つわりや出血…多くの先輩ママが経験した妊娠初期の症状とは?

望んでいた妊娠が判明し、うれしい気持ちの反面、初めての経験への戸惑い、これから起こる体の変化や注意すべきことなど、疑問や知りたいことが多いはず。
そこで今回は、先輩プレママ・ママ100名にアンケート調査し、妊娠初期に悩んだ症状についてランキング形式で発表します。症状の解説だけでなく上手に乗り切るための対処法など、産婦人科医監修のもとにご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

監修:窪 麻由美 先生(フィーカレディースクリニック 副院長)

そもそも妊娠初期ってどんな状態?

ママの外見に変化はないけれど、赤ちゃんの臓器が作られる大切な時期

妊娠4週〜14週未満の期間を「妊娠初期」といいます。最終月経の開始日を0週0日、排卵日を2週0日(28日周期の場合)として計算するので、0週〜2週の間は実際には妊娠していません。インターネットなどで最近、0週〜4週くらいを“妊娠超初期”と呼んでいる記事も見受けられますが、正式に定義されている用語ではありません。
妊娠初期は赤ちゃんの心臓、肺、中枢神経、消化器などの大切な臓器が作られている時期です。ママのお腹がふくらむなどの見た目の変化はありませんが、体の中ではさまざまな変化が生じています。
この変化に伴い、さまざまな症状が起こりやすくなります。症状や度合いは個人差がありますが、多くの先輩プレママ・ママは妊娠初期にどんな症状に悩んでいたのでしょうか。早速見ていきましょう。

1位/つわり

どんな症状?

主な症状は、吐き気(悪心)や嘔吐、頭痛、眠気、食欲不振、全身倦怠感(だるさ)などです。食べ物の好き嫌いが変わる嗜好の変化や、唾液量が増加することもあります。目安としては妊娠5週~6週から症状が現れ、妊婦の半数以上が経験するといわれています )。今回のアンケートでも100名中65名がこれらの症状に悩んでいました。つわりの症状や度合いは個人差が大きく、初産婦に多いという特徴があります。ほとんどの人は妊娠12週~16週頃までに自然に軽快しますが、中には不快な症状が長く続く人もいます。

症状の対処法や、少しでも軽減できる方法は?

日常生活や食事による工夫で症状を軽減できるよう対処しましょう。
・しっかりと水分を摂る
・口にできるものを食べたいときに食べる
・外出時は空腹を避け、糖質補給を心がける
・家事や仕事で無理をしない
・安静にする
・趣味など好きなことに集中できるものを見つける
・早朝の空腹時に症状が顕著になるので、枕元にすぐつまめるクッキーなどの軽食を用意しておく

吐き気止めの薬は、赤ちゃんに対し明らかな副作用は報告されていません2,3,4)。吐き気の症状が強く、つらいようであれば、医療機関に相談してみると良いでしょう。
また、ビタミンB6は吐き気に対して症状を緩和するという報告5)もあります。他にも、有効成分が明らかになっていませんが、つわりの予防にマルチビタミン(ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、葉酸、ミネラルなど含有)が有効という報告6)があります。

いずれにせよ十分な栄養が摂取できなくても、この時期の赤ちゃんはまだ小さく、ママの体が備えている栄養で成長できるので、体調優先で過ごしてくださいね。

ただし、つわりが重症化した妊娠悪阻(にんしんおそ)は注意が必要です。体重が妊娠前に比べて5%以上減少する、脱水症状として口の渇き、皮膚の乾燥などが見られる場合は、治療が必要となります。

2位/倦怠感や眠気

どうして起きるの?

妊娠初期に倦怠感(だるさ)や眠気を感じる詳しいメカニズムはよく分かっていませんが、妊娠に伴い増加するプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが原因と考えられています。
女性ホルモンが変化することで概日リズム(1日24時間周期の昼と夜の変化に合わせて体内の環境を変化させる機能)を調整するメラトニンというホルモンの分泌が影響され、睡眠のサイクルに作用するといわれています。また、プロゲステロンが上昇することにより、体温調節のリズムが崩れ、寝つきが悪くなったり、眠っている途中で目が覚めたりすることが、だるさや眠気につながると考えられます。他にも、つわりによる脱水や低栄養、疲労、貧血などもだるさや眠気の原因となることがあります。

症状の対処法や、少しでも軽減できる方法は?

1番の対処法は休息することですが、休んでいられない時もあると思います。そこで、日常生活で実践しやすい方法をいくつかご紹介します。
・朝起きた時に朝日を浴びる
・日中に眠くなったら20分程度の仮眠を取る
・軽い運動をする
・寝る前に入浴する
・寝る前にスマートフォンやテレビ、パソコンなどを見ない

3位/微熱もしくは風邪っぽさ

どうして起きるの?

お腹の中で赤ちゃんを育てるために必要となるプロゲステロンの影響で、妊娠初期は基礎体温が上昇した状態が続くことで、熱っぽく感じることがあります。

症状の対処法や、少しでも軽減できる方法は?

