頭が痛いときに考えられる
原因は?頭痛の種類と症状を
和らげる方法
不意に襲ってくる頭痛に、悩まされてはいませんか? 風邪やお酒の飲み過ぎなど、思い当たる節があるならまだしも、原因がわからない頭の痛みには不安を抱いてしまいがち。人によっては、くも膜下出血や脳腫瘍といった病気を想像することもあるかもしれません。
では、重大な病気につながる頭痛とそうでない頭痛には、どのような違いがあるのでしょうか? 痛みを和らげる対処法と共に、専門医監修のもとご紹介いたします。
監修:清益 功浩 先生(大阪府済生会中津病院小児科 部長)
頭痛の基礎知識
身体の不調は、たとえちょっとしたものでも日常生活に支障をきたしがちです。頭痛も同様で、頭がズキズキして仕事や勉強に集中できなかったり、起きているだけで辛かったりといった経験がある人も少なくないのでは? そんな不快な頭痛は、何によって引き起こされるのでしょうか?
頭が痛くなるのはなぜ?
頭部内外の血管や神経、また頭や首の筋肉に何らかの原因で異常が生じ、痛みとなって現れる。これが頭痛のメカニズムです。こめかみ部分の動脈が拡張して炎症を起こす、頭を取り巻く筋肉が緊張して収縮する、脳内の血管が破れ、出血してできた血液の塊が脳を圧迫するなど、頭痛の種類によっていくつかの過程があります。
頭痛の種類
頭痛にはさまざまありますが、大別すると、命に別状のない慢性的な頭痛(一次性頭痛)、他疾患の兆候が疑われる頭痛(二次性頭痛)の2種類に分けられます。
一次性頭痛
脳そのものには特に異常がなく、原因となる病気がない頭痛のことです。片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などを指し、慢性的に痛みを繰り返すケースもあります。
二次性頭痛
何らかの病気が原因で引き起こされる頭痛で、これまでに経験したことのないような頭痛が起こることが特徴です。脳疾患の症状として現れるものが多く、脳卒中や脳腫瘍などが原因の場合は一刻も早く治療する必要があるため、早急に医師に診断してもらってください。一次性頭痛に比べると、痛みの度合いが激しかったり、吐き気や発熱、手足のしびれといった症状を伴ったりすることが多いので、「いつもの頭痛と違う」と思ったら迷わず医療機関を受診しましょう。
頭が痛いときに考えられる原因
頭痛の種類によっては、原因はもちろん痛みなどの症状も変わってくるもの。ここでは、もう少し細かく頭痛の種類と症状について見ていきましょう。
一次性頭痛の症状と原因
片頭痛
頭の左右どちらか、もしくは両側に、心臓の鼓動に一致したズキンズキンと脈打つような痛みが起きるのが特徴です。時には吐き気や嘔吐を伴うほか、光や音などに過敏に反応する場合もあります。痛み始める前に目の前がキラキラして、視界の一部が遮られるといった前兆を伴うこともあります。痛みの持続時間(発作)はまちまちですが、前兆のない片頭痛では4時間程度から長ければ3日間ほど続きます。
原因の一つとして、顔の皮膚の感覚を伝える三叉神経の影響が指摘されていますが、まだはっきり解明されていません。誘発、悪化因子としてストレスがあります。また、片頭痛は男性より女性に多く、女性ホルモンの変動が関係する可能性も考えられており、月経時やその前後に片頭痛が起きやすいという女性も少なくないようです。
緊張型頭痛
一次性頭痛の中でも、特に多いと言われるタイプです。頭の両側や後頭部がジワッと締め付けられるように痛み、持続時間は30分から7日間と様々です。
主な原因は、頭部周囲の筋肉の緊張や血行不良が原因と考えられています。長時間同じ姿勢を続けるうちに首や肩の筋肉がこわばってしまったり、身体的・精神的なストレスなどから身体の筋肉や神経に緊張を与えたりすることが引き金となることもあると考えられています。
このほか、原因のひとつとなり得るのが眼精疲労。度数が合っていないメガネやコンタクトレンズの着用や、パソコン、スマートフォン、TVの見過ぎなどで目が疲れると、首や肩の筋肉に緊張を与えることとなります。結果、緊張型頭痛につながる可能性もあるので注意しましょう。
群発頭痛
片側の目の奥がえぐられるような激烈な痛みが15~180分ほど持続し、周期的に起こる頭痛です。涙、鼻水、鼻づまりや目の充血、まぶたが腫れて垂れ下がるなどの症状が見られることもあります。反復性の群発頭痛では、2週間から3ヵ月ほど続く群発期といわれる決まった期間に痛くなるのが特徴です。発症年齢は20~40歳代で、男性の方が多く、女性の3~7倍とされています。
