ランナーがレース前に、体を動かすエネルギー源である糖質を補給する「カーボローディング」。受験生が勉強中に甘いものを積極的に食べる……。これらの行動には“細胞のエネルギー”が密接に関わっています。
実は、こうした激しいスポーツやハードな勉強など肉体や脳を極度に使う人に限らず、普通の人の日常生活における「疲れ」にも、細胞のエネルギーがとても重要な意味を持っているのです。
朝すっきり目覚められますか?
2人に1人が、疲れを持ち越しています
あなたは、朝、目覚めたときに疲れが取れた実感がありますか。2004年の文部科学省の調査によると、常に疲れを感じる「疲労感を自覚している」人の割合は、56%。その疲れは長期にわたっているようです(①)。
①日本人は約6割が疲れを感じている
文部科学省の疲労研究班が大阪地区で行った疫学調査(2742人回答)では、「疲労感を自覚している」人の割合は56%で、全体の39%が、「その疲労が半年以上続いている」と回答した。(出典/文部科学省疲労研究班,2004)
背景には、24時間つながるネット環境、働き方改革による仕事の濃縮化や持ち帰り残業といった労働環境の変化、時差のある相手との日常的な業務などグローバル化の影響もありそうです。
一方、疲労回復のためには睡眠はとても重要ですが、日本は世界主要28カ国の中で睡眠時間が韓国に次いで少ない国でした(※1)。疲れを蓄積した結果起こる過労死は、英語でそのまま“karoshi”と言われるなど、日本は世界的に見ても疲労社会であるといえます。
- ※1 OECD2016年データ
あなたの疲れの原因は細胞のエネルギー不足かも
若い頃は、休日に休息をとったり、眠ることで体調を回復できたのに、最近は朝からだるいし、活力も出ない……。
そんなあなたには、「持ち越し疲労(※2)」がたまっているかもしれません。
- ※2 本稿では、「持ち越し疲労」を、休息したら回復する疲労(急性疲労)以外の疲労と定義して使用しています。
- 参考文献:渡辺恭良・水野敬著『疲労と回復の科学』(日刊工業新聞社)
休んでも疲労が回復しない。
それは細胞のエネルギー不足状態
疲れの原因のひとつに「細胞のエネルギー不足」があります。細胞は、機能するためのエネルギーを自ら作りますが、その際に活性酸素が生じます。そしてその活性酸素によって細胞はさびつき(酸化され)、機能が低下します。しかし、体にはその活性酸素を処理し、さびついた細胞を修復する機能も備わっています。
さびついた細胞の修復にもエネルギーが必要ですが、十分なエネルギーがあれば、細胞は修復され、再び本来の機能を果たすようになります。これが、疲れがすみやかに回復する「一般的な疲れ(生理的疲労)」の状態です。
しかし、現代社会では過剰なストレスなどによって体内で生じる活性酸素の量が増えてしまい、さびた細胞が増えがちに。このときオーバーワークなどによって修復エネルギーも不足していると、細胞の修復が間に合わず、さびて機能低下したままの状態になり、本来の機能を果たせなくなってしまいます。これが、現代人に見られる「持ち越し疲労」のメカニズムの一つです。
【3分でわかる】
からだの中でエネルギーができるしくみ
フルスルチアミンは細胞の主要なエネルギー源である糖質を
エネルギーに変えるのに役に立つ
細胞のエネルギーのもとになるのは、食事からとる三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)です。なかでも糖質は、脳や赤血球の主要なエネルギー源となる大切な栄養素。そして、脳を酷使する現代人には、糖質をエネルギーに作り変える力が不可欠です。
「日本人の食事摂取基準」(2015年版、厚生労働省)でも、1日に必要な総エネルギー源の50~65%は炭水化物(糖質)、脂質は20~30%、たんぱく質は13~20%が目標量としてと定められています。
そして、糖質からエネルギーを作るときに必要不可欠な栄養素がビタミンB1です。吸収されたビタミンB1は体内で「活性型ビタミンB1」の形に変わってエネルギーを作り出すのに役立ちます。
現代人は細胞にエネルギーを十分に供給するためにもビタミンB1を補給すべきですが、ビタミンB1は一度に大量にとっても吸収できる量に限りがあることがわかっています。
そんなビタミンB1の弱点を補い、①よく吸収され、②「活性型ビタミンB1」を多く体内で作る成分があります。それが「フルスルチアミン」です。これこそが、疲れに悩む現代人にとって、疲労回復のカギになる成分なのです。
疲れている人は、
フルスルチアミンを摂取することで、
疲労回復が期待できる
休息しても回復しない疲労は病気の可能性も疑ってみて
一般的な疲れ(生理的疲労)は、肉体疲労は十分な休息や睡眠をとったり、精神疲労は気分転換をすることなどで回復します。しかし、休息をとっても疲れが回復しない場合は、その背景に病気が存在している可能性があります。例えばがんの場合、がんの影響で生じた貧血やホルモン欠乏などの状態が原因で疲れを感じるほか、抗がん剤の治療の影響もあるでしょう。甲状腺異常などの内分泌疾患や、うつ病、肝炎など、疲れや倦怠感を伴う病気は多数あります。休んでも疲れが取れない場合、そうした病気の可能性を疑ってみることも必要です。