「飲んだ翌日、なんとなくだるい」「ビールがおいしい夏場、より疲れが抜けにくく感じる」「ゴルフのハーフラウンドやランニング後の“一杯”で、カラダがやけに重い」──その不調、単なる飲み過ぎではないかもしれません。実はアルコールの代謝には大量のビタミンB1が使われており、飲酒習慣がある人ほどビタミンB1不足に陥りやすいことがわかっています。だからこそ、大切なのは「飲むのは我慢」ではなく「飲むなら賢く」という視点。本記事では、飲酒とビタミンB1の関係を代謝メカニズムから紐解き、二日酔いに伴うだるさの原因や、さらに、ビタミンB1不足による認知機能への影響、そして正しい対処法として効率的なビタミンB1の補い方を解説します。
この記事からわかるポイント
- お酒を飲んだ翌日のだるさには、アルコール分解にともなって引き起こされるビタミンB1不足が関係している可能性がある
- 飲酒は、ビタミンB1を「消費する・吸収しにくくする・排出しやすくする」という複数の経路で減らしてしまう
- お酒をよく飲む人は、毎日の食事でビタミンB1を意識しつつ、足りない分を上手に補うことが大切
なぜ「お酒を飲むと疲れやすい」のか
「昨日飲みすぎたから疲れているんだな」──多くの人がそう片付けてしまう翌日のだるさ。思い当たることは飲酒そのもの以外にもいくつかあるかもしれません。久しぶりに揚げ物を食べ過ぎてしまい胃腸が重たい、元々残業続きで睡眠不足・疲れが溜まっていた、など。お酒に対する体質の面も考えられ、それらが複合的に絡み合っていることも挙げられます。しかし、仕事で疲れた体を癒そうと、あるいは趣味や運動などをひと頑張りしたご褒美やリフレッシュで飲んでいるそのお酒が 、かえって疲れを長引かせている可能性があります。実は、その理由の一つに、アルコールとビタミンB1の間にある、深い関わりが潜んでいます。
お酒を飲んだ翌日のだるさは、飲み過ぎや睡眠不足だけでなく、体内のエネルギー不足が関係している場合があります。平時からカラダは、単に活動するためだけでなく、日々活動するうち少しずつ受けたダメージを修復するために、常にエネルギーを必要としています。このエネルギーが不足し、ダメージが修復しきれない場合、疲れとなってカラダの症状に現れるのです。
そのエネルギーづくりに欠かせないのが、ビタミンB1です。ビタミンB1は、食事から摂った糖質をエネルギーに変える働きにおいて補酵素として深く関わっています。ビタミンB1が不足傾向にあると、平時でも疲れやすいカラダになるということが知られています。
一方で、飲酒時はアルコールの分解・代謝に伴ってビタミンB1の需要が高まります。さらに、アルコールは食事から摂取したビタミンB1の小腸での吸収を妨げるほか、利尿作用によって尿とともに排出されやすくします。そのため飲酒後はビタミンB1が不足しやすくなり、翌朝の体の重さやだるさにつながる可能性があります。
アルコールがカラダからビタミンB1を奪う「三つのメカニズム」
飲酒によるビタミンB1不足は、実際には3つのメカニズムが同時に働いています。
① アルコールの分解
アルコールは通常、肝臓で「エタノール(アルコール) → アセトアルデヒド → 酢酸」という経路において、アルコール脱水素酵素によって分解されます。ところがアルコールを大量に飲んだ時には、別の経路が働くようになり、アルコールの分解を促進します。この過程では、さらに肝臓への負担が増加し、ビタミンB1が必要になります。つまり、飲酒量が多いほど通常時よりも体内のビタミンB1不足につながりやすくなります。また、ビタミンB1はこれらの代謝経路によって無毒化された酢酸からエネルギーを産生する働きも担っており、肝臓の働きをサポートする強い味方です。二日酔い・酒残り※の出方には個人差はありますが、飲酒量によってはビタミンB1の不足によって「カラダのだるさ・重さ」の原因にもなっていることも考えられます。