はっきりした原因は解明されていませんが、三叉神経の活動が過剰に高まることによって発症する説、内頚動脈がつながる海綿静脈洞と呼ばれる目の奥にある細かい静脈が集まった場所に血液のうっ滞が生じることによる説などが考えられています。また、一日の中で決まった時間に定期的に起こることや持続時間がほぼ一定であることから、脳内の視床下部にある体内時計が関係している可能性も考えられています。群発期のアルコール摂取で誘発されることも知られ、タバコを吸う人に多いことも特徴です。
二次性頭痛の原因
頭痛が兆候となる病気はさまざま。くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、髄膜炎、脳動脈解離、慢性硬膜下出血など、命に関わるものも多く存在します。命に関わる病気の場合は一刻を争うので、少しでも早く医師の診断を受けるようにしましょう。治療や手術などで原因を取り除ければ、痛みからも解放されるはずです。
頭痛を和らげる主な方法
軽い片頭痛や緊張型頭痛のように、病気の兆候ではない頭痛なら、セルフケアで対処することも可能です。痛みを感じたときは、以下の方法を参考にしてください。
片頭痛の対処法
しばらく安静にする
片頭痛は、動作によって頭痛がひどくなります。階段の昇り降りで身体を動かしたり、光や音の刺激を受けたりすることで痛みが強くなることがあります。そのため、できるだけ暗く静かな場所で、しばらく休むようにしましょう。
頭を冷やす
血管の拡張が要因とも言われる片頭痛の場合は、血管の収縮を促すために頭を冷やすとよいでしょう。保冷剤や冷えるジェルシートなどもおすすめです。
緊張型頭痛の対処法
頭や首のまわりを温める
緊張型頭痛は頭の周りや首の筋肉、肩の緊張をほぐすことが大切です。蒸しタオルなどをあてて血行を促進し、こりをほぐすのがおすすめです。
気分転換を図る
精神的なストレスによる緊張型頭痛に対しては、心を休めることも大切。時にはリラックスする時間をもつなどして、緊張をほぐすようにしましょう。また、デスクワークの合間にストレッチなどを行えば、気分転換できる上に筋肉もほぐれて一石二鳥です。
運動をする
動作によって頭痛がひどくなる片頭痛とは異なり、緊張型頭痛では、運動でむしろ楽になります。適度な運動を行って、筋肉をほぐすとよいでしょう。水泳やウォーキングなどもおすすめです。
頭痛に効くツボを押す
東洋医学で不調改善の治療法とされるツボ押しも、頭痛の痛みを和らげる助けとなります。ツボはいくつかありますが、おすすめなのが「合谷(ごうこく)」というツボです。手の甲を上にして指を開き、親指と人差し指の骨が合流する箇所の近くにあるくぼみ部分です。ここを反対側の親指と人差し指で数秒間、ゆっくりと圧迫しましょう。
その他、「天柱(てんちゅう)」というツボもおすすめです。うなじを通る2本の筋肉それぞれの外側と、髪の生え際がぶつかったあたりにあるくぼみに指をあて、ゆっくり押す、ゆっくり離すを数回繰り返しましょう。
市販の頭痛薬による対処
軽い片頭痛や緊張型頭痛は、市販薬でのセルフケアも可能です。解熱鎮痛薬として市販されているのは、解熱鎮痛成分単味のもの、それにカフェインや催眠鎮静成分配合のものが中心です。自分に合ったものを見つけておきたいですね。
分類 | 成分 | 働き |
---|---|---|
解熱鎮痛成分 | イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリン、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 解熱作用、鎮痛・抗炎症作用がある。 |
カフェイン類 | 無水カフェイン、カフェイン水和物 | 血管を収縮させるはたらきや、弱い鎮痛作用などがある。 |
催眠鎮静成分 | ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素 | 中枢神経を抑制する作用がある。 |
症状が良くならない場合は、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。頭痛外来など専門医のいる病院をチェックしておくと、いざというとき安心です。
医療機関の受診をおすすめする場合
下記のような頭痛の場合は、医療機関を受診しましょう。
・今までにない強く、突然の激しい頭痛
・最近現れ、日に日に悪くなっていく頭痛
・起床時のひどい頭痛
・発熱もないのにひどい頭痛
・発熱、麻痺、けいれん、意識の異常などの症状を伴う頭痛
・うまく話せない、記憶があいまい、ものがぼやけて見えるなどを伴う頭痛
・吐き気がひどい頭痛
・市販の痛み止めで効果がない頭痛