症状別対策BOOK
症状や種類など、痔に関する基礎知識をご紹介します。
痔
痔は大きく3種類に分けられます。まず、直腸あるいは肛門の血行が悪くなり、血管の一部が膨れあがる「いぼ痔」(痔核/じかく)。次に、硬い便によって肛門付近が傷つく「切れ痔」(裂肛/れっこう)。そして、細菌感染によって膿(うみ)が出る(痔ろう/じろう)です。このうち最も多いのがいぼ痔で、普通「痔」という場合には「いぼ痔」のことを指しているといって良いでしょう。「切れ痔」と「痔ろう」は、いぼ痔と比べると少なくなっています。
調査では男女とも痔の患者の半数以上はいぼ痔ですが、それを除くと、男性は痔ろう、女性は切れ痔が多くなっています。原因は、お酒の飲み過ぎで下痢するのは男性が多いから、女性は便秘が多いから、などさまざまにいわれていますが、はっきりとはわかっていません。
また年齢別では、いぼ痔はどちらかというと高齢者に多く、切れ痔、痔ろうは若い人に多くみられます。
痔というと痛い病気というイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、全ての痔が痛みをともなうわけではありません。切れ痔は排便時や排便後にジーンという痛みがあり、急性期の血の塊を生じた外痔核も激しい痛みをともないます。
しかし、直腸側にできた内痔核や痔ろうは痛みません。その理由は肛門が形成されるメカニズムに起因します。
人間は母親の胎内で最初はお尻の穴がふさがっているのです。それが、お腹の中で育つにつれて、腸が段々垂れ下がり、同時に現在の肛門の場にあたる皮膚が上に上がっていきます。この両方がぶつかり合ってドッキングした部分の下側が肛門となるのです。つまり肛門は元々皮膚だったのです。
皮膚には、痛みを感じる神経がたくさんあります。ですから肛門側にできる切れ痔や外痔核は痛みをともなうのです。また、いぼ痔は突然、大量の出血がありますが、切れ痔は出血は少なく、拭(ふ)いた紙に付着する程度です。痔ろうの場合は膿が出て下着が汚れることがあります。
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