たこ・魚の目
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たこ・魚の目

足のトラブルとして多くの人が悩まされているたこや魚の目。足の裏や指などにできてしまい、対処法に悩んだことはありませんか? 今回は専門医監修のもと、たこや魚の目ができてしまう原因や見分け方などを解説します。さらに日常生活で取り入れられるお手入れ法などもご紹介。正しく知ったうえで、適切にケアをしましょう。

東 禹彦 先生

監修

東 禹彦 先生 (東皮フ科医院 院長)

たこ・魚の目とは?

圧迫など外からの刺激に対する皮膚の防御反応

・たこ
比較的広い範囲の角質層がわずかに黄色味を帯びて盛り上がります。痛みはあまりありません。足底や労働者や運動選手では手掌(手のひら)、足背(足の甲)など、長時間にわたり圧迫や摩擦を繰り返し受ける部位に生じます。ペンだこ、坐りだこなど。

・魚の目
骨が当たりやすい趾骨(足の指の骨)や趾間(足の指と指の間)、体重がかかる足底に、長期間圧迫が加わって生じます。不適当な靴、足の変形などが原因となります。限局性の角質増殖が下の方に向かって生じます。そのために、歩行時に痛みを伴います。中央がやや凹み、半透明に見えます。



たこ・魚の目・イボの違い

たこ・魚の目と間違いやすいものにイボがあります。たこや魚の目は外からの刺激に対する防御反応ですが、イボはウイルス感染で起きる病気で全身どこにでもできます。普通は皮膚から盛り上がりますが、足底にできると体重がかかるので、皮膚にめりこみ表面が平らになるため、たこ、魚の目との見分けが難しくなります。

たこ(医学用語:胼胝)
たこはどこにでもでき、角質が外方に増殖します。痛みはほとんどありません。

魚の目(医学用語:鶏眼)
足底、趾間などにできます。角質が下方に向かって増殖するため、痛みを伴います。中央の少し凹んだ部位は、やや半透明な芯となります。

イボ
イボは普通の皮膚では盛り上がっていますが、足底にできると圧迫されるために、あまり盛り上がることはありません。表面はざらついています。一つ一つは5、6mmぐらいまでの大きさですが、癒合して大きな局面を作ることもあります。痛みはほとんどありません。

・イボに関する情報はこちら イボ

たこ、魚の目のできる原因

足の骨の異常や変形

足の骨の異常や変形がたこや魚の目の原因になることも少なくありません。開張足(かいちょうそく:5本の足指の付け根を横に結ぶアーチ型が崩れて、足指が横に広がった状態)、外反母趾(がいはんぼし:足の親指の先が人差し指の方に「くの字」に曲がり、付け根の関節の内側の突き出したところが痛む)、ハンマー・トウ(つちゆびともいう。足指がZ字型に曲がって固まった状態)など足に変形があると、靴に圧迫され、同じところが長時間摩擦を受けることでたこや魚の目が生じます。足の骨の異常や変形を進行させないためにも、正しい靴の選び方や足が靴の中で前後に移動しない履き方、靴紐をしっかりと結ぶ、あるいは紐のない靴では足が前後に移動しない工夫をすることが大事です。

足のサイズや形に合わない靴は、履いているうちに特定の場所が繰り返し圧迫されるため、たこや魚の目のできる原因になります。特に体の重心がつま先に集中するハイヒールや、指が当たるような横幅の狭い靴は避けましょう。外反母趾や内反小指、足趾が屈曲するハンマー・トウも足に合わない靴や靴の履き方が正しくない場合におこります。

歩き方

歩き方のくせや姿勢の悪さが、たこや魚の目のできる要因になることもあります。がに股歩きや足を引きずるような歩き方は、体重が足裏全体に均等にかからず、一部だけに集中してしまうので注意が必要です。

日常でできる、たこ・魚の目の予防と対策

足の手入れ

たこや魚の目をできにくくするお手入れ法をご紹介します。

  • 皮膚を軟らかくするため、約5~10分ほど足をぬるま湯に浸しましょう。時間は目安です。
  • ぬるま湯に浸した軽石や角質用のやすりで、皮膚の硬い部分を優しく除去します。円を描いたり、横方向に動かすようにするとよいでしょう。皮膚を削りすぎないように注意してください。
  • 足を洗ったらタオルで水分をよく拭き取り、保湿用のローションやクリームをしっかり塗ってください。


Check
爪は趾先より短く切らないようにしましょう。爪の先は四角く切り、両端に少しだけ丸みをつけます。

歩き方・姿勢

まずは立ったときの姿勢をチェックしてみましょう。横から見たときに、耳→肩→股関節→膝→くるぶしが一直線になるのが正しい姿勢です。自分では分かりにくいので、家族や友人にチェックしてもらうとよいでしょう。
歩くときは、かかとから着地します。その後、小指の付け根から親指の付け根へと重心を移し、最後は親指でしっかり蹴りだすことを意識してください。こうすると体の重心が足裏全体にまんべんなくかかるので、長時間歩いても疲れにくく、足への負担も少なくてすみます。

足に合った靴

靴は自分の足の長さや横幅に合ったサイズを選びます。靴を履いて足先を靴につけて、靴と足の間に指1本が入るのが目安です。靴選びの専門家であるシューフィッターのいるお店で、正確なサイズを測定してもらうのもよいでしょう。正しいサイズを選んだら、履き心地を試してみることも大切です。両足とも履いた状態で少し歩いてみて、以下をチェックしてみてください。

  • 変に圧迫されるところがないか
  • かかとがフィットしているか
  • つま先にゆとりがあるか
  • 足底に適度な厚みがあり、クッション性があるか
  • 足が固定でき、前滑りしないか
  • 蹴り出しやすいか


試すのは、足のむくみやすい夕方がおすすめです。

市販薬を使う

症状の軽いうちは、薬局で販売されているたこ・魚の目用の保護パッドを用いるとよいでしょう。患部に摩擦や圧力が加わるのを防ぎ、痛みを和らげる効果も期待できます。
またたこや魚の目の薬には、硬くなった皮膚を軟らかくする作用を持つ市販薬もあり、主に「塗り薬タイプ」と「貼り薬タイプ」の2種類が販売されています。塗り薬タイプは、1日に数回塗布する必要がありますが、テープなどにかぶれやすい敏感肌の方は安心でしょう。貼り薬タイプは一度貼ってしまえば2〜3日くらいは貼りっぱなしで良いので、忙しい方には便利です。いずれも医療機関で正しい診断を受けて、医師に相談しながら使用することもご検討ください。

たこも魚の目も安易な判断はせず、医療機関に相談を

早めの受診で早期解消!

なかなか改善しない、痛みの強い場合などは、医療機関を受診しましょう。たこや魚の目を取り除くカッターやはさみなどの専用グッズも販売されていますが、自分で処置するのはトラブルのもとです。つい深く削り過ぎて炎症を起こしてしまったり、イボを魚の目だと思って削ってしまったりするとウイルスが飛び散って感染を広げてしまう可能性もあります。
特に糖尿病を患っている方は、小さな傷が重症化しやすくなるので注意が必要です。日頃から足の状態をよく観察し、気になるところを見つけたら医療機関を受診してください。

参考文献
・高山かおる「巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア」(マキノ出版)
・溝口昌子「新・病気とからだの読本6 骨・筋肉と皮膚の病気 タコとウオノメ」(暮らしの手帖編集部) 
・日本皮膚科学会 Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html
・American Academy of Dermatology Association.「HOW TO TREAT CORNS AND CALLUSES」
https://www.aad.org/public/everyday-care/injured-skin/burns/treat-corns-calluses