監修
姫野 友美 先生 (ひめのともみクリニック 院長、日本オーソモレキュラー医学会 理事)

副腎疲労とは、副腎を含む、視床下部-下垂体-副腎系(Hypothalamic-Pituitary-Adrenal axis)からなる「HPA軸」の調整が慢性的なストレスなどによって乱れることで、その機能が低下する状態を示す概念です。副腎は生命維持に欠かせないホルモンを分泌する働きを持っているため、副腎の機能が低下することにより、さまざまなホルモンの分泌が減ってしまったり、分泌されるタイミングが適切でなくなったりして、体内を最適な状態に維持できなくなります。その結果、「いくら休んでも疲れが取れない」といったさまざまな症状が現れてきます。
副腎疲労は、1990年代にアメリカの臨床栄養学者であるジェームズ・L・ウィルソンによって提唱された病態(病気の原因およびそれによって生じている体内の変化)です。国内でも概念として理解されるようになってきましたが、まだ病気としての認識は医療従事者の間でも高くありません。
実際のところ、医療機関で行われる一般的な検査で副腎の機能低下を捉えることは難しく、診療上も保険適用はされず自由診療となります。

副腎とは、左右2つの腎臓の上にある小さな臓器で、重さは2つ合わせても10g前後しかありません。「副腎」というその名称から、血液をろ過して尿を作る「腎臓」を補う存在と思われがちですが、腎臓の働きとはほとんど関係ありません。単に、腎臓に隣接している小さい臓器という位置関係から「副腎」と名付けられました。
ここでは、副腎の役割と副腎から分泌されるホルモンの作用を解説していきます。
副腎の主な役割は、体の内部環境を最適な状態に維持することです。専門的には「生体のホメオスタシス(恒常性)を保つ」と表現されます。
生体のホメオスタシス(恒常性)とは、血糖値や血圧、体液の量などの生命活動に重要な要素を、体が置かれている状態にあわせて常に変化させ続けることを意味します。ホメオスタシスが維持されることで、体の状態が一定に保たれます。
副腎はこの役割の維持のためにさまざまなホルモンを分泌していて、その種類は50以上に及びます。
副腎の構造は、中心部の「髄質(ずいしつ)」と、それを取り囲む「皮質(ひしつ)」という2つに分けられます。どちらからも、体の状態を一定に保つために重要なホルモンが作られ、分泌されています。主なホルモンの作用は以下の通りです。
副腎で産生・分泌されるホルモン
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分泌部位 |
ホルモンの種類 |
作用 |
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副腎髄質 |
アドレナリン | 急なストレスに対応して、全身的に作用し心拍数や血圧などを高めて活動に適した状態にする。 |
| ノルアドレナリン | ストレスに対応して、主に血管に作用し血圧を高める。副腎髄質以外に交感神経からも分泌される。 | |
| ドーパミン(ドパミン) | 体を動かす機能や意欲に関わる。主に脳内で分泌される物質として知られるが、副腎髄質でも分泌されている。 | |
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副腎皮質 |
コルチゾール | 「糖質コルチコイド」の一種で、ストレスに対応して血糖値を上昇させる他、脂質やタンパク質の代謝、炎症抑制にかかわる。 |
| アルドステロン | 「鉱質コルチコイド」の一種で、ナトリウム(塩分)や水分を保つように働き、体液量や血圧を維持する。 | |
| DHEA(デヒドロエピアンドロステロン) | 「副腎アンドロゲン」の一種で、男性ホルモンや女性ホルモンの材料となる。 |

副腎が分泌するホルモンは、主に心身にストレスがかかったときに、体が生存に最適な状態になるような変化を起こすように働きかけます。さまざまなストレスが副腎に負担をかけていて、個々のストレスの影響の強弱は人により異なります。
ここでは、主に考えられるストレスの要因を挙げます。
通常、なにかしらのストレスがかかっていても、最初のうちは副腎が機能して体を最適な状態に維持することができます。しかし、その状態が長く続いていると、やがて副腎は疲弊し、ストレスがかかってもホルモンを分泌できなくなったり、ホルモンのバランスや分泌のタイミングが乱れたりしてきます。
