ドーパミンは、中枢神経系で働く神経伝達物質であり、脳内報酬系を活性化し、記憶の形成や学習の成立、意欲の構築、快楽をもたらします。
ドーパミンが脳内に放出されると、中枢神経が刺激されて快楽や喜びの感情が湧きます。この感覚を「ごほうび」と認知すると、「ごほうび」を欲する回路(脳内報酬系)が脳内に構築されます。アルコールや薬物で快楽を感じたり、ギャンブル等でスリルを感じたりするのもドーパミンが放出され、脳内報酬系を活性化させるためと考えられています。
ドーパミンの過不足はさまざまな疾患に影響します。たとえばパーキンソン病により脳内で作られるドーパミンが全体的に少なくなると、運動機能の調節がうまくいかず、手足の震えや転びやすい、腕や足の筋肉がこわばるなどの症状が出ると考えられています。また、ADHD(注意欠如・多動症)はドーパミンが脳内の必要な場所に不足する、あるいは神経伝達の調節異常が生じることで、不注意と、多動性、衝動性が症状として出ていると考えられています。
逆に、統合失調症の急性期では、ドーパミンが脳内に過剰に放出されることにより過覚醒状態となり、幻覚・妄想などの陽性症状が出るという説があります。
ドーパミンが巷で「やる気成分」と呼ばれることがあるのは、ドーパミンが増えると集中力が高まることが知られているためです。新しいことに取り組んだり、仕事や勉強で集中したいときに大事な物質です。