ADHDの原因は?ADHDの「疲れやすさ」とビタミンや栄養との関係を解説します!

ADHDのイメージの模型

ADHD(注意欠如・多動症)は、遺伝的な要因、脳の構造や機能、そして環境要因が複雑に関わって生じるものとされています。

育て方やしつけ、本人の努力不足が原因ではありませんので、原因についての正しい理解が大切です。

また、栄養不足やビタミン不足がADHDの直接的な原因になるわけではありませんが、脳や神経が本来のはたらきを発揮するうえで、エネルギーや栄養素が欠かせないことも事実です。

特にビタミンB1(チアミン)は、神経のはたらきを支える栄養素として知られており、近年はその誘導体であるフルスルチアミンの脳への作用についても研究が進められています。

そこでこの記事では、ADHDの原因として現在わかっていることを整理したうえで、栄養やビタミンとの関係、そしてADHDの特性がある方が抱えやすい「疲れ」との向き合い方を解説していきます。

そもそもADHD(注意欠如・多動症)とは

オフィスで焦っている女性

ADHDの原因を考える前に、そもそもADHDとはどのような特性なのかを押さえておきましょう。

ADHDのことを「落ち着きのない子ども」というイメージで語られがちですが、実際には大人にも見られる特性であり、あらわれ方にもいくつかのタイプがあります。

ADHDは、不注意、多動性、衝動性といった特徴がみられる発達障害のひとつであり、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(LD)と同様、神経発達症(発達障害)に分類されます。

ADHDの特性のあらわれ方

特性のあらわれ方は大きく3つのタイプに分けられます。

  • 不注意が目立つタイプ:忘れ物やケアレスミスが多い、気が散りやすい、整理整頓が苦手
  • 多動・衝動性が目立つタイプ:じっとしているのが苦手、思ったことをすぐ口にする、順番を待てない
  • 両方がみられる混合タイプ

特性は子どもの頃からみられるのが特徴ですが、子どもだけにみられるわけではなく、大人になってからも症状が続く人もいます。

大人の場合には、「仕事の段取りが苦手」「会議に集中できない」といった形であらわれることもあり、職場に馴染めない、周りから自分だけが浮いている気がするといった違和感を感じる方も少なくありません。

大人になってから「もしかして」と気づくケースが増えているのは、こうした背景も関係しています。

一方、ADHDの特性として、「次々と周囲のものに関心を持ち、周囲のペースよりもエネルギッシュに様々なことに取り組むことが多い」といったものもありますので、まずは特性を理解することが大切です。

ADHDの原因は?現在わかっていること

虫眼鏡

ADHDの原因は、ひとつに特定できるものではありません。

「これさえなければ起こらなかった」という単一の要因は見つかっておらず、複数の要素が重なって生じると考えられています。

ここでは現在わかっている主な要因を整理していきます。

また、ADHDは、育て方や本人の努力不足が原因ではないことを理解しておくことも重要です。

遺伝などの「生まれつき」の要素が大きく、両親の教育などが原因ではありませんので、子どもがADHDだからという理由で、その両親のしつけや教育方法を非難するのは大きな間違いです。

遺伝的な要因

ADHDの特性は、生まれ持った体質的な要素の影響を受けると考えられています。

ただし、その仕組みはまだ十分に解明されていません。

ADHDの様々な特性の背景には、脳のはたらきかたの違いがあると言われていますが、その違いがどのように生じるのかについては、脳機能の発達や成熟に偏りが生じた結果と考えられているものの、原因はまだよくわかっていないというのが、現時点での解釈になります。

また、近年の研究では、多くの遺伝的な要素がわずかずつ影響し合う「多因子的なモデル」が支持されています。

特定の遺伝子ひとつでADHDになるかどうかが決まるわけではなく、親から子へ必ず受け継がれるものでもありません。

「遺伝的な影響を受けやすい素地がある」という理解が、実態に近いといえます。

【注意】「育て方」や「本人の努力不足」は原因ではない

ADHDの原因について、特に強調しておきたい点は、「育て方」や「本人の努力不足」がADHDを発症する要因ではないということです。

忘れ物や落ち着きのなさといったADHDの特性から、両親のしつけや本人のやる気が原因と誤解されがちですが、決してそうではありません。

原因を家庭や本人の性格に求めてしまうと、「自分がだめだからだ」という自己否定感が強まり、気分の落ち込みなど二次的な不調につながることもあります。

「特性である」という理解が非常に大切です。

ADHDの人も栄養で健康の土台作りを

ビタミンB₁のイメージ

ADHDの有無にかかわらず、脳と神経が本来のはたらきを発揮するには、エネルギーと栄養素が欠かせません。

繰り返しますが、これはADHDに限らず、すべての人に共通する話です。

たとえばビタミンB1(チアミン)は、糖質をエネルギーに変えるはたらきに関わる重要な栄養素です。

神経細胞の主要なエネルギー源になるのは糖質(ブドウ糖)であり、ビタミンB1は糖質からエネルギーを生み出す際に必要不可欠なため、神経のはたらきを支える重要な物質でもあります。

また、身体が動くためには、脳から発せられた「動け」という信号が、シナプスという接合部を通じて運動神経細胞から筋肉へ正しく伝達される必要があり、最近の研究では、ビタミンB1がシナプスの形成や維持に関与していることも分かってきています。