現代の社会生活においては、常に精神的なストレスにさらされています。そのため、多くの人が副腎が疲弊してしまいやすい生活を送っていると考えられます。
疲労の回復には休息が欠かせません。特に睡眠が重要です。睡眠時間が少ない、睡眠の質が良くないといったことは心身にストレスをかけ、副腎疲労を悪化させてしまうと考えられます。
また、睡眠不足や睡眠の質が良くないために、日中に眠気を感じたり仕事や勉強がはかどらないといったときに、コーヒーなどでカフェインを摂取する方もいるでしょう。実は、そのカフェインが副腎疲労を加速させてしまいかねないともいわれています。
カフェインを摂取すると一時的に覚醒度が高まるものの、その後の睡眠を妨げることがあり、そのために疲労の回復が不十分になってしまうためです。カフェインの摂取はほどほどにしましょう。
近年、腸内フローラ(腸内細菌叢)の研究が進み、腸内環境が代謝関連や免疫関連など、さまざまな病気のリスクと関係していることが明らかにされています。その中で、腸内環境がストレスに対する反応に関わる「HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)」の働きにも影響し、疲労感を左右する可能性も示唆されています。
また腸内環境が乱れることで、副腎でのホルモン産生に必要なビタミンなどの栄養素の合成や吸収が低下してしまいやすくなることも、副腎疲労をより悪化させてしまう可能性の1つとして考えられます。
血糖値を短時間で押し上げるような食べ方、例えば甘いものの過剰摂取、早食いや大食い、あるいは、副腎でのホルモン産生に欠かせないビタミンが不足するような少食、偏食などは、副腎疲労を起こりやすくするといわれています。
食後の血糖上昇を抑制するためには、穀類は精製度の低いもの、具体的には白米よりも玄米がおすすめです。しかし、副腎疲労の場合は噛む力や消化・吸収力が低下していることもあり、玄米のような硬いものを控えた方が良いという考えもあります。気になる場合は、栄養療法(オーソモレキュラー分子栄養医学など)を専門とする医師や管理栄養士に相談してみましょう。

ここでは、副腎疲労が関係しているかもしれない症状の例を紹介します。以下に当てはまるものがある場合は、副腎疲労が関わっている可能性が考えられます。
ただし、副腎疲労による症状は他の病気や状態でも起こるため、当てはまるからといって副腎疲労とすぐに結びつけることはできません。あくまでも副腎疲労を疑ってみるきっかけとしてチェックしてみてください。
□朝起きるのがつらい
□寝ても疲れが取れない
□塩辛いものが食べたくなる
□甘いものが好き
□カフェインやチョコレートを口にしないとやる気がでない
□忙しくて食事が十分にとれず、ぐったりしてしまう
□エネルギーが不足している感じがして、元気が出ない
□今までできていたことをするのに苦労するようになった
□ストレスを感じやすい、イライラしやすい
□風邪をひきやすい
□立ちくらみがする
□気分が落ち込み、抑うつ状態が続いている
□楽しいことがなく、何事にもやる気が出ない
□集中力が低下し、ボーっとすることが多い
□物忘れをすることが多く、記憶力が落ちた気がする
□夕方以降になると元気が出てくる
□性欲が低下している
□月経前症候群の症状が悪化している

ここまで副腎疲労の原因や症状について解説してきましたが、ここでは慢性的な疲労へのセルフケアの方法を4つ紹介します。これらの方法は、副腎疲労に限らず疲労への対処全般に役立てられるでしょう。
ストレスは副腎疲労の主要な原因として挙げられますが、たとえ副腎疲労を起こしていなくても、ストレスは疲労につながりやすいものです。そのメカニズムの1つとして、ストレスのために自律神経のバランスが乱れやすくなることが関係していると考えられています。

自律神経は、身体を活発にするように働きかける交感神経と、反対に身体を落ち着かせるように働きかける副交感神経からなります。これらのバランスが乱れると、全身にさまざまな症状が現れやすくなり、疲労も蓄積されやすくなってしまいます。