※酒残り:体内に残っているアルコールのこと。肝臓での処理能力、アルコールを分解、代謝するための時間の不足で起こり、これが二日酔いの原因の1つとなっていると考えられています。
② 腎臓からの排出促進
アルコールには利尿作用があり、水溶性ビタミンであるビタミンB1は尿とともに体外へ流出しやすくなります。飲酒量が多いほど体内で利用可能なビタミンB1が低下し、不足しやすい状態につながります。図1のグラフでは、アルコール負荷群において、体内でのビタミンB1の需要が高まったり、ビタミンB1の尿中排泄が増えるため、血中ビタミンB1濃度が経時的に低下していることが推察されます。
注釈:健康男子学生5名にウイスキー200mLを2時間以内に飲んでもらい、血中ビタミンB1とエタノール濃度を経時的に測定した。個人差はあるものの、血中ビタミンB1濃度は経時的に低下した(アルコール負荷群)。
③ 腸管での吸収阻害
アルコールは消化管にも影響を及ぼします。特に慢性的な多量飲酒では、小腸粘膜の障害や栄養素の吸収機能の低下によって、食事から摂取したビタミンB1の吸収効率が低下することがあります。
また、飲酒後に下痢を経験したことがある人もいるかもしれません。アルコールによる腸管への刺激は、腸の水分調節や粘膜機能に影響し、便が緩くなる原因となることがあります。その結果、摂取した栄養素が十分に利用されにくくなる可能性もあります。
夏場はさらに危険な「四重のロス」
夏はこの構造にもう一つのリスクが加わります。それは、発汗です。
ビタミンB1は水溶性のため、汗からも失われます。夏場は気温上昇や気温が高く、夜は熱帯夜となる日もあるため、1日を通して発汗量が増加し、それだけでビタミンB1の体外排出が増えます。そこに飲酒が重なると、
- 汗で流出
- 尿で排出
- 代謝で大量消費
- 腸で吸収されず
という四重のロスが同時に発生します。
夏特有の「だるさが何日も続く」「寝ても回復しない」という感覚は、暑さ・夏バテによるものだけでなく、こうした栄養面の乱れが関与している可能性もあります。暑い時期は喉も乾き、ビアガーデン、ゴルフ場、音楽イベントやスポーツ観戦時などでビールがおいしく感じられる季節ではありますが、飲酒後に感じるカラダのだるさは、アルコールによる二日酔いの影響だけではなく、ビタミンB1の不足状態に対するカラダからのSOSという可能性も考えられます。
また、ゴルフやランニングなどのスポーツ後にビールを飲むといった運動後に飲酒を楽しむ人も多いのではないでしょうか。運動時も体温上昇に伴って発汗量が増加し、ビタミンB1が流出されますし、運動によってエネルギーを消費する過程でも消費されるため、飲酒がさらに拍車をかけることになります。
見過ごせない「脳」への影響
ビタミンB1不足の影響は、疲労にとどまりません。
脳は全身の中でも特にエネルギー消費が大きい臓器であり、ビタミンB1はそのエネルギー供給に不可欠です。ビタミンB1が不足がちだと、脳もエネルギー不足状態に陥りやすくなり、ぼーっとしてしまう、などの集中力低下や、イライラしやすい、やる気が出づらいなどの脳疲労状態を招くことも。また、慢性的なビタミンB1欠乏状態が続くと脚気などの欠乏症を引き起こすことは知られていますが、特に極度のビタミンB1欠乏を起こすと神経伝達にも支障をきたし、以下のような認知機能への影響が懸念されています。
- 記憶力の低下
- 注意力・判断力の鈍化
- 感情の不安定さ
さらに深刻な場合には、ウェルニッケ脳症(急性の意識障害・眼球運動障害)やコルサコフ症候群(重度の記憶障害)に進行するケースもあります。これらはアルコール依存症の患者に多いとされ、ビタミンB1欠乏が直接の引き金となることが明らかになっています。
「最近もの忘れが増えた」「頭がぼんやりする」──依存症とまではゆかなくとも、飲酒量が多い方がこうした状態を感じたら、単なる加齢やお酒によるものと決めてしまう前に、脳内のビタミンB1不足の可能性も視野に入れる必要があります。特に、アルコール関連認知症は可逆性な側面があることが特徴とされているため、飲酒量の見直しや意識的にビタミンB1を補うなど、早期に対処することが大切です。もちろん、他にも病気が隠れていることもあるので、症状が気になる場合は医療機関に受診しましょう。
