ほてり
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ほてり

一般的に異常な熱感のことをほてりといい、それが頭や顔に起こったものをのぼせといいます。精神的に緊張したり恥ずかしい思いをしたときや熱があるときにあらわれやすい症状ですが、自律神経のバランスの乱れや更年期障害などの疾患によって、慢性的にほてりが起きる場合もあります。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

体がほてる原因は自律神経の乱れや女性特有の不調などが考えられる

緊張や精神的ストレスによる自律神経の乱れ

人前で話をすると緊張して急に顔がほてるのは一時的なものですが、緊張や精神的なストレスが続いたりすると慢性的にほてりを感じやすくなります。これは自律神経の働きが乱れて血管が拡張気味になるためで、ほてりのほとんどはこの自律神経のバランスの乱れによるものです。

疾患によるほてり

ほてりが発熱をともなう場合は、風邪やインフルエンザなどの感染症や熱中症などが考えられます。その他、全身がほてり、発汗、動悸、手のふるえのような症状をともなうときは甲状腺機能亢進症、顔や体のほてりが続くときは高血圧や動脈硬化症などが疑われます。また、高血圧の治療薬が原因となってほてりが起こることもあります。

日焼けによるほてり

太陽光線に含まれる紫外線を浴びると、数時間後に皮膚が赤くなりヒリヒリとした痛みがあらわれます。これは、軽いやけどをした状態で、多くの場合顔や全身にほてりを感じ、ひどいときには熱が出ることもあります。

女性ホルモンのバランスの乱れ

女性ホルモンのバランスが乱れると自律神経に影響を与え、皮膚の表面の血管が収縮したり拡張したりする異常が起こると考えられています。ほてりは皮膚の表面に近い血管が拡張したときに、血流が急に増えることで起こります。出産の後や閉経期前後の更年期には、女性ホルモンのバランスが乱れやすくなります。

体がほてる症状に加えて発熱や倦怠感などを伴う場合に考えられる疾患

※以下の疾患の中には、医師の診断が必要なものもあります。
症状が続くなど心配な場合には、早めに医師の診断を受けましょう。

風邪

風邪の原因となるウイルスなどが鼻やのど、気管支などから体内に入り込むと、鼻水、せき、くしゃみ、たん、のどの痛み、発熱などの症状があらわれ、熱にともなうほてりが起きることもあります。風邪は、こじらせなければ通常1週間程度で治ります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 風邪(かぜ)

インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することによって起こり、突然39度前後の高熱が出て、関節痛、ゾクゾクするような寒気、頭痛、だるさなどの症状があらわれます。発熱のピーク2〜3日間は、高熱による全身のほてりが起こり、その後鼻水やのどの痛みなどがあらわれます。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 インフルエンザ

更年期障害

閉経前後の約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少により自律神経のバランスが崩れてほてり、のぼせ、イライラ、動悸、めまいや肩こりなど心と体にさまざまなトラブルが生じます。顔が突然カーッと熱くなって首や背中に汗が流れる症状はホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の前半にあらわれることの多い症状です。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 更年期障害

熱中症

炎天下や高温多湿な場所で長時間過ごしたために、体の発汗機能が破たんして起こる異常が熱中症です。体内の水分が失われ、体温調節に異常が起こって体温が上昇すると、ほてりや皮膚の乾燥、頭痛、めまいなどの症状があらわれます。重症の場合は、意識障害や呼吸困難が起きて命に係わることもあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 熱中症

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

のどぼとけの近くにある甲状腺から、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。全身がほてり、汗をかきやすく、手が震えたり、胸がドキドキするほか、疲労感や体重の減少、甲状腺の腫れ、目が突き出るなどの症状があわれます。20〜30代の女性に多く発症します。

高血圧症

遺伝、肥満や塩分のとりすぎなどの生活習慣が原因で、収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)90mmHg以上が続く状態です。高血圧は自覚症状のない場合が多いですが、顔や体のほてりが続くときは高血圧症が隠れている場合があります。また、高血圧の治療薬が原因で、顔がほてる、頭が重い、頭に血がのぼるなどの症状が出ることもあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 血圧が高めである

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

熱がないならセルフケアで対処、ほてりの症状が重いなら病院へ

衣類の着方と素材に気をつける

急にほてりを感じたときに調整できるように、脱ぎ着のしやすい衣類で過ごしましょう。また下着や寝巻きは、通気性や吸水性、速乾性に優れた綿素材で体を締め付けないものを選ぶと快適に過ごせます。

マッサージやアロマでほてりを和らげる

首、肩、背中、腰や足などをマッサージすると、ほてりが和らぐことがあります。また、アロマの香りは自律神経のバランスを整えたり、更年期障害の症状の緩和に効果があるといわれています。自分が良い香りと思える好きなオイルで、アロマケアを行ってみるのもいいでしょう。

日焼けで赤く腫れたらまず冷やす

皮膚が赤く炎症を起こしたときは炎症を抑えるために、患部を水や氷ですぐに冷やすようにしましょう。

市販の薬を使う

自律神経の乱れによるほてりには、血液の流れに関与するビタミンE配合のビタミン剤が有効です。また、更年期障害によるほてりには、心と体の両面から症状を緩和する漢方薬が効果があるといわれています。

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病院で診察を受ける

更年期障害によるほてりの症状が重い場合は、婦人科を受診しましょう。顔や体のほてりや熱感が続くときは、高血圧、動脈硬化症や甲状腺の疾患などが隠れていることがありますので、主治医や内科、循環器科、内分泌内科の診察を受けましょう。

生活習慣の改善や日焼け止めの使用で体のほてりを予防

自律神経や女性ホルモンの乱れによるほてりを予防するには、適度に運動し、十分に睡眠をとる

ストレスや疲れを上手に解消して、自律神経のバランスを保つように心がけましょう。適度に体を動かすことは気分転換にもなり、心地良い睡眠を招きます。ウォーキング、サイクリング、水泳やヨガなど、無理せず楽しみながらできる運動を行いましょう。寝る前に38〜40℃のぬるめの湯船につかると、心身の緊張がほぐれて寝付きが良くなります。また、日頃から水分を適度にとるように意識することも心がけましょう。

日焼けによるほてりを予防するには、日焼け止めを使用する

日焼けによるほてりを防ぐためには、急激に大量の日光を浴びないことが大切です。海水浴など真夏の炎天下で長時間過ごすときは、紫外線の中でも皮膚に炎症を起こしやすいUV-B波をカットするSPFの数値が高い日焼け止めを使いましょう。効果を持続させるためには、1日に何度か塗り直すことが必要です。

プチメモほてりを感じたら、体温をはかってみましょう

ほてりを感じたら、体温をはかってみましょう

大事な会議でのプレゼンや面接など、緊張する場面でほてりを感じることはだれでも経験があると思います。このようなほてりは疾患ではないので心配ありません。しかし、熱が出ているためにほてりを感じることもありますので、ほてりが強いときは、まず体温をはかってみましょう。人によって平熱に違いはありますが、38℃以上の高熱が出ていて他に心配な症状がある場合は、なるべく早く病院で診察を受けましょう。