ストレスをゼロにすることは難しいですが、友人や家族に話を聞いてもらったり、気持ちを書き出して整理したり、なるべく笑うことを意識したりするといったことは、ストレスを軽減するのに効果的でしょう。
また慢性的なストレスは、一時的なストレスの積み重ねにより慢性化されてしまうとも考えられます。そのようなときは、一時的なストレスを緩和する機能が報告されている成分を含む機能性表示食品などを活用するのも良いかもしれません。
機能性表示:本品にはユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)を含みます。ユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)には、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善し、起床時の疲労感を軽減する機能、作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能が報告されています。
疲労回復には、十分な休養を取ることも欠かせません。特に質の良い睡眠を十分に取ることが重要です。睡眠の時間は足りていたとしても、睡眠の質が低い場合は、疲労の回復が不十分になりやすいと考えられます。
睡眠の質が低いことを表す具体的なサインとして「睡眠の途中で目が覚めてしまう」「起床時に爽快感を感じられない」といったことが挙げられます。これらに当てはまる場合は、睡眠の質を改善する機能が期待される成分を含んだ市販の栄養ドリンクや機能性表示食品などを活用してみるのも1つの手かもしれません。
機能性表示:本品にはユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)を含みます。ユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)には、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善し、起床時の疲労感を軽減する機能、作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能が報告されています。
腸内環境が乱れて便秘や軟便などの不調があると、ストレスや疲労感につながりやすくなってしまいます。全身の司令塔としての役割を担う脳と、食事などから摂取した栄養素の消化吸収の役割を担う腸は、自律神経やホルモンなどを介して深く関わっていて、その関係は「脳腸相関(のうちょうそうかん)」と呼ばれています。
腸内環境は、腸内フローラによって大きく左右されることがわかっています。ヒトの健康に好ましい影響を及ぼす善玉菌(有用菌)が減らないようにするためには、善玉菌のエサとなる食物繊維や、善玉菌が多く含まれている発酵食品などを積極的に摂ると良いでしょう。また、食事での工夫に加えて、善玉菌を配合した市販の整腸剤を活用し、腸内環境を整える習慣を心掛けてみても良いかもしれません。

疲労への対策として忘れてはならないのが、栄養素の摂取です。栄養バランスが乱れていると、疲労回復に必要なエネルギーを十分に作り出せなくなってしまいます。
栄養素の中には疲労回復を促すように働くものや、神経や筋肉をサポートする働きのあるものもあります。ここでは、意識して摂りたい栄養素を紹介します。
・糖質
エネルギー源となる栄養素は、糖質、脂質、たんぱく質という「三大栄養素」です。これらの中で、糖質は最もエネルギーとして利用しやすい栄養素です。
ただし、単純糖質(単糖類や二糖類。例えば白砂糖やジュース)などは、摂取した後の短時間で血糖値が高くなりやすい点に注意が必要です。血糖をエネルギー源として利用する際に必要であり、血糖値を下げるように働く「インスリン」が大量に分泌されるために、食後しばらくたってから血糖値が急速に低下することがあります。そして、そのような血糖値の急な変動が倦怠感を生むこともあります。これを「血糖値スパイク」と呼びます。
この対策としては、血糖値の上昇が穏やかな複合糖質(でんぶん)や精製度の低い穀物(例えば玄米)を中心に食べたり、野菜などの食物繊維の豊富な食品を一緒に摂ると良いでしょう。
・脂質
脂質は1g当たりのエネルギー量が9kcalあり、これは糖質やタンパク質(4kcal)の2倍以上です。そのため、少量でも多くのエネルギー源を得ることができます。