妊娠初期の微熱はホルモンバランスによるものと考えられ、多くは心配する必要はありません。しかし、風邪などの感染症やつわりが重症の場合(妊娠悪阻)でも体温が上昇することがあります。生理的な発熱か病気によるものかは自分で判断することが難しいと思いますので、早めにかかりつけ医に連絡して相談するのがよいでしょう。

4位/むくみ

どうして起きるの?

妊娠すると、体に水分を蓄える作用があるプロゲステロンが増加するためむくみやすくなります。また妊娠中は、出産の時の出血などに備えたり、赤ちゃんに栄養を行き渡らせたりするために、ママの血液量が増加することから、生理的にむくみやすくなるといえます。
足のむくみに悩む妊婦さんが多く、妊娠中期以降でのむくみには妊娠高血圧症候群※などの病気も隠れている場合があります。

※妊娠高血圧症候群:妊娠に対して母体が適応できず、通常、妊娠時には妊娠前に比べ血圧が軽度に低下するのに対し、血圧の上昇が認められる。血圧の上昇が現れた時期や、尿中にタンパク質が出ているか、臓器障害があるかなどにより妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠に分類される。

症状の対処法や、少しでも軽減できる方法は?

下半身の血液を心臓に戻すような工夫をしてみると良いでしょう。また、むくみが出ると水分を控えたくなりますが、逆に血液循環が悪くなってしまうので、注意してください。
・水分をしっかり摂る
・寝るときに足元に枕など入れて、少し高くして休む
・着圧式のソックスやストッキングを履く
・十分な睡眠時間を取る
・リンパマッサージ
・ウォーキング
・足浴

他に気をつけたいことは栄養面です。カリウム、ビタミンB1やカルシウム不足がむくみの原因になるので、つわりの症状がひどくなければ、不足しないよう意識してみてください。
またむくみだけでなく、血圧も上がるような場合は妊娠高血圧症候群などの病気が隠れている可能性があるので、医療機関に相談することをお勧めします。

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5位/出血

どうして起きるの?

生理の予定日の頃に少量の出血が認められることがあります。また、妊娠初期には受精卵の着床や胎盤が作られる過程で出血が起こることがあり、これは赤ちゃんへの影響が少ないものと言えます。ただし、流産、異所性妊娠(子宮以外の場所での妊娠)などの場合にも出血や茶褐色のおりものが生じることがあるので注意が必要です。胎嚢の周りに血液が溜まる絨毛膜下血腫や、受精卵の異常によって起こる胞状奇胎、子宮腟部びらん・子宮頸管ポリープ・子宮頸がんといった疾患などでも妊娠初期に出血が見られることがあります。

症状の対処法や、少しでも軽減できる方法は?

妊娠初期に出血する場合は、出血の量や痛みなどによって問題がある出血なのか判断することになります。妊娠が判明している場合は、放置せずかかりつけ医への受診をお勧めします。その際、出血の量や色、状態、出血以外の症状などを詳しく伝えられるようにしましょう。

症状も度合いも人それぞれ。自分なりの乗り切り方を!

さまざまな対処法をご紹介しましたが、重要なのは無理をせず、できそうな方法をできる時に行うことです。自分に合いそうな方法を見つけてください。
しっかりと栄養を摂ることは、ママにも赤ちゃんにもとても大切ですが、焦ることはありません。症状が落ち着いてから、食生活を見直していきましょう。栄養不足が心配であれば、食事で足りない栄養素を市販のビタミン剤などで補うことも1つの方法です。かかりつけ医師と相談しながら活用を検討するのも良いでしょう。
また、妊娠した時に現れる症状があまりに強く、つらいと感じるときは、何らかのトラブルが隠れている可能性もあるので、早めに医療機関を受診することが大切です。
妊娠によって体や気持ちにさまざまな変化があり、期待とともに不安もあるかと思います。そういう時は一人で抱え込まずに、家族やかかりつけの医師、助産師さん、地域の保健師さんなどに相談してみてくださいね。

「妊娠中の症状と対策に関するアンケート」調査概要

・調査対象:マイナビウーマン会員 妊娠後期(8ヶ月以上)~出産経験のある女性100名
・調査期間:2021年6月2日(水)~2021年6月14日(月)
・調査方法:『マイナビウーマン』会員アンケート(WEB)
・調査機関:株式会社マイナビ

参考文献

1) 編集・監修 公益社団法人 日本産科婦人科学会、公益社団法人 日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン 産科編 2020
2) Heitmann K, et al. BMC Pregnancy Childbirth 2015; 15: 321.
3) Matok I, et al. N Engl J Med 2009; 360(24): 2528-35.
4) McParlin C, et al. JAMA 2016 ; 316(13): 1392-401.
5) Vutyavanich T, et al. Am J Obstet Gynecol 1995 ; 173(3 Pt 1): 881-4.
6) Czeizel AE, et al. Arch Gynecol Obstet 1992; 51(4): 181-5.