つわりはいつからいつまで? この時期に知っておきたいつわりの対処法も紹介
つわり(悪阻)はいつから始まり、いつ頃終わるのでしょうか? ママの多くが体験することになる「つわり」。特に初産のときは、「このつらさ、いつまで続くの?」と思う方も多いでしょう。つわりの時期の目安を知っておけば不安も減り、つらさも少しは和らぐかもしれません。
監修窪 麻由美 先生(丸の内の森レディースクリニック 副院長)
つわりはいつから始まる?
妊娠初期に現れる、吐き気や食欲不振、嘔吐などの症状を「つわり」と言います。妊娠5~6週目あたりに始まることが多く、その症状によって妊娠したことに気づく妊婦さんもいます。ただし、すべてのママがつわりになるわけではなく、マイナビウーマンがマイナビウーマン会員に実施した「妊娠中の症状と対策に関するアンケート」では全体の65%という結果でした。
つわりのピークは?
つわりの症状のピークは、3カ月目、8~12週あたりのことが多く、この時期には、吐き気やむかつきなどのつらい症状を経験されるママは少なくないようです。ただそれは、つわりが終わりに近づいているというサインでもあります。とはいえ、つわりは個人差があるため、この時期を過ぎても症状があまり治まらない人も、なかにはいらっしゃいます。
つわりはいつ終わる?
つわりのピークを越えて、12週目あたりからは徐々に症状が軽くなっていくことが多く、16週目までに大半の人は症状が気にならなくなるようです。つわりが治まり、食事ができるようになったら、ママと赤ちゃんのためにも栄養バランスを考えた食事を摂るようにしましょう。
つわりの症状
つわりの症状として、吐き気や嘔吐、食欲不振などは多くの人に知られていますが、それらの症状の他にもさまざまな症状が現れることがあります。
ここでは、つわりの主な症状について解説します。しかし、つわりには個人差があり、ここに挙げる症状がすべてのママに現れるわけではなく、まったくないという人もいます。また、先述の通りこれらの症状は妊娠16週目ごろぐらいまでに自然に消失することが多いものの、重症の場合は医学的な治療が必要なことがあるので、がまんは禁物です。つらければかかりつけの産婦人科医や助産師に相談しましょう。
食欲不振、嗜好の変化
食欲不振もつわりの症状として多いものです。食べようとした瞬間に、食べ物のにおいや湯気などによって吐き気を催してしまい食べられない、ということもあります。
また、食べ物の嗜好が変わる人もいます。良く知られているように、酸っぱいものが欲しくなるという人も実際、少なくありません。
食べつわり
これは、空腹になると気持ち悪くなってしまうつわりのことで、吐き気や嘔吐といった症状があります。朝起きて空腹のときに、この症状が強く現れやすいことも。空腹でなくなれば症状が弱まるものの、吐き気のために食べ物が喉を通らないこともあります。
だるくなる、強い眠気、イライラしやすい
だるさや強い眠気も妊娠初期にみられる症状で、先述した「妊娠中の症状と対策に関するアンケート」によるとママの22%が経験したと回答しました。また、妊娠によってホルモンのバランスが急変することなどの影響のために、メンタルヘルスの不調も起こりやすくなります。例えば、妊娠初期にイライラしやすくなることがあります。
その他
その他に、唾液の量が増えたり、頭痛や便秘がひどくなったりすることもあります。
こんなときには受診を
つわりの症状が強くつらい場合、医学的な治療が必要かもしれません。具体的には、以下のようなケースでは、がまんせずに受診してください。
- 食事だけでなく、水分も摂れない
- 体重の減少が続いている
- 尿の量が少なくなった
- 1日に何度も吐いてしまう
- 16週目を過ぎても症状が軽快しない
- つわり以外の気になる症状(性器出血、下腹部痛など)がある
- つわりの症状が徐々にではなく、突然消失した
このようなときに産婦人科を受診すると、超音波検査などによって赤ちゃんに問題が起きていないかを確認します。赤ちゃんに何か起きている疑いがある場合はより詳しい検査を進め、そうでない場合はつわりの症状の強さ次第で入院も検討されます。脱水状態になっていたり、尿検査でケトン体が陽性の場合(栄養が十分に摂れていない状態)、電解質異常が起きている場合(嘔吐や脱水のために体内のミネラルの量が異常になっている状態)などは、点滴で水分や栄養素を補うなどの治療を行うため、入院が必要となるかもしれません。
つわりの症状への対処法は?
