シュウ酸や尿酸などの塩類が結石状に固まって腎臓や尿管に留まる疾患です。塩類結石が尿の中に混ざり、尿がにごる、血尿になる他、排尿に時間がかかるとともに残尿感があり、トイレに行く回数も増えます。腎臓結石が尿管に落ちるときや結石が尿管を移動するときには、それが刺激となって腰痛や下腹部の激しい痛みが発作的に起こり、冷や汗をかくほどの激痛に襲われることもあります。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂や腎そのものが細菌に感染して起こります。発熱とともに、尿の濁りや血尿がみられるほか、背中から腰にかけての痛みや吐き気、嘔吐、発熱などが現われることもあります。排尿時の痛みや尿の回数が増えることもあります。下半身の冷えが主な原因になるため、下半身の冷えに悩む女性に多くみられる疾患です。
急性膀胱炎
膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。膀胱炎になるとトイレが近くなり、排尿時の痛み、尿のにごりや血尿などの症状があらわれます。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。性行為による感染が原因になることもあります。
性器クラミジア感染症
クラミジアという細菌による性感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患ですが、おりものが多少増える程度の軽い症状のため、感染に気が付かない場合も多くあります。進行すると不妊の原因となったり、妊婦の場合は胎児が産道の通過で感染し、重篤な肺炎や結膜炎を起こすこともあるので、注意が必要です。男性が感染すると尿の出始めの軽い痛みやしみる感じとともに、淡黄色や白色の膿が少量混ざり、尿がにごります。
淋菌感染症
淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状があらわれることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度なので、感染に気付かず慢性化することがあります。また、妊婦が感染すると、新生児の結膜炎を招き、最悪は失明の危険もあります。見過ごすと炎症が尿道や膀胱に広がり、排尿時に痛みを感じるようになります。男性の場合、尿道が感染することで尿の出始めに焼け付くような強い痛みとともに黄色い膿が尿に混じります。
尿道炎
尿道炎は男性に多くみられる疾患です。原因のほとんどは、性行為による淋菌やクラミジア菌などの感染で尿道に炎症を起こします。淋菌の感染は尿に大量の黄色い膿が混ざってにごり、排尿時に強い痛みをともないます。クラミジア菌の感染は排尿時の軽い痛みとともに、淡黄色や白色の膿が少量排泄され尿がにごります。尿道炎は放置しておくとまったく排尿できなくなる尿道狭窄(きょうさく)の原因にもなります。
前立腺炎
尿道から侵入した大腸菌やブドウ球菌に前立腺が感染して、炎症を起こします。初期には頻尿や残尿感、排尿時の軽い痛みが生じます。進行して炎症が強くなると排尿時の痛みが増し、さらに膿が混じった尿が出るようになり、下腹部痛や倦怠感、悪寒、高熱などがあらわれます。
前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん
いずれのがんも初期には自覚症状があまりありませんが、血尿により尿のにごりが生じることがあります。しかし、初期の場合、肉眼で確認できる血尿はごくまれなので、検査して血尿が認められることで、異常が見つかることが多いのです。進行して腫瘍が大きくなると排尿困難や残尿感などがあらわれ始めます。やがて肉眼でもわかる血尿で尿がにごり、尿が全く出なくなる尿閉や勃起不全などが生じます。いずれのがんも一刻も早い泌尿科の受診と治療の開始が必要です。