サルモネラ菌は、食後4〜48時間後に40℃近い急な発熱や下痢、腹痛、嘔吐の症状があらわれます。とくに下痢は激しく、水様性の下痢が1日に20回を超えることもあります。腸炎ビブリオ菌はおよそ8〜24時間の潜伏後、腹部の不快感に始まり、次いで激しい腹痛や発熱、嘔吐、下痢があらわれます。黄色ブドウ球菌は、食後1〜5時間で激しい吐き気や嘔吐、発熱、下痢が起こり、まれにショック症状を引き起こすこともあります。
食後数日で中毒を起こすカンピロバクター菌など
カンピロバクター菌の潜伏期間は、1〜7日(平均2〜3日)です。水のような下痢または血便、腹痛、37〜38℃の発熱、頭痛、吐き気などの症状があらわれ、風邪と間違われる場合も多くあります。O157(病原性大腸菌)の潜伏期間は1〜14日(平均3〜5日)と、非常に長いことが特徴です。主な症状は下痢や腹痛ですが、ときに激しい腹痛や血便をともなう下痢が起こります。
ノロウイルスによる中毒
30時間ほどの潜伏期間を経て、下痢や嘔吐、吐き気、発熱の症状があらわれます。熱は高くても38℃台で、それ以上になることはほとんどありません。多くの場合、症状は1日程度で治まります。子どもの場合は嘔吐、成人の場合は下痢を引き起こすことが多いのが特徴です。
フグ毒や貝類の毒による中毒
食中毒による死亡者数の半数近くはフグ毒によるものです。食後20分〜3時間で唇や舌の先にしびれが出始めます。その後嘔吐に続き、手足のしびれ、言語障害や呼吸困難を引き起こし、死に至ることもある怖い中毒です。またホタテガイ、イガイなどの貝類は食後30分〜3時間後に顔や手足にしびれが生じます。同じ貝でも、ムラサキガイやコタマガイなどは食後15分〜4時間で下痢や嘔吐、腹痛があらわれます。
毒きのこや毒草による中毒
毒きのこによる食中毒の多くは、食後30分〜3時間で嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。しかしコレラタケ、ワライタケなどのように、肝・腎機能障害や異常興奮、幻覚などを起こす危険なきのこもあります。毒草は食後10分〜1時間以内にのどの渇きや手足のしびれ、瞳孔が拡大するなどの症状があらわれます。トリカブトは、大量に食べると死亡することもあります。その他じゃがいもの芽を食べると、20分くらいで嘔吐や下痢をしてのどが痛みます。
ヒスタミンや金属、薬品中毒
鮮度が落ちてヒスタミンが蓄積された青魚を食べると、直後から約1時間後に舌のしびれ、顔面の紅潮、発疹、吐き気、腹痛、下痢などのアレルギー症状を引き起こします。金属中毒の場合は、口に入ってから30分〜1時間後くらいに吐き気、嘔吐、腹痛、下痢の症状があらわれます。農薬や洗剤などは口にした瞬間、口内に苦みや刺激を感じ、その後口内やのどが焼け付くように痛み、吐き気、嘔吐などが起こります。