子宮頸管がクラミジアや大腸菌、ブドウ球菌などの感染で炎症を起こすと、臭いがきつく、黄色や黄緑色をした膿のようなおりものが出ます。また、炎症が強いと下腹部の痛みや微熱、腰痛をともなうこともあります。放置していると子宮や骨盤にまで炎症が広がり、不正出血、吐き気や嘔吐、高熱などがあらわれる子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を引き起こします。
茶色のおりものが増えたときは「子宮頸管ポリープ」が考えられる
子宮の入り口(頸管)に、ポリープと呼ばれるキノコ状の良性の腫瘍ができる疾患です。おりものの量が増えたり、茶褐色に変化したりするのに加え、性交やスポーツの後、排便時のいきみのときなどに少量出血するなどの症状があらわれます。妊娠を経験した30〜50代の女性に多く発生する疾患ですが、原因は分かっていません。
性行為後に少量の不正出血ある場合は「子宮膣部びらん」が考えられる
子宮の入り口の粘膜と膣部の粘膜がただれるのが子宮膣部びらんです。おりものが増えたり、不正出血がみられたり、性行為の後に少し出血したりしますが、多くは自覚症状がありません。びらんがあると細菌に感染しやすくなるため、子宮頸管炎などの原因になることがあります。また、子宮頸がんの初期と症状が似ているので、子宮膣部びらんに似た症状があらわれたときは、必ず婦人科を受診しましょう。
腹痛や吐き気、下痢などを伴う場合は「子宮内膜炎」が考えられる
子宮内膜が、炎症を起こす疾患です。ほとんどは大腸菌やブドウ球菌、淋菌、クラミジアなどの感染が原因です。初期の自覚症状では、おりものが増えたり、下腹部ににぶい痛みを感じます。炎症が広がると、不正出血、黄色い膿状や血が混じったおりものがみられ、吐き気、下痢、排便痛といった症状があらわれます。子宮頸管が広がっている出産や流産、中絶後にかかりやすいといわれています。
激しい痛みや吐き気、嘔吐を伴う場合は「子宮内膜症」が考えられる
本来子宮の内側にしか存在しない子宮内膜に似た細胞組織が、卵管、腹膣内、直腸の表面など、さまざまな臓器に発生する疾患です。最近は10〜20代の若い世代にも多くみられます。不正出血や激しい生理痛、下腹部痛が特徴ですが、他に腰痛や性交痛、肛門の奥や排便時の痛みや吐き気、嘔吐などの症状がみられるほか、不妊の原因にもなります。
妊娠の可能性がある場合は「子宮外妊娠」が考えられる
本来赤ちゃんを育てる子宮以外で妊娠する、妊娠初期の異常妊娠で、その9割が卵管妊娠です。自覚症状は妊娠に変わりはないので、胸が張ったり、尿が近くなったり、つわりが出ることがありますが、生理の遅れと思っていて、気付かないこともあります。気付かないままでいると自然に流産するか、卵管が破裂して不正出血と下腹部の痛みがあらわれます。とくに卵管破裂の場合はかなりの出血があり、死にいたる危険もあります。
激しい腹痛や立ちくらみを伴う場合は「子宮筋腫」が考えられる
子宮にできる良性腫瘍です。30〜40代に多く、成人女性の5人に1人は筋腫があるといわれています。初期の自覚症状はほとんどありませんが、筋腫が大きくなると生理痛が強くなり、月経出血の増加や期間の長期化、不正出血がみられます。そのため、貧血やめまい、立ちくらみなどを引き起こします。また、周囲の臓器にも影響を与えて、頻尿や排尿、排便時の痛み、腰痛を起こすこともあります。不妊や流産の原因にもなります。
20〜30代で茶色のおりものが長く続く場合は「子宮頸がん」が考えられる
20〜30代に多い、子宮の入口にできるがんです。多くは性交渉によりHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することが原因となって発症します。初期症状はほとんどなく、感染すると細胞が変化し、数年かけてがんに発展します。進行の途中では、おりものが増えて茶色がかった色になったり、生理の期間が長くなる、不正出血や性交時の出血といった症状があらわれることがあります。
更年期や閉経後の不正出血は「子宮体がん」が考えられる
50代以上に多く、子宮内膜の細胞が悪性腫瘍に変化し、がん化したものです。最近では30代で発症するケースも増えています。無理なダイエットや加齢などで女性ホルモンのバランスが乱れることが原因と考えられています。初期症状のほとんどない子宮頸がんに比べ、子宮体がんは初期の段階から9割の人に不正出血がみられます。その他おりものが茶褐色になったり、生理やおりものの量が増えたりします。