発達障害の原因は?遺伝・環境要因とビタミンB群やビタミンDとの関係を解説します!

悩んでいる女性

発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いによるものであり、脳機能の発達に関係する障害のひとつです。

本人の努力不足や、保護者のしつけ・育て方が原因で起こるものではありません。

発達障害の特性を抱えている方の中には、他人との関係づくりやコミュニケーションなどを苦手とする方も多い一方、特定の分野で優れた能力が発揮されている場合もあり、周りからも理解されにくい障害のひとつとしても知られています。

また、発達障害が起こるメカニズムとして、なぜ脳の働き方に違いが生じるのかといった明確な要因に関しては、現時点では一つの原因に特定されておらず、遺伝的な要因と環境的な要因が関わり合っていると考えられています。

その環境要因の一つとして近年研究が進められているのが、ビタミンB群やビタミンDをはじめとする栄養状態との関連です。

そこでこの記事では、発達障害の原因として現在わかっていることを整理したうえで、妊娠中から成人期までのビタミンDに関する研究や、脳・神経のはたらきを支えるビタミンB群について解説していきます。

発達障害とは?発達障害の特徴は?

発達障害のイメージ

発達障害は、脳機能の発達に関係する障害として知られており、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)などが含まれます。

他人との関係づくりやコミュニケーションが苦手な一方で、特定の分野に優れた能力を発揮している場合もあり、そのアンバランスさが周りから理解されにくいという特徴があります。

そのため、行動や態度が「自分勝手」「変わった人」と誤解されてしまうことも少なくありません。

まずは、主な発達障害の種類と、それぞれの特徴を紹介していきます。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症は、コミュニケーション能力や社会性に関係する発達障害です。

「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴が知られています。

たとえば、相手の気持ちを推し量ることが難しい、物の置き場所がいつもと同じでないと気がすまない、大きな音が苦手といったようなケースもあります。

一方、自分の得意分野やお気に入りの環境では、一生懸命活動に取り組むことができる場合もありますので、一人ひとりの特徴や特性をよく理解していくことが重要です。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症は、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」といった特徴をもつ発達障害であり、「ADHD」と呼ばれることもあります。

大人の場合には、遅刻や忘れ物が多いといった形で困りごとにつながることもあり、社会や集団の中での生きづらさなどを感じてしまう方も少なくありません。

不注意と多動性・衝動性の両方がみられる人もいれば、どちらか一方が目立つ人もいます。

学習障害(LD)

学習障害は、全体的な知的発達には大きな遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」など、特定の能力が極端に苦手な状態をいいます。

苦手な分野以外では力を発揮できることも多く、周囲から気づかれにくい場合もありますので、一人ひとりの特性に合わせた対策や工夫を行うことも大切です。

発達障害の特性のあらわれ方は一人ひとり違う

発達障害にはさまざまなものがあり、上記の他にも、チック症や吃音、トゥレット症候群なども発達障害に含まれ、複数の種類が重なってあらわれることもあります。

また、特性の程度や年齢(発達段階)、生活環境によっても、あらわれ方は異なります。

同じ診断名であっても、得意なことや苦手なことは人それぞれです。

一人ひとりの特性に応じた理解や支援があれば、その「違い」は「障害」ではなく「個性」として受け止められるようになっていきます。

発達障害の原因として考えられていること

疑問のイメージ

発達障害の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、脳機能の障害によるものと考えられています。

生まれ持った遺伝的な要因と、生まれる前後の環境的な要因の両面から研究が進められていますが、「これが原因」と特定できるものは見つかっていません。

また、発達障害は子どもだけのものではありません。

子どものころには気づかずに過ごしていたけれど、大人になってから周囲に適応しづらくなり、初めて気がつく場合もあります。

大切なのは、一人ひとりの特性を正しく理解し、困りごとに合わせた工夫や支援につなげていくことです。

育て方や本人の努力不足が発達障害の原因ではない

発達障害のある人は、脳機能の発達がアンバランスであるために、行動や態度にさまざまな特性があらわれます。

発達障害のある人の行動は「わがまま」「自分勝手」「努力が足りない」と誤解されてしまうことが少なくありませんが、これらは発達障害に伴う特徴であり、本人のやる気や努力不足、保護者の育て方やしつけなどに起因するものではありません。

脳の働き方の違いによるものだと周囲が理解するだけでも、接し方は大きく変わっていきますので、本人のやる気や育て方が原因ではないことを知ることが重要です。

大人になってから気づく発達障害

発達障害は生まれながらの脳の働き方の違いであるため、大人になってから突然「発達障害になる」わけではありません。

多くの場合、特性は子どものころからあらわれていますが、個性のひとつとして受け止められたり、周囲からフォローされたりして、本人も周りも気づかないまま大人になることがあります。

