脳梗塞は脳の血管に血液の塊(血栓)が詰まることによって、脳の組織が破壊される疾患です。脳出血は脳内の血管が破れて出血する疾患で、脳の中にできた血液の塊が周囲の組織を圧迫すると脳の障害が進みます。大脳、小脳や脳幹部にこれらの障害が起きると、激しいめまいや頭痛、吐き気、嘔吐などの症状とともに、障害された脳の反対側の手足に麻痺が起こります。
顔面神経麻痺
顔の筋肉を支配している顔面神経がおかされることによって、主に顔の片側に突然麻痺が起こり、まぶたが完全に閉じなくなったり、頬や口角がたれ下がり、口の中の食べ物やよだれが垂れるなどの状態になります。脳出血や脳梗塞による半身麻痺、帯状疱疹ウィルスの感染による神経の障害、極端に顔の片側だけを長時間冷やすことなどが原因になります。
橈骨(とうこつ)神経麻痺(ハネムーン症候群)
手首から親指の感覚に関係する橈骨神経が損傷を受けると、運動障害や知覚障害が起きることがあります。手首から先に力が入らなくなり、指を伸ばすことができなくなることが特徴で、親指と人差し指の間にしびれを感じることもあります。多くは、腕枕をして眠るなど、腕の神経が長時間圧迫されることで発症します。
手根(しゅこんかん)管症候群
手の関節にある手根管はトンネルのようになっていて、その中を神経と腱が通っています。手根管の中で神経が慢性的に圧迫されると、親指から薬指の半分にかけてヒリヒリとする痛みやしびれがあらわれます。症状が悪化すると、片方の手のひら全体に麻痺が起こることもあります。デスクワークでパソコンをよく使い、かつキーボードを打つときの姿勢が悪い人によくみられます。また妊娠や出産時に体がむくみ、神経が圧迫されて起こることも多いといわれています。
変形性腰椎症
腰の背骨が変形して周囲の神経を圧迫し、腰痛や足の痛みを引き起こす疾患です。とくに朝の起床時に強く痛むことが多く、神経の圧迫が強くなると足のしびれや冷感、麻痺などの症状が起こる場合があります。さらに進行すると、体の片側の下半身全体が麻痺することもあります。加齢による背骨の変化や、長時間同じ姿勢をとったり、スポーツなどによる腰の背骨への負担が原因となります。
腰椎椎間板ヘルニア
骨と骨をつなぐ椎間板に亀裂が生じて、中の椎間板組織の一部が飛び出し、神経が圧迫されて腰痛や足のしびれ、麻痺などが起こります。急性の場合は、立ち上がれないほど激しい痛みが生じます。ひどい場合は、体の片側の下半身に麻痺を起こすこともあります。若い人にも比較的多く、腰や足のつっぱり、運動制限があらわれることが多くあります。お年寄りの場合、足の痛みが強く、歩行が困難になることが少なくありません。
糖尿病性神経症
糖尿病は膵臓でつくられるインスリンの分泌や作用が低下し、血糖値が慢性的に高い状態になる生活習慣病です。この糖尿病によって、長期間高血糖状態が続くことが原因となって起こるのが糖尿病性神経症で、運動神経・知覚神経系が損なわれ、手足の先にしびれや痛みが起きます。症状が進むと足の筋肉が萎縮し、力が入らなくなったり、熱さや痛みを感じなくなります。
重症筋無力症
末梢神経と筋肉のつなぎ目に障害が起こり、筋力が低下して麻痺が生じる疾患です。とくに同じ筋肉を繰り返し動かしていると筋力が疲弊し、足が麻痺してうまく歩けなくなったり、まぶたが落ちてきたり、手に持ったものを落とすなどの症状があらわれます。のどに障害が起こると食事や呼吸が困難になったり、顔に障害が起こるとうまく表情がつくれなくなることもあります。しばらく休むと症状が回復するのが特徴です。