過活動膀胱は膀胱が必要以上に過敏に活動することで、頻尿が起こる疾患です。主な症状は突然尿意に襲われ頻尿になり、ときには我慢できずに尿を漏らしてしまうことがあります。また、就寝中に1回以上トイレに行く夜間頻尿もみられます。さらに進行するとトイレが頻繁すぎて、仕事も外出もできなくなり、生活に支障をもたらすこともあります。とくに40歳以上に多くみられます。脳卒中や脳腫瘍などが原因となることもあります。
腹圧性尿失禁
お腹に力を入れると尿が漏れるのが腹圧性尿失禁です。男性に比べて圧倒的に女性に多いトラブルで、膀胱や尿道を支えて締める役割を果たす骨盤底筋がゆるむ40歳頃の女性の大半が経験するともいわれています。出産、肥満などの条件が加わると、さらに筋力が低下するためにより尿漏れしやすくなります。悪化すると、少し動こうとしただけで尿が漏れることもあります。
溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)
尿道が狭くなったり、膀胱の筋肉の収縮力が低下することで、膀胱に尿が満杯になり、あふれ出して尿漏れを起こすのが溢流性尿失禁です。普段から排尿がちょろちょろと勢いがなく、しかもお腹に力をいれないとなかなか出ないという特徴があります。残尿感があり、頻尿で夜中もトイレが近くなったり、尿漏れもあります。高齢の人に多く、男性は前立腺肥大症でよくみられ、女性では比較的少ないのですが、子宮がんや直腸がんの手術をした人にみられることがあります。
神経因性膀胱
排尿を促す自律神経の障害によって起こる排尿のトラブルを神経因性膀胱といい、頻尿、失禁、排尿困難などが生じます。神経に障害を起こす疾患には、脳血管疾患、糖尿病による神経障害、脊椎損傷、パーキンソン症候群などがあります。また、子宮がんや直腸がんの手術の際に神経を傷つけたために、排尿困難が生じることもあります。
膀胱炎
膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。膀胱炎になるとトイレが近くなり、排尿時の痛み、尿のにごりや血尿が出ます。また、切迫感をともなう尿意を感じ、ときには失禁することもあります。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。性行為による感染が原因になることもあります。
前立腺肥大症
男性が60歳を越えるころから増える疾患で、大きくなった前立腺が尿道を圧迫することで尿のトラブルが起こります。尿の勢いが弱くなり、尿が出るまでに時間がかかるために排尿後の残尿感とともにチョロっと漏らし、下着を汚すことも珍しくありません。また、夜間の排尿回数も増え不眠になることもあります。さらに、進行すると尿がまったく出なくなるケースもみられます。前立腺がんの症状とよく似ているので、注意が必要です。