食べたいものを食べたいときに食べよう
小分けにして食べる
つわりによる吐き気や嘔吐、食欲不振があるときには、食べたいものを食べたいときに食べるようにしてください。「1日3食」にとらわれず、小分けにして 回数を増やして食べると良いでしょう。
なお、妊娠をきっかけに、赤ちゃんのことを考えて栄養バランスに気を使い始める人もいますが、つらい時期はあまりこだわる必要はありません。この時期の赤ちゃんはまだ小さいので、ママの食事量が減ったりバランスが悪くても、赤ちゃんの成長に支障が生じることはほとんどないでしょう。ただし、つわりが終わったら、栄養バランスや量に気を付けるようにしてください。香辛料やにおいが強いものを控える
刺激の強いものを食べたときに吐き気を催すことがあります。香辛料やにおいの強い食べ物は、避けたほうが無難です。冷ましてから食べる
食べ物の湯気が気になるというママもいます。そのような場合は、冷まして湯気が出なくなってから食べると良いでしょう。ビタミンB6などのビタミンを摂る
ビタミンB6は吐き気に対して症状を緩和するという報告 もあります。マグロ、カツオ、サバ、胡麻、ニンニクなどはビタミンB6が豊富に含まれています。他にも、有効成分が明らかになっていませんが、つわりの予防にマルチビタミン(ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、葉酸、ミネラルなど含有)が有効という報告 があります。枕元に軽食を置いて寝る
朝、空腹時に気持ちが悪いという場合は、すぐに取って食べられるものなどを枕元に置いて就寝し、起床後に横になったまま食べるのも良い方法です。
食べられなくても水分はしっかり摂ろう
食べられなくても、水分はしっかり摂りましょう。おすすめの飲み物は、カロリーのあるスポーツドリンク、野菜スープなどです。また、氷をなめたり炭酸水も良いでしょう。
気分転換をしよう
眠気を晴らし気分をすっきりさせたいと思ったら、窓を開けて外気を吸ったり、ガムや飴を口にしてみましょう。酸っぱいものがほしくなったら、柑橘類や梅干しなどを試してみてはいかがでしょうか。
つわりの時期を楽に過ごすための工夫
気になるにおいや唾液への対策
つわりの最中には、わずかなにおいの刺激で吐き気がするという人も少なくないようです。そのような場合はマスクを着用すると良いでしょう。マスク着用によって、においの刺激が減るだけでなく、ママにとって大切な感染症予防にもつながります。また、外出時に持ち歩くハンカチやタオルに自分の好きな香りのアロマなどをつけておき気分転換することもおすすめです。その他、口をゆすいだり、寝るときなどはすぐ吐き出せるように近くに洗面器などを置いておくことも良いでしょう。
パートナーや家族の協力を得て、ゆったり過ごす
妊娠初期のつわりのつらい時期は、事情が許す限り無理をする必要はありません。身体がだるければ寝て、家事などはなるべくパートナーや家族に協力してもらいましょう。無理せず身体を休めることが大切です。
つわりの症状が落ち着いたら、少しずつ身体を動かすことを意識していきましょう。妊娠中期には流産のリスクも低くなっているので、軽い運動をすることもおすすめです。
職場の理解を得る
つわりで仕事が難しいときは、職場に配慮してもらうよう話してみましょう。その際、先に医師や助産師に相談して、「母性健康管理指導事項連絡カード」を記入してもらい、上司や事業主に提出すると、話がスムーズに進みやすいでしょう。
このカードは母子健康手帳に入っており、厚生労働省のサイトからもダウンロード可能です。このカードを提出した場合、企業には対策や対応を行う義務が生じます。
つわりの時期はゆったりとした気持ちで過ごしましょう
つわりはつらいものですが、新しい命の誕生をママに知らせる、赤ちゃんからのメッセージなのかもしれません。なるべく無理せずに、ゆったりとした気持ちで過ごしましょう。