しかし、大人になって社会に出ると、人間関係は複雑になり、さまざまな人とコミュニケーションをとる機会が増えます。

相手の表情から求められていることを察する、周囲に合わせて行動する、仕事を計画的に進めるといった社会性が求められる場面が多くなる場合も少なくありません。

そうしたなかで、もともと持っていた特性が浮かび上がり、人間関係や仕事での悩みをきっかけに、初めて発達障害に気づくというケースもあります。

ビタミンB群と脳・神経のはたらき

ビタミンのイメージ

ビタミンB群は、脳や神経がはたらくための土台としての役割が知られています。

ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンといったビタミン類の総称です。

この中でも、ビタミンB1や葉酸、ビタミンB12などは、脳や神経とも重要な関わりをもつビタミンとして知られています。

ビタミンB1は神経のエネルギーを支える

神経細胞の主要なエネルギー源は、糖質(ブドウ糖)です。

ビタミンB1は糖質からエネルギーを生み出す際に必要不可欠であるため、神経のはたらきを支える重要な物質でもあります。

ビタミンB1は食事から摂取できるビタミンではありますが、水溶性のため調理時に損失しやすかったり、腸管での吸収に限度があるため、不足しやすい弱点もあります。

このビタミンB1の弱点を改善した医薬品成分が、ビタミンB1誘導体であるフルスルチアミンです。

ラットを用いた研究では、ビタミンB1誘導体であるフルスルチアミンの投与後に脳(前頭前皮質)でドーパミンの放出が高まり、運動量が増えていたことから、脳への作用が注目されています。

また海外では、発達障害に関連する行動特性との関係を調べる動物研究も行われています。

いずれも研究段階ではありますが、ビタミンB1は今後さらなる進展が期待される栄養成分といえます。

葉酸・ビタミンB12とホモシステインの関係

ビタミンB12と葉酸の不足状態を反映する血中ホモシステイン濃度が、疲労と関係することが示されています。

そもそもホモシステインとは、体内での代謝過程で生成されてしまう「悪玉アミノ酸」のひとつであり、ビタミンB12や葉酸の不足状態を反映する指標にもなります。

そんな血中ホモシステインの増加は、主に活性酸素を発生させて酸化ストレスを上昇させることで、脳機能にも影響し、認知症(アルツハイマー病)のリスクを高めることも知られています。

ビタミンB12や葉酸などの栄養素が不足しないように積極的に摂取することは、脳機能を維持するためにも大切であると言えます。

ビタミンDと発達障害の関係とは?

ビタミンDのイメージ

発達障害の環境要因のなかでも、近年注目されているのが栄養状態との関係であり、ビタミンDとの関連性です。

ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムの吸収を助けるだけでなく、神経が脳と体の間でメッセージを伝えるためにも必要で、脳が正常に機能するために欠かせない栄養素とされています。

日本脂質栄養学会からも、神経や免疫の調整に関わるビタミンDの不足が、自閉スペクトラム症と関連する可能性があることについて紹介されています。

妊娠中のビタミンD・マルチビタミン摂取と子どものADHD・ASD特性の関連

オランダで行われた大規模な追跡研究では、妊娠中のビタミンDやマルチビタミンの摂取、良質な食事が、子どものADHDやASDの特性が少ない傾向と関連していたことが報告されています。

子どもの血中ビタミンD濃度に関する研究

海外の研究では、ASD児は健常児と比較して、血清ビタミンD濃度が不足または欠乏状態であることが報告されています。

それを踏まえて、国内でも、日本人の自閉スペクトラム症の子どもを対象に血中ビタミンD濃度と特性との関係を調べる研究が行われています。

研究の結果、ASD児ではビタミンDの欠乏や不足が認められ、ビタミンD(5μg/日)の補充によって、悩みの程度が改善したことも示されています。

このように、さまざまな研究によって、ビタミンDと発達障害の関係が調査されています。ただし、発達障害の予防や改善に対する有効性が確立されているわけではないため、更なる研究が進められています。

栄養素の不足も発達障害の原因になる?

ここまで紹介してきたように、ビタミンB群やビタミンDなどの栄養素と発達障害の特性との関連については、さまざまな研究が進められています。

とはいえ、特定の栄養素を摂ることで発達障害を予防できると確認されたわけではありませんので、研究結果を正しく受け止めたうえで、日々の生活に活かしていくことが大切です。

一方、栄養素が不足している場合には、発達障害の特性に限らず、毎日の健康習慣が崩れやすくなることは間違いありません。

毎日の食生活を意識的に整えるだけではなく、必要に応じてビタミンB群やビタミンDなどの栄養素が不足するような場合には、OTC医薬品・医薬部外品等を積極的に活用していくことも大切です。

気になる特性があるときは相談を

発達障害の診断基準を満たしていなくても、地域の発達相談や発達障害者支援センターなどに相談できます。

大人になってから特性に気づいた場合の相談先についても、政府広報オンラインで紹介されています。

ご家族やお子さんのことでも、ご自身のことでも、ひとりで抱え込まず、まずは身近な相談窓口につながるところから始めてみてください。

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