良性発作性頭位めまい症や内耳炎、慢性中耳炎、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴など、めまいを引き起こす疾患の多くは、内耳の障害や炎症が原因になります。その他、降圧剤によって急激に血圧が変動することがある高血圧、脳に血液が十分に供給されなくなる低血圧症、脳梗塞、脳腫瘍、そして、血液中のヘモグロビン濃度が薄くなる貧血もめまいの原因として知られています。また、更年期障害でもめまいが起きることがあります。
起き上がろうとしたときや寝返りを打ったとき、上または下を向いたときなど、頭の位置を変えたときにグルグルと目が回るようなめまいやフワフワと浮くようなめまいが起きます。内耳の耳石の障害が原因と考えられ、頭部の外傷や慢性中耳炎の後などに起こることがあります。めまいの中で一番多く、中年の女性によくみられますが、危険なめまいではなく、慣れることによってめまいは起こらなくなります。
内耳炎・慢性中耳炎
平衡感覚をつかさどる内耳に炎症が起きると、耳鳴りや難聴とともに、グルグルと目が回るようなめまいや吐き気、嘔吐などが起きます。また、慢性中耳炎が進行し炎症が内耳に及んだときにも同様のめまいが起き、さらに顔面神経まひをともなう場合もあります。
メニエール病
自分や周囲がぐるぐる回るめまいと、どちらか一方の耳にだけ起きる耳鳴り、そして難聴の3つが同時に起き、多くの場合、強い吐き気や嘔吐をともないます。過労やストレスが引き金になることがあります。危険な疾患ではありませんが、放置すると耳鳴り・難聴が進行します。
突発性難聴
突然、片方の耳に強い耳鳴りと難聴が起こり、その約半数がグルグルと回転するめまいをともないます。重い場合は、耳がまったく聞こえなくなります。発作は一度きりで繰り返すことはほとんどありません。ウイルス感染や内耳の血流障害が原因と考えられ、過労やストレスが引き金になることが多いといわれています。
高血圧症
遺伝や肥満、塩分のとりすぎなどの生活習慣が原因で最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上が続く状態です。高血圧は放置しておくと、脳梗塞や脳出血によってフワフワとする危険なめまいを起こしやすくなります。また、降圧剤が効きすぎて急激に血圧が下がると、激しく目の前が回るクラクラするめまいが起きます。
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低血圧症
遺伝や自律神経の乱れなどが原因で起こるといわれ、最高血圧が常に100mmHg未満の状態です。脳に血液が十分に供給されないため、クラクラとするめまいを起こすことがあります。また、立ち上がったときに最高血圧が急激に下がったときに起こる「起立性低血圧」でも、クラクラするようなめまいや立ちくらみが起こります。心臓機能の低下や足の筋力の衰えなども原因となることもあります。
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貧血
鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。フワフワと浮遊するようなめまいや目の前がクラクラするようなめまいが起こり、さらに冷え、倦怠感、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などの症状が起こります。
更年期障害
閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。疲れやだるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや不安感などの症状の他、フワフワとするめまいやクラクラと回るようなめまい、耳鳴りが起こることもあります。
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 更年期障害
脳梗塞
脳梗塞は脳の血管内腔の動脈硬化が進行し、血管が狭くなっているところに血液の塊が詰まることによって血流が止まり、脳の組織が破壊される疾患です。グルグルと回るめまいが起こり、つまづきや転倒が起きやすくなります。手足のしびれや、意識障害をともなうこともあります。
脳出血
脳内の血管が破れて出血するのが脳出血です。その血管下部への血流がなくなったり、脳の中に出血した血液の塊ができ、それが周囲の組織を圧迫して脳の組織の破壊や障害が進みます。小脳や脳幹部にこれらの障害が起きると、激しいめまいや頭痛、吐き気・嘔吐、手足のまひなどの症状があらわれます。めまいは、フワフワめまいがほとんどですが、クラクラめまいのときもあります。
前庭神経炎
平衡感覚を脳に伝える前庭神経に障害が起きると、グルグルと回る激しいめまいが起きます。多くは吐き気や嘔吐をともないますが、耳鳴りや難聴はありません。発作中は眼球が不自然に動く眼振という症状がみられます。風邪をひいた後に起こりやすく、発作は数時間から数日間続きますが、危険なめまいではありません。