長年の喫煙習慣が原因の90%をしめる疾患です。近年増加しており、世界の死亡原因の第4位となっています。喫煙によって慢性気管支炎や肺が弾力を失う肺気腫を引き起こし、せきやたん、息切れが続くようになります。30〜40年近くかけてゆっくりと肺の機能が低下して徐々に呼吸が苦しくなり、最終的には呼吸不全になることもあります。
気管支喘息
慢性の気管支の炎症や、アレルギーによって気道が過敏になって狭くなる症状があらわれると、息が苦しくなる発作を繰り返します。喘息の発作時には、のどが詰まる感じがあらわれ、次いでせき、たん、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴・ぜんめい)、呼吸困難が続きます。息を吸うときより吐き出すときの方が苦しくなるのが特徴です。
貧血
鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の酸素濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。体内の酸素が不足するためにだるさや倦怠感、息切れ、めまいなどの症状が起こります。
更年期障害
閉経前後の約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れてほてり、のぼせ、イライラ、息切れ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。
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バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
のどぼとけの近くにある甲状腺から、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。甲状腺ホルモンの代謝亢進作用によってのぼせやほてり、多汗、手が震えたり、息切れや動悸の症状が起こります。その他疲労感や体重の減少、甲状腺の腫れ、目が突き出るなどの症状があらわれます。20〜30代の女性に多く発症します。
心不全
心筋梗塞や不整脈などのさまざまな心疾患が原因で、心臓の機能が低下し、体に十分な血液を送り出すことができなくなった状態です。全身の血液循環が悪くなるために肺にうっ血が生じ、呼吸困難、息切れや動悸が起こります。胃腸や肝臓にうっ血が生じると、食欲不振や嘔吐、腹部膨満感などもみられるようになります。
狭心症
心臓の筋肉に血液を送り込む冠動脈が脂質異常症や糖尿病によって、血管が動脈硬化で狭くなり、血流が不足しやすい状態に陥ります。そして、階段の昇降時や寒い日など心臓に負担がかかったときに、数分程度一時的に酸素が不足して、胸が締め付けられるような痛みや息苦しい発作を起こします。
心筋梗塞
心臓の筋肉に血液を送り込むのが冠動脈です。その冠動脈が動脈硬化を起こして内腔が狭くなると、血液が固まってできる血栓が詰まり、血流が完全に止まってしまうのが心筋梗塞です。突然、胸に激痛が起こり、痛みは30分から数時間続くことがあります。血流が止まると心筋の壊死がはじまり、その範囲が広がると、血圧が低下して顔面が蒼白になるとともに、吐き気や冷や汗などがみられたり、意識を失って死に至ることもあります。
脳出血
脳内の血管が破れて出血するのが脳出血です。その血管下流への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊ができ、それが周囲の組織を圧迫したりして脳の組織の破壊や障害が進みます。小脳や脳と脊髄をつなぐ脳幹部にこれらの障害が起きると、息切れや激しいめまい、頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひなどの症状があらわれます。
不整脈
心拍動が標準値(1分間に60〜100回程度)を外れて、拍動が多すぎたり少なすぎたり、または心拍動のリズムが乱れるのが不整脈で、息切れや動悸、胸の不快感などを感じます。低血圧や失神、意識消失や心停止に至ることがあり、生命の危険にさらされることがあるので、心臓や循環器の専門医への受診が必要です。
過換気症候群(過呼吸症候群)
過剰な精神的ストレスが引き金となって、突然浅く速い呼吸を繰り返す疾患です。動悸や酸欠状態のような息苦しさを訴えます。呼吸の回数が増えることによって血液中の二酸化炭素が過度に減少し、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどとともに呼吸速度が速まり、ときに失神することもあります。早まった呼吸を低下させるためには、紙袋で口と鼻を覆い、呼吸をするペーパーバック法が有効です。