強い胃酸と胃の消化酵素によって胃の粘膜が部分的に欠損するのが胃潰瘍です。主にピロリ菌感染、非ステロイド性消炎鎮痛薬の服用やストレスが原因で起こります。特徴的な症状は、食後みぞおち周辺に重苦しい痛みが起こります。潰瘍によって胃壁の血管が破れて出血を起こすと、めまいを感じたり、全身に冷や汗をかくなどの症状があらわれ、その後吐血が起こります。また、黒いタール状の血液が便と一緒に排泄されることもあります。
十二指腸潰瘍
強い胃酸と胃の消化酵素によって十二指腸の粘膜が部分的に欠損するのが十二指腸潰瘍です。主にピロリ菌感染が原因となりますが、非ステロイド性消炎鎮痛薬の服用でも起こります。早朝や空腹時にみぞおち周辺がシクシクと痛み、食事をとると治まります。胃潰瘍同様に、めまいなどの症状があらわれた後に吐血したり、黒いタール状の血液が便と一緒に排泄されることもあります。出血が激しいと、ときには意識を失うこともあります。
胃がん
胃がんは、日本人に非常に多いがんで、ピロリ菌の感染と塩分の多い食生活が関係していると考えられています。初期はまったくといっていいほど自覚症状がなく、みぞおちの痛みや膨満感、食欲不振、吐き気が出てきたころには疾患が進行している場合が多いのです。胃がんが進み、粘膜が破壊されると黒褐色の血液を吐いたり、黒いタール状の血液が便として排泄されるようになります。それにともない、貧血症状があらわれることもあります。
急性胃粘膜病変
アルコールの飲みすぎや過度の精神的ストレスを受けたり、これらとは別にステロイドや非ステロイド性消炎鎮痛薬の多量の服用が原因となって、胃にいくつもの出血性の胃炎を起こすことがあります。食道や胃、十二指腸の粘膜のあちこちがただれ、そこからの出血により吐血することがあります。しかし、原因を取り除けば、すぐに治癒するのが特徴です。
食道静脈瘤(りゅう)
食道の静脈がうっ血によりこぶのように膨れる疾患です。主に肝硬変の末期では、胃腸からの血流を肝臓へ送る門脈の血流が悪くなり、門脈圧が高くなります。逃げ場を失った門脈の血液は逆流して食道の静脈に流れ込み、食道の静脈がこぶのように膨らみます。このこぶの部分が圧力に耐えきれずに破裂し、鮮血を大量に吐き出してショック状態に陥ることがあります。また、固い食べ物が食道を通るときに静脈のこぶを傷つけると破裂のきっかけになります。