毛嚢炎(毛包炎)とは、毛嚢(もうのう)や毛包(もうほう)と呼ばれる毛穴の奥にある毛根を包む部分が、細菌感染によって炎症を起こしている状態のことです。表面にとどまる炎症を毛包炎、毛包の下部まで炎症が及んでいるものを毛嚢炎といいます。
炎症の原因となる菌は、多くの場合は黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などの常在菌です。常在菌は健康な身体に日常的に生息している細菌ですので、毛嚢炎は誰もがなりうる身近な皮膚疾患といえます。
毛嚢炎が悪化して毛穴の奥深くまで感染や炎症が広がると、「せつ」「よう」と呼ばれる皮膚疾患になります。
「せつ」とは炎症が一つの毛嚢にとどまっている状態であり、化膿して膿疱(のうほう)や固い結節(しこり)がみられます。
さらに炎症が悪化して、複数の毛嚢に炎症が広がったのが「よう」です。「よう」は皮膚の下で複数の「せつ」がつながりあった状態で、強い痛みや発熱、強い倦怠感などが現れます。
軽度の毛嚢炎であれば自然治癒することが多いですが、「せつ」や「よう」に悪化した際には医療機関での治療が必要です。