ビタミンや栄養がADHDの直接的な原因になるわけではありませんが、脳の機能を正常に働かせるためにも、日々の栄養補給が大切だといえます。

加えて、神経のはたらきと関わりのある栄養素のひとつであるビタミンB6も、体内で様々な情報を伝える「神経伝達物質」の合成に必要とされています。

神経伝達物質には、ストレスに応じて身体の機能を適応させるようにはたらくアドレナリンやノルアドレナリン、それらをコントロールして精神を落ち着かせるセロトニン、脳内の報酬系の活性化に関わるドーパミン、不安の抑制や睡眠の質を高めるようにはたらくγ-アミノ酪酸(GABA:ギャバ)などがあります。

ビタミンB6は、こうした神経伝達物質の合成に関わっており、神経のはたらきを支えるうえでも大切な栄養素のひとつです。

ビタミンB1誘導体「フルスルチアミン」と神経伝達物質「ドーパミン」の関係

前述したビタミンB1に関連して、近年注目されているのが、ビタミンB1誘導体である「フルスルチアミン」と、脳内の神経伝達物質であるドーパミンとの関わりです。

実際に、ラットにフルスルチアミンを投与した際の行動が観察された研究が存在します。

研究の結果、ラットの身体活動性が高まり、輪回し運動器でよく走行したり、自由に動き回れる環境で活発に動き回ったりと、運動量が増えることが確認されています。

さらに、そのときの脳内(前頭前皮質)の神経伝達物質を解析したところ、ドーパミンの放出が亢進していることが明らかとなりました。

また、ドーパミン放出が高まった直後に運動量が増加していたことも確認されており、フルスルチアミンが脳内のドーパミン放出を高め、運動量を増やしたのではないか、と考察されています。

さらに、フルスルチアミンの脳への作用に関連して、海外では、幼若マウスにフルスルチアミンを投与して自閉症やADHD(注意欠陥多動性障害)に関連する行動特性を評価する研究なども実施されており、今後さらなる研究が期待されています。

ADHDの特性がある人が感じやすい「疲れ」

疲れて休んでいる男性

ADHDの特性そのものが疲労につながりやすいという点も大切です。

  • 気が散りやすいぶん、集中を保つために人一倍エネルギーを使う
  • 過集中で休憩をとらず、あとから反動で強い疲労感が出る
  • 段取りやマルチタスクの負担が大きく、脳が休まりにくい
  • 「またミスをした」という気疲れが積み重なる
  • 就寝時間がずれやすく、睡眠が不足しがち

このように、ADHDの特性を持つ人は、その特性によって様々なシチュエーションで疲れや疲労感を感じやすくなります。

遺伝や生まれつきといった、ADHDの原因そのものを変えることは難しいですが、その特性を理解して対策を行うことで、毎日の疲れやつらさを緩和することができます。

ADHDの疲れを対策するには?

ADHDの人が疲れにくい毎日を過ごすためには、日常的な習慣を見直していくことがおすすめです。

たとえば、やるべきことを頭の中だけで管理しようとすると、それだけで脳に負荷がかかり続けます。

スケジュールやタスクを紙やアプリに書き出して見える形で管理する、スマートフォンの通知を必要最小限に絞る、ひとつの作業を短い単位に区切って取りかかりやすくするなど、気が散りにくく、ストレスがかかりにくい仕組みを作るようにしましょう。

また、睡眠のリズムも大切です。

睡眠が足りない状態では注意力がさらに保ちにくくなり、ミスが増えて気疲れが重なるという悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

就寝・起床の時刻をできるだけ一定に保ち、就寝前はスマホやパソコンをさわらないようにするなど、睡眠の質や量にこだわってみることもおすすめです。

食事やビタミンで疲れにくい身体を作る

ADHDの特性の有無にかかわらず、心身の健康を維持するためには、食事や栄養素が非常に重要です。

欠食は集中力の低下やだるさにつながりやすく、日中のパフォーマンスに影響してしまう場合もありますので、1日3食規則正しく食べることから始めてみましょう。

また、調理の段取りが負担になるのであれば、手間をかけずに食べられる常備食をあらかじめ用意しておく、といった工夫が現実的です。

ADHDの原因を正しく理解し「疲れ」をためない生活を意識しましょう!

ADHDの原因は、遺伝的な要因と脳の機能特性を中心に、様々な要因が重なって生じると考えられています。

両親の育て方や本人の努力の問題ではなく、栄養不足が原因というわけでもありません。

原因を誤って理解してしまうと、自分や家族を責めることにつながってしまう場合もありますので、正しい知識をもち、特性を理解することが大切です。

また、脳と神経が本来のはたらきを発揮するために、栄養や睡眠といった土台が重要であることも確かです。

特に、ビタミンB1誘導体であるフルスルチアミンは、脳との関連性が示唆される重要な栄養素のひとつであり、意識的に取り入れたい成分であるといえます。

フルスルチアミンは、OTC医薬品(市販薬)でも配合されている製品がありますので、用法・用量を守って正しく使用することが大切です。

ADHDの特性ゆえに疲れがたまりやすいのであれば、環境を整え、食事のリズムを守り、休息をとるなど、規則正しい生活習慣を意識しましょう。

気になる症状や強い疲れが続くときは、早めに専門機関へ相談してください。

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