ただし、脂質は体内でエネルギーに変換されるまで複雑な過程を経るため、糖質のようにすぐに疲れを取りたいというときに食べるものとしては、あまり効果的とはいえません。また、動物性食品の脂質の摂りすぎは動脈硬化を進みやすくしてしまう懸念があります。一方、植物性食品の脂質や魚油には、細胞膜の原料になったり、血液を固まりにくくしたり、血清脂質(コレステロールや中性脂肪)を少し下げたりする働きがあるため、積極的に摂取するのに適しています。
・タンパク質
タンパク質もエネルギー源として利用されます。ただし、タンパク質の栄養素としての役割は、エネルギー源となるよりも筋肉や血液などの体づくりの材料として利用されることの方が重要です。タンパク質をしっかり摂り、適度な運動をすることで筋肉がつきます。
さらに、タンパク質を構成しているアミノ酸は、神経伝達物質の材料となることからも大切な栄養素です。神経伝達物質とは、集中力を高めるノルアドレナリン、“幸せホルモン”とよばれることもあるセロトニン、快感ホルモンのドーパミン、睡眠にかかわるメラトニンなどです。
そのアミノ酸の中でも「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」とよばれるアミノ酸は、筋肉の合成を刺激するように働くことが知られていて、筋肉量や筋力の維持にとってより重要と考えられています。BCAAに該当するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、バリンという3つで、これらはまぐろ赤身、かつお、鶏肉、牛肉、卵、牛乳などに多く含まれています。
・ビタミンB1
ビタミンB1は、エネルギー代謝に欠かせない栄養素の1つです。
エネルギー源となる栄養素は三大栄養素ですが、それらを摂取すればそのままエネルギーになるというわけではありません。体内で複雑な経路を経て、エネルギーに変換されます。
このエネルギーを作り出す経路にはいくつかの酵素(エンザイム)の働きが必要とされ、それらの酵素の作用をサポートする補酵素(コエンザイム)によってエネルギーに変換されています。ビタミンB1は、その補酵素として働きます。また、ビタミンB1は神経の情報伝達や、神経細胞の主要なエネルギー源であるブドウ糖をエネルギーに代える反応にも関わっています。
そのため、糖質などのエネルギー源を摂取していてもビタミンB1が不足していると、エネルギーを効率良く作り出せなかったり、神経機能の維持がうまく働かなくなったりして、疲れやすくなると考えられます。
・ビタミンB2
ビタミンB2も、エネルギー源となる三大栄養素の代謝に必要な栄養素です。特に脂質を代謝する際に多く消費されます。
また、ビタミンB2はタンパク質の合成にも必要とされるビタミンで、体の成長をサポートするように働きます。
・ビタミンB6
ビタミンB6は、特にタンパク質の代謝に欠かせないビタミンです。また、副腎から分泌されるホルモンである、アドレナリンやノルアドレナリン、脳内ホルモンのドーパミンやセロトニンの合成にも欠かせない栄養素です。
・ビタミンC
ビタミンCは、副腎でのホルモンの合成に欠かせません。副腎でのホルモン合成の際に、ビタミンCが大量に消費されます。
また、ビタミンCには抗酸化作用があります。体内で栄養素をエネルギーとして利用する過程で発生し、細胞にダメージを与える「活性酸素」の影響を抑制するように働きます。
・亜鉛
亜鉛は、さまざまな酵素の成分として存在していて、体内で行われている多くの反応に関係しています。例えば、ホルモンの合成や分泌にも関わっている他、細胞内のミトコンドリアという、エネルギーを生み出す工場ともいえる場所でその働きを支えたりしています。
・鉄
全身の細胞が活動するには、栄養とともに酸素も必要です。その酸素は、鉄を原料として作られるヘモグロビン(赤血球中の成分)によって、全身に運搬されています。鉄が不足すると貧血となり、酸素が体の隅々に届きにくくなって、疲れやすくなると考えられます。
・マグネシウム
マグネシウムも多くの酵素の働きをサポートする栄養素の1つです。亜鉛も関わっている、ミトコンドリアでエネルギーを作り出すという仕組みにも必須とされています。そのため、不足するとエネルギーを効率良く作れずに疲れやすくなる可能性があります。また、マグネシウムは自律神経などの神経の興奮をしずめるような働きもあります。