二日酔いの予防・対策にも──ビタミンB1と食事の関係
二日酔いの予防や症状緩和の観点からも、ビタミンB1を含む栄養素の摂取は重要です。飲酒前後に意識したい食品のうち、特に豚肉やうなぎ、枝豆、大豆製品、玄米はビタミンB1を豊富に含むためおすすめです。さらに飲酒シーンではタンパク質源となり、肝代謝に関わるアミノ酸・ビタミンB群を含む卵や、肝臓のはたらきをサポートするしじみなどを意識して合わせると良いでしょう。
食事由来のビタミンB1には「吸収の壁」がある
「ならばビタミンB1を食事でしっかり摂ればいい」──理屈はその通りですが、実際にはいくつかのハードルがあります。
ビタミンB1は
- 加熱に弱く、水溶性のため調理中に流出しやすい
- 一度に吸収できる量に上限がある
という制約があり、必要量を食事だけで安定的に満たすのは容易ではありません。
特に飲酒習慣がある人は、「食べているつもりなのに足りない(栄養不良)」状態に陥りやすく、ここに食事由来ビタミンB1の弱点があります。
抗疲労成分(フルスルチアミン:ビタミンB1誘導体)という医薬品有効成分
ビタミンB1のこうした課題を踏まえてアリナミン製薬で独自に開発されたのが、フルスルチアミンと呼ばれるビタミンB1誘導体です。
食べ物に含まれるビタミンB1(チアミン塩酸塩)が水溶性であるのに対し、フルスルチアミンは脂溶性の特性を持っています。この構造上の違いにより、
- ビタミンB1に比べ、腸管からの吸収率が優れているので、体内により多く吸収される
- 筋肉・肝臓・脳や神経組織などの組織内に多く届けることができる
- ビタミンB1に比べ、細胞内で効果を発揮する形である活性型ビタミンB1を多く体内で作ることができる
という特徴を持ちます。
つまり、飲酒でビタミンB1が不足しやすい人にとっては、ビタミンB1の弱点を克服したフルスルチアミンは効率的な補給手段のひとつといえます。二日酔いに伴うだるさを防ぎたい人はフルスルチアミンを飲酒前や日ごろから、二日酔いになってしまった人はそのケアのために飲酒後やその翌日などにフルスルチアミンをきちんと服用することが効果的でしょう。
おわりに──「飲むなら賢く」。お酒と楽しく、健康的に付き合うために、フルスルチアミンを活用し、二日酔いを予防・ケアしよう
お酒は生活の楽しみであり、リラックスしたり、コミュニケーションの潤滑剤でもあります。しかし、その裏側でビタミンB1が静かに失われていることは、あまり知られていません。
- 飲酒はビタミンB1を消費・排出・吸収阻害の三方向から減らす
- 夏場は発汗が加わり、ビタミンB1はさらに不足しやすい
- ビタミンB1不足はアルコールの代謝を遅らせ二日酔いの原因のひとつになり得、また、全身のエネルギー不足・エネルギー代謝の停滞状態=だるさ・疲労の引き金にも
- 飲酒量が多い・長期化すればビタミンB1不足傾向の状態が続くため、集中力低下・パフォーマンス低下がでることがあり、更に認知機能にも影響する懸念
- 飲酒量が多い人はビタミンB1を普段の食事で意識して補いつつ、飲酒前後では大量に消費・流出することを見越し、フルスルチアミンのような吸収効率を高めた医薬品成分を活用することもおすすめ。フルスルチアミンを配合したビタミン剤はOTC(一般用医薬品)としてドラッグストア等で購入できる。
飲み過ぎて「なんとなくだるい」が続くとき、単に飲み過ぎを反省するだけでなく、体の中でアルコールを分解するために何が起きているかに目を向けてみましょう。「飲むのは我慢」ではなく「飲むなら賢く」。フルスルチアミンで、二日酔いにともなうだるさの予防・ケアに役立てることは、お酒と健康的に・上手に付き合うための第一歩になるはずです。
