アポクリン臭汗症(しゅうかんしょう)とも呼ばれており、名前が示す通り、アポクリン腺から分泌される汗がもとになってニオイが生じるものです。腋臭症の患者さんはアポクリン腺が大きく、数も多いため汗の分泌量が多い傾向にあります。
ただし、腋臭症は白人・黒人に多く、日本人など黄色人種の場合は10%程度にしか見られないとされています。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
皮脂に含まれる物質が皮膚に常在するカビの一種によって分解されることで発生する成分が皮膚を刺激することで起こるとされる疾患です。症状は頭部や顔面など皮脂の分泌が盛んな場所にあらわれ、皮膚に赤みがさし、粉を吹いたようにカサつきます。
特に頭部に症状があらわれた場合はフケが増えてニオイも強くなるため、「自分は不衛生なのでは」と誤解される方も少なくないようです。
脂漏性皮膚炎に関する詳しい情報はこちら 湿疹(皮膚炎)
糖尿病
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで、体がブドウ糖を効率良く利用するために重要な役割を担っています。糖尿病はこのインスリンがうまく分泌されなかったり、インスリンの作用が弱まってしまったりする病気です。これが原因で、糖尿病の患者さんは食べ物から取り込んだブドウ糖を、うまくエネルギーとして利用することができません
症状が重い患者さんの場合では、体がブドウ糖を利用できない代わりに体脂肪を燃焼させてエネルギーを得ようとします。この時にケトン体と呼ばれるニオイのある物質が発生し、全身をめぐって息や汗と共に排泄されることで、独特の甘酸っぱいニオイを発生させます。
肝硬変など肝機能の低下
肝臓は人体のなかの化学工場のような臓器で、食べ物から取り込んだ栄養を体が利用しやすい形に変える、毒物など体にとって不要な物質を分解するといった役割を担っています。
肝臓がウイルスや肥満などの影響で炎症(肝炎)を起こして病状が悪化すると、肝臓の組織が壊れ続け、やがて硬くなって肝硬変という病気にまで進みます。肝臓の機能が低下してしまうと、消化の過程で発生するアンモニアなどのニオイの原因成分を処理することができなくなり、それらが息や汗にまじって排泄されることで体臭が発生します。
魚臭症候群(ぎょしゅうしょうこうぐん・トリメチルアミン尿症)
トリメチルアミンは魚が腐敗したときに出るニオイの主成分です。魚臭症候群(トリメチルアミン尿症)とは、トリメチルアミンを分解して無臭のものにするための酵素が体内でつくられないというものです。
魚臭症候群の患者さんの場合は、食べ物を消化・吸収する過程で発生したトリメチルアミンが分解されないまま体内にたまっていき、息や汗、尿と共に体外へ排泄されることで独特のニオイを発します。
甲状腺機能亢進症
甲状腺はホルモンを分泌する臓器で、体温や発汗の調節などに関わっています。甲状腺機能亢進症とは、その機能が異常に高まって甲状腺ホルモンが多くつくられ過ぎている状態のことをいいます。
甲状腺ホルモンが過剰にはたらくと、暑がりや汗かきといった症状が強まり、その汗が体臭の原因になる可能性があります。
※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。