・ビタミンB12と葉酸
ビタミンB12と葉酸は、細胞の分裂や神経機能の維持に関係している栄養素です。さらに、神経機能の維持を介して、筋肉の働きや筋力とも関係しています。ビタミンB12が不足すると、鉄の不足とは別のメカニズムで、貧血を引き起こします。
ビタミンB12と葉酸が少ない人は、動脈硬化との関連が示されていて、“悪玉アミノ酸”と呼ばれることもある「ホモシステイン」というアミノ酸の血中濃度が高いことがわかってきています。最近国内で行われた研究からは、血中ホモシステイン濃度が高い場合、男性では身体的疲労、女性では意欲低下や不安・抑うつ感を強く自覚しやすいという関連性が示されました1)。
1) 大阪公立大学,2026,「血液検査で分かる栄養不足と疲労のつながり~健康な日本人約600人を対象に調査~」
<研究内容について詳しくはこちら>
「血中ホモシステイン濃度(ビタミンB12・葉酸不足の指標)」と「疲労」の関係を日本人を対象とした解析により世界で初めて示唆 ― 大阪公立大学との共同研究成果 ―
・カルシウムとビタミンD
カルシウムは骨の材料として欠かせないだけでなく、筋肉の機能や神経伝達にも関係しています。カルシウムが不足すると、筋肉の働きが低下する可能性もあります。
ビタミンDも筋肉の機能をサポートするように働きます。さらにカルシウムの吸収をビタミンDが高めます。また、ビタミンDは免疫機能にも関与して、感染症のリスクを抑制することも示唆されています。
疲労にはさまざまな栄養素の不足が関係しています。栄養素は食品として摂取することが基本ですが、疲れすぎていて空腹感はあっても食欲が出ないということもあります。また、高齢者では食が細くなっていて、必要な栄養素を十分補えていないこともあるでしょう。さらに、高齢者または副腎疲労の人の場合、消化管の働きも低下しているために消化・吸収が十分できないということも起こりえます。
このようなことから、疲労や滋養強壮に効能を持つ市販薬の利用も、疲労回復の一助としておすすめです。
疲労回復につながる成分の1つとして、「フルスルチアミン」が挙げられます。
エネルギー代謝には、ビタミンB1が重要な補酵素(コエンザイム)として働きますが、体に吸収されにくい傾向があります。フルスルチアミンは、このビタミンB1をより吸収しやすくした「ビタミンB1誘導体」と呼ばれる成分のことです。
フルスルチアミンは、体内に吸収された後、各組織に移行して活性型ビタミンB1として、疲労の改善などに寄与します。
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・フルスルチアミンの誕生
漢方薬に使われることもある生薬の中にも、疲労回復や滋養強壮につながったり、消化管の働きを助けるように作用するものがあります。
中国原産の落葉高木「杜仲(トチュウ)」の樹皮を採取し、乾燥させたもの。強壮作用があり、弱った体を整えます。
中国や朝鮮半島の北部が原産とされる多年草「芍薬(シャクヤク)」の根を乾燥させたもの。胃の働きを整えて食欲を改善する働きがあり、婦人科系の漢方薬にも使われています。
ロシアや中国北部などに育つ広葉樹「蝦夷五加(エゾウコギ)」の根皮を用いた生薬で、滋養強壮や疲れに良いとされます。北海道(歴史的な呼称:蝦夷)などの寒冷地に自生することから蝦夷五加と呼ばれますが、中国では「刺五加(シゴカ)」の名称で知られています。
中国の東北・華北地方や蒙古などに育つ、マメ科の多年草「黄耆(オウギ)」の根を用いた生薬で、滋養強壮や虚弱体質などに用いられます。
本州以南、中国・朝鮮半島に分布している、つる性の多年草である「ヤマノイモ」や「ナガイモ」の根茎を用いた生薬が「山薬(サンヤク)」です。滋養強壮や食欲不振の改善に良いとされています。
日本や中国の安徽、湖北、河南、雲南省などに分布しているアカマツやクロマツなどの根に寄生している、サルノコシカケ科に属すマツホドという菌の菌核を用いた生薬が「茯苓(ブクリョウ)」です。胃腸機能を高めて消化を促したりする作用があります。
副腎疲労と副腎不全の大きな違いは、医学的に明確な疾患として認められているか否かという点にあります。
