禁煙時のイライラ
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禁煙時のイライラ

喫煙している人が禁煙を試みると、気持ちのイライラや集中力低下、不安感があらわれます。これは、タバコに含まれるニコチンへの依存によって起こる離脱症状です。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

日常生活から考えられる原因

体がニコチンを求める離脱症状

タバコを吸うと、タバコに含まれるニコチンが直接脳を覚醒させ、「頭がスッキリとした」「気分が落ち着いた」という感覚をもたらします。タバコは吸えば吸うほど、ニコチンに対する脳の依存度を高めます。そのため、禁煙すると脳がニコチンを強く求める離脱症状があらわれるのです。

生活の一部が抜けたような焦燥感

タバコを吸い続けていると、吸うことが生活のパターンになっていきます。すると、禁煙したときに「手持ちぶさた」や「口さみしさ」を感じるようになり、タバコに対する心理的依存の症状があらわれます。さらに、タバコを吸わないことで心の支えがなくなったように感じて、イライラや集中力低下が起こることもあります。

禁煙時のイライラの症状

イライラや不安感などの離脱症状

ニコチン依存症に陥っている脳は、禁煙している時間が長くなるとニコチンを催促します。その催促のシグナルとして、イライラや集中力の低下、不安感などの離脱症状を引き起こします。離脱症状を起こした後にタバコを吸うと作業効率が上がるように感じますが、むしろ効率は下がるという研究データが発表されています。また、ニコチン依存がさらに強い人では不眠や幻覚などの重い禁断症状が起こることがあります。

対処法

禁煙でイライラしたときは気分を変える

禁煙時にイライラを感じたときは甘い物を口にしてみましょう。大きく深呼吸をしてリラックスしたり、歯を磨いて気分をまぎらわせることも効果的です。また、口さみしいときや手持ちぶさたを感じたときは、水やお茶を飲んだり、ガムや干し昆布をかんでみたり、おしゃべりをして気分を変えるといいでしょう。

タバコの誘惑を乗り切る

お酒の席では、飲む前に「禁煙宣言」を行って自分の禁煙への意識を高めるとともに、周囲の人の協力を得るとタバコの誘惑を断ち切りやすくなります。また、仕事がひと段落したときなどにタバコを吸いたいと感じたら、好きなお菓子やお茶を用意してティータイムを楽しんだり、顔を洗ったり、ストレッチをして気分を変えてみましょう。

禁煙時の体重増加にめげない

禁煙すると食欲が増進されたり、食べ物の味がよくわかるようになり、ついつい食べすぎてしまって体重が増加することが多くあります。よく噛んでゆっくり食べる工夫をしたり、禁煙状態がある程度安定した1カ月くらいからウォーキングや水泳などの運動を始めたり、お酒を控えめにして体重増加を防ぎましょう。また、毎日1回体重を測る習慣をつけることも、体重増加を抑えることに効果があります。

市販の薬を使う

自分ひとりの力でだけで禁煙するのではなく、市販の禁煙補助薬の助けを借りることも考えてみましょう。禁煙補助薬には、禁煙時の離脱症状を抑える効果のあるガムや体に貼るパッチなどがあります。自分のライフスタイルに合った薬を利用してみましょう。

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病院で診察を受ける

何度も禁煙に失敗しているという人は、一度病院の禁煙外来で診察を受けましょう。不眠や幻覚、動悸などの日常生活に影響が及ぶような禁断症状があらわれたときには、精神科を受診しましょう。

プチメモ禁煙の効果は20分後からあらわれる!

禁煙の効果は20分後からあらわれる!

「喫煙の悪影響よりも、喫煙できないストレスのほうが問題だ!」「病気のリスクが減るといわれても実感できない」とばかりに、禁煙に踏み出せない人も多いのでは? しかし、禁煙すれば確実に、そして思っているよりも早く体は変化します。まず、禁煙約20分後には血圧と心拍数が正常に戻ります。さらに約12時間後には血液中の一酸化炭素濃度が正常化し、23週間後には心機能の改善と肺機能の回復がみられ、1ヵ月後くらいからせき・息切れ・疲れやすさの頻度が減っていきます。最初から完全禁煙を目指すと失敗しがちなので、まずは1週間を目標にして、そして1ヵ月、3ヵ月と、段々と禁煙期間を延ばしていきましょう。