症状別対策BOOK
複雑な働きをしながらも、とてもデリケートな胃。そんな胃に関するまめ知識をご紹介します。
胃痛
ペーハー(pH)とは、酸性やアルカリ性の度合を表す“ものさし”だと考えます。胃の場合、酸性が強いと、たんぱく質を分解する酵素がよく働き、雑菌を殺す作用も強くなりますが、一方では、ちょっとした胃の粘膜のキズでも、強い酸性の胃酸がそこに入り込んで胃壁を溶かしてしまいます。
胃内がアルカリ性側に傾いていると、粘膜には優しいかわりに、殺菌する力が弱くなってしまい、その上、人の持っている胃の中の消化酵素というのは酸性が弱いと働かず、消化作用が落ちてしまいます。
また、ペーハーは変化し易く、起きているときと寝ているとき、食事の前と食事の後、食事の内容によっても変わりますし、精神的ストレスによっても変化するのです。胃腸のトラブルを考えるうえで大切なことは、胃という臓器が極めてデリケートにできているということなのです。
胃の中は胃酸によって強い酸性に保たれ、口から入った細菌の多くは殺菌されるようになっています。ところが、ヘリコバクターピロリは胃粘液中の尿素を分解してアンモニアを発生させて酸を薄め、自分の周囲だけを中性の状態にして生きています。
ヘリコバクターピロリは、胃と非常に相性の良い細菌で、胃の粘膜表面にとりついて、慢性胃炎や潰瘍、さらに胃ガンなどの原因になるともいわれています。
はっきりした学問的裏づけはありませんが、アルコールの刺激は胃液の分泌を促進する、といわれています。
食前酒を飲むという習慣は本来騎馬民族など肉食民族のものです。肉食をする人は、胃で最大限に消化をするために酸の分泌を促進しておく必要があるので、濃いめのアルコールを少し飲んでから肉を食べるのです。最近は日本でも肉食文化が定着しているので、食前酒を飲むのも良いでしょう。
強いアルコールは胃を荒らすともいわれますが、胃液が常時50ccから100ccぐらい胃の中に溜まっているのでアルコールは薄められますし、濃いといっても焼酎で度数30度前後ですから少量なら心配はありません。
お腹いっぱい食べて“十分目”だと思っていると、胃によっては“十二分目”になることがあります。ほんとうに“腹も身のうち”です。
食事の後、横になって休むのは良いことです。しかし、眠ってしまうと胃の動きが弱まり、食べ物が消化されにくくなります。
むしろ、食後には散歩程度の運動をしたほうが消化にも良いのです。
胃から十二指腸への出口が体の右側にあるので、右下で寝ると食べたものが腸の方へ流れ易くなるといわれています。胃下垂の人、胃の働きの弱い人はお試しください。
普通に食べていれば心配はありません。でも、どんな食べ合わせでも食べすぎは禁物!
その通りです。潰瘍や炎症など、胃や十二指腸に傷ができている場合、胃酸に刺激されて痛むので、牛乳で胃の表面を保護することができるからです。
また、物を食べることで酸を中和するという意味もあります。
胃痛