳腺に、良性の腫瘍ができる疾患です。乳房に大豆大からジャガイモ大のしこりができます。周囲との境がはっきりしていて立体感があり、触るとコロコロと逃げるように動くのが特徴です。痛みはありません。良性なので転移はしませんが、大きくなると手術による摘出を行うことも少なくありません。
乳がん
乳がんは乳腺にできるがんです。40代以上に多く、高齢出産をした人や授乳の経験が少ない人、肥満の人、親族ががんにかかったことがある人などがかかりやすいことがわかっています。乳房に痛みのない硬いしこりができて、押しても動かないのが特徴です。進行すると、皮膚にへこみが生じたり、乳首から血の混じった分泌物が出るといった症状が起こることがあります。乳がんは他のがんに比べて進行が遅く、しこりが1cm2の大きさになるまで10年ほどかかるので、しこりが小さいうちに見つかれば90%以上の人が治るのです。
女性化乳房症
男性の胸部が女性のように膨らむ症状です。乳首の中にしこりができたような痛みが起こる場合もあります。思春期のホルモンのアンバランスや薬の影響によるもの、肝臓や副腎などの病気にともなうものなどがあります。前立腺がんの治療や肝硬変にともなう女性ホルモンの増加による女性化乳房が注目されています。女性化乳房自体は、とくに健康上の問題はありませんが、がんや別の病気が潜んでいる場合がありますので、外科や乳腺専門医の診察を受けましょう。