排便時や排便後に真っ赤な血が出ているようなときは、痔が考えられます。痔は、排便によってうっ血した肛門や直腸の粘膜が傷つけられることで起こります。痔による血便では、便の表面に少量の血がついていたり、排便後にポタポタ落ちたり、ピューっと噴射状に出血したり、おしりを拭いた紙に血が付着していたりする点が特徴です。
胃潰瘍
強い胃酸と胃の消化酵素によって胃の粘膜が大きく傷つけられ、粘膜の一部が欠けるのが胃潰瘍です。ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが胃粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が胃粘膜や胃壁を消化することにより起こります。血液が食べたものと一緒に長い腸を経て排出されるため、真っ赤ではなく、コールタールのような黒い血が混じった血便になります。他には、食事の後にシクシクとみぞおち辺りに痛みを感じたり、吐血などの自覚症状もみられます。
十二指腸潰瘍
強い胃酸と胃の消化酵素によって十二指腸の粘膜が大きく傷つけられ、粘膜の一部が欠けるのが十二指腸潰瘍です。ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することにより起こります。便の色は黒く、コールタールのように見えます。胃酸の分泌が活発な若者に多くみられ、夜間や早朝など空腹時に持続的な腹部の痛みを感じることが大きな特徴です。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に潰瘍やただれができる炎症性の疾患で、ここ数年患者数が急増しています。20代の若い人に多く発症し、非常に再発しやすいという特徴があります。主な症状として、下痢にともなう粘血便があらわれます。重症になると発熱や腹痛を生じて、ときには緊急手術が必要となる疾患です。
大腸ポリープ
大腸の粘膜が盛り上がってイボのような塊ができる疾患です。大腸下部のS字結腸や直腸によくみられます。ポリープが小さいうちにはほとんど無症状ですが、大きくなるにつれて腸の内容物がポリープの表面を刺激するため、出血と腹痛を感じることがあります。ポリープの大部分は良性ですが、ときにがん化する危険性がありますので、定期的な検査が重要になります。
大腸がん
排便の後に出血することが多いといった自覚症状から、痔と誤解しやすいのが大腸がんです。しかし、大腸上部の結腸に発生するがんは、初期の場合ほとんど症状がなく、血便も肉眼では確認できないので、検査を受けないとわかりません。進行すると目で見てわかる血便になり、さらに腹部にしこりを感じたり、便が細くなったり、便秘や下痢、腹痛といった便通異常などの症状があらわれることがあります。