副腎疲労は、主に慢性的なストレスによって副腎の機能が低下し、ホルモンの分泌が減少したりバランスが乱れたりすることが関係して、倦怠感をはじめとするさまざまな症状が現れている状態を指す医学的な概念です。
それに対して副腎不全は、副腎皮質ホルモンの分泌が明らかに低下している状態を指す疾患名(病名)です。副腎不全の症状としては倦怠感が現れやすいことの他に、食欲不振、体重減少、低血糖、起立性低血圧(立ちくらみ)などの多くの症状が現れます。
副腎疲労は比較的新しい医学的概念で、いまだ疾患(病気)として定義づけられていないため、統一された診断基準がなく、治療法も確立されていません。副腎疲労が疑われる場合、医療機関ではまず問診や検査などによって他の疾患の可能性を除外した上で、副腎疲労と判断します。そして、症状に応じて、生活習慣の見直しのアドバイスや栄養状態の改善、必要に応じて薬による治療などが行われます。
ご自身で副腎疲労ではないかと感じた場合は、それを医師に伝えて相談すると良いでしょう。なお、副腎疲労は現時点で医療保険の対象となる病気として認識されていないため、自由診療となることがあります。
疲労を感じたときに甘いものを取ると元気になるように感じるのは、血糖値が上がるためと考えられます。ただ、血糖値が上がると、その上昇を抑えるように働くインスリンというホルモンが分泌され、人によってはこのインスリン分泌が血糖上昇のタイミングとずれてしまったり、分泌量が多すぎたりして、甘いものを食べてからしばらく経過した時点で低血糖になることがあります。そのため、再び疲労感に襲われることも。
疲れたときに甘いものを摂取する場合は、ごく少量にしたほうが良いでしょう。また、血糖を短時間で上昇させる、砂糖やブドウ糖のような単純糖質はできるだけ控えるようにしましょう。
なお、コーヒーなどに含まれているカフェインは覚醒作用があるため、摂取すると一時的に疲労感が振り払われたように感じます。しかし、このようなカフェインの覚醒作用の一部には、副腎からのコルチゾールの分泌を刺激することも関係しています。そのため、副腎をいっそう疲労させてしまいかねません。
カフェインを多く摂取しなければいられないような状態をできるだけ作らないために、十分な睡眠を取り、疲労回復に努めることを第一に心掛けてください。
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副腎疲労は、医学的に正式な病気としてはまだ認識されていません。また、副腎疲労の症状や原因は人によってさまざまです。一方、専門的な検査、例えば唾液中のコルチゾールを調べる検査などで、副腎機能の異常を見つけることはできます。慢性的な疲労を感じている人は、今回解説したようなセルフケア、特に質の良い睡眠と栄養バランスを意識し、ストレスを避けることを心掛けてみてください。それでも疲労感が改善しなければ、医師に相談してみましょう。
副腎疲労は、現時点で医学的にメカニズムが確立された病態ではなく、明確な検査や治療法も確立されていません。このような病態において重要なことは、まず、症状の背景に別の病気や生活習慣の乱れが隠れていないかを適切に評価することです。疲労感や集中力の低下が続く場合、甲状腺疾患やうつ病、睡眠障害など他の要因が関与している可能性もあります。それらの疾患が見つかればその治療を行い、そうでなければ、副腎疲労の可能性が高いと判断し、患者さんの状態に合わせて治療を進めていきます。
本記事で取り上げたような症状があるからといって、副腎疲労と断定することはできません。自己判断に頼らず、気になる症状がある場合は医療機関での相談をおすすめします。生活習慣の改善とあわせ、原因を丁寧に見極めることが健康への第一歩です。
参考文献
大和書房,2026,姫野友美「ごはんを変えると人生が変わる」
祥伝社,2021.9,本間良子.本間龍介「しつこい疲れを引き起こす副腎疲労は自分で治す!」
フォレスト出版,2020,御川安仁「疲れがとれない原因は副腎が9割」
幻冬舎メディアコンサルティング,2013,藤森徹也「副腎疲労症候群 : 現代に潜む新たな病」
中央アート出版社,2011,ジェームズ・L・ウィルソン「医者も知らないアドレナル・ファティーグ : 疲労ストレスは撃退できる!」