過労や妊娠などによって体力や抵抗力が低下したときに、膣に棲んでいるカンジダ菌が異常に増殖して起こります。また、性交渉によっても感染することがあります。性器が赤く腫れあがり、ただれを起こすこともあります。強いかゆみを感じ、チーズや酒かすのような白いおりものが出ることが特徴です。
膣トリコモナス症
寄生虫の一種であるトリコモナスが、主に性交渉によって膣に感染する炎症疾患です。下着やタオル、浴室、便座などを介して感染することもあります。女性が感染すると、まずおりものの量が増えて性器に激しいかゆみを感じます。そのうち、黄色がかっていて泡立った臭いのきついおりものが出るようになります。
淋菌感染症
淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状があらわれることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度なので、感染に気付かず慢性化することがあります。まれにおりものの色が黄色っぽくなることもあります。また、妊婦が感染すると、新生児の結膜炎を招き、最悪は失明の危険もあります。見過ごすと炎症が尿道や膀胱に広がり、排尿時に痛みを感じるようになります。
性器クラミジア感染症
クラミジアという細菌による性感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患ですが、黄色のおりものが多少増える程度の軽い症状のため、感染に気が付かない場合も多くあります。進行すると下腹部痛や性交痛があらわれます。また、不妊の原因となったり、妊婦の場合は胎児が産道を通過するときに感染し、重篤な肺炎や結膜炎を起こすこともあるので、注意が必要です。
子宮頸がん
20〜30歳代に多い、子宮の入口にできるがんです。多くは性交渉によりHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することが原因となって発症します。初期症状はほとんどなく、感染すると細胞が変化し、数年かけてがんに発展します。進行の途中では、おりものが増えて茶色がかった色になったり、生理の期間が長くなる、不正出血や性交時の出血といった症状があらわれることがあります。
子宮頸管ポリープ
子宮の入り口(頸管)に、ポリープと呼ばれるキノコ状の良性の腫瘍ができる疾患です。おりものの量が増えたり、茶褐色に変化するのに加え、性交やスポーツの後、排便時のイキみのときなどに少量出血するなどの症状があらわれます。妊娠を経験した30〜50代の女性に多く発生する疾患ですが、原因はわかっていません。
子宮頸管炎
子宮頸管がクラミジア菌や大腸菌、ブドウ球菌などの感染で炎症を起こすと、臭いがきつく、黄色や黄緑色をした膿のようなおりものが出ます。また、炎症が強いと下腹部の痛みや微熱、腰痛をともなうこともあります。放置していると子宮や骨盤にまで炎症が広がり、不正出血、吐き気や嘔吐、高熱などがあらわれる子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を引き起こします。
子宮膣部びらん
子宮の入り口がただれるのが子宮膣部びらんです。おりものが増えたり、性行為の後に少し出血したりしますが、多くは自覚症状がありません。びらんがあると細菌に感染しやすくなるため、子宮頸管炎などの原因になることがあります。また、子宮頸がんの初期と症状が似ているので、子宮膣部びらんに似た症状があらわれたときは、必ず婦人科を受診しましょう。