症状別対策BOOK
便秘・下痢に関係する腸のメカニズムについて、基礎知識をご紹介します。
便秘・下痢
腸は大きく分けると「小腸」と「大腸」から成っています。小腸は栄養素の消化・吸収を行なう場所で、約6mから7mの細長い管状になっています。
内部にはヒダがびっしりと並んでいて、胃から送られてきた食物が胆汁や膵液で分解され、吸収されるのです。栄養素のおよそ90%は小腸で吸収されます。小腸は大腸に比べて動きが早く、約2時間から4時間で消化は終了します。そして、小腸で吸収された後の残り物が大腸に運ばれます。
大腸では主に水分の吸収と糞便の形成、排泄が行なわれます。大腸は長さが約1mから1.5mで、小腸の倍の太さがあります。大腸では、できるだけ水分を吸収して固くしながら、24時間から48時間かけてゆっくり排泄物を肛門の手前まで運んでいきます。そして、この大腸で大活躍するのが腸内細菌です。
小腸には細菌は少ししかいませんが、大腸には膨大な数の細菌が住みついていて、腸の中の腐敗を防いだり、身体がつくることのできない栄養素を作ったり、抵抗力を強める働きをしています。
大腸には、皆さんよくご存知のビフィズス菌や大腸菌など、種類にして1000種類以上、100兆個もの腸内細菌が住みついています。
人間の細胞は約60兆個ありますが、それよりも多い数になります。また、糞便の3分の1は菌の死骸といわれており、腸内細菌は常に分裂・増殖・死を繰り返しているので、体内の細菌の総数はいつもほぼ一定に保たれています。重さにすると、常に1kgくらいの細菌が腸内にいることになります。
人によって、腸内に持っている細菌の種類は個人差がありますが、数には大きな違いはありません。これらの細菌の集団を、「腸内フローラ
腸の中には私たちの体にとって良い働きをする細菌と、悪さをする細菌が一緒に住んでいます。そして、良い働きをする酪酸菌・乳酸菌・ビフィズス菌などは一般に“善玉菌”といわれ、悪さをするウエルシュ菌などは“悪玉菌”といわれています。
善玉菌の代表は、
一方、悪玉菌(ウエルシュ菌など)は腸内の腐敗、発がん物質や毒素の産生などの有害な作用を持ち、体の抵抗力を弱め、下痢や便秘を引き起こすだけでなく、肝障害や高血圧、さらにはがんや老化の引き金にもなります。
また、善玉菌や悪玉菌に属さない“日和見菌”も存在します。
健康な腸のためには、腸内フローラのバランスと菌の多様性(様々な腸内細菌の存在)や大腸のバリア機能を保つことが大切です。そのためには、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維を意識的に摂取したり、酪酸菌や乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌そのものを摂取して補っていくことが望ましいといえます。
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