現代の日本では、「体内時計の乱れ」の原因である夜間のメラトニンの分泌低下を引き起こす環境が数多く存在します。
高度成長化した日本では、夜通しまぶしいほどの光がこうこうと輝き、夜間でも明るい照明の中にさらされる時間が多くなっています。テレビではいつでも鮮やかな映像を見ることができ、パソコンやスマートフォンの画面を眠る直前まで使用すること、また、LEDの普及などにより光の刺激を受けています。本来眠る時間に強い光の刺激を受けると、眠りをうながすホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなり、体内時計が乱れて、寝つきが悪くなったり、日中の不都合な時間帯に眠気が襲ってくるようになるのです。
近年日本では昼も夜もなく社会が動き続ける「24時間社会」となっており、大人からこどもまで人々の生活は夜型化し、就寝時刻が遅くなり、それによって睡眠時間も短縮しています。夜ふかしや暴飲暴食など、不規則な生活から体内時計が乱れて不眠の症状を訴える人も増えています。
急速な高齢化が進む日本。60歳代以降、不眠を訴える割合が高くなり、80歳代では3人に1人が不眠を訴えています。その背景には、加齢とともに眠りをうながすホルモンであるメラトニン分泌量が減るということが挙げられます。また、仕事を離れる等日常生活で体を動かす機会が減少したり、長く昼寝をするなど昼夜のメリハリがなくなる方も多いため、そのような体内時計が乱れやすい生活スタイルが不眠を引き起こしている場合も多いのです。