てんかん
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てんかん

てんかんは脳の電気活動に異常が起こり、痙攣(けいれん)や意識消失(失神)などの発作を繰り返す疾患です。日本では100人に1人がてんかんを持っているともいわれています。現在は適切な治療によって70〜80%のてんかん発作を抑制し改善することができます。

赤松 直樹 先生

監修

赤松 直樹 先生 (国際医療福祉大学医学部脳神経内科 教授)

てんかんの原因は脳の障害・傷など

てんかんの約70%は何らかの原因疾患がある

てんかんの約3割は、検査をしてもはっきりとした原因が見つからず、てんかんになりやすい体質によって引き起こされる「特発性てんかん」です。てんかんは子供から大人まで幅広い年齢で発症しますが、高齢者と小児での発症率が高いことが特徴です。また、発熱、ストレス、体の疲労や睡眠不足などはてんかん発作を誘発します。

てんかんの原因となる疾患

脳に何らかの障害や異常があると、てんかんが起きることがあります。乳幼児期では、生まれたときに低酸素や仮死状態などの障害の他、先天異常、髄膜炎や脳炎など、脳の炎症の後遺症でもてんかんが起こります。成人になると増えるのが、頭部の外傷や脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、認知症、脳腫瘍によるてんかんです。お年寄りのてんかんの半数以上はこの脳血管障害や認知症が原因となって起こります。

全般発作

脳波の異常が大脳全体に広がる全般発作では、突然意識を失い倒れることがあります。全般発作の中にも種類があり、手足を突っ張るように硬直し手足をガクンガクンと曲げたり伸ばしたりした後、筋肉が緩んで発作がおさまる(強直間代発作)、動作中や会話中に十秒ほど突然意識がなくなり動きが止まる(欠神発作)、全身が脱力してバタンと発作中に意味もなく倒れる(脱力発作)、全身または体の一部の筋肉がビクッと動き場合によっては転倒してしまう(ミオクロニー発作)などがあります。

焦点発作

脳の一部分に異常が起こる焦点発作では、手や顔の一部がピクピク動いたり、体の一部がしびれたり、光がみえたり、言葉が出なくなるなどの症状があらわれます。懐かしい感じがする、怖い感じがするといった症状もあります。これらの症状は前兆(アウラ)として生じ、これらの症状に引き続き、だんだんと意識が曇ってくるような発作が起きるケースもあります。発作中に意味もなくまわりの物をさわるといった自動症がみられることがあります。

てんかん発作が起きたら周囲の人が落ち着いて対処しよう

発作の介助方法は、あせらず冷静に

家族などがてんかんの発作を起こしたときは、呼吸しやすいように衣類をゆるめて、怪我をしないように周囲の危険物をどかしてあげましょう。多くの発作は3分以内で治まりますから、その間どのような発作を起こしているか把握しておくと医師の診察を受けるときの大切な情報になります。スマートフォンでの録画も診断に役立ちます。また、発作の前にどんな行動をとっていたか、どのような時間帯に発作が起きたかを随時まとめておくのもよいでしょう。

発作を抑制するため病院で適切な診察を

てんかん発作の多くは治療によって抑制することが可能です。脳神経内科、脳神経外科、精神科、小児科などで診察を受け、適切な治療を受けましょう。

プチメモ小児てんかんの中には自然に治るものや治療により発作を抑えられるものも

小児てんかんの中には自然に治るものや治療により発作を抑えられるものも

てんかんと聞くと、「一生付き合う疾患」だと思いがちですが、子どもが起こすてんかん(小児てんかん)の中には成人するまでに自然と良くなるものもあります。また、治癒はできなくとも抗てんかん薬の服用といった治療により発作を抑えられるものもあります。
てんかんを持つ子どもに対しての生活や行事への参加の制限などは基本的にはありません。発作による怪我などには注意を払いつつ、必要以上に過保護にすることなく育てていくことが重要です。家族だけでなく保育園や学校の先生にも、発作が起こった際の対処や注意事項などを事前に伝えておくなど協力を仰ぎましょう。