冷え症
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冷え症

冷え症は、手足の先に行く細い血管の血行が悪くなり、手足や体の表面の温度が下がって冷たく感じる状態です。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下や自律神経の乱れ、偏った食生活などが原因になります。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

日常生活から考えられる原因

栄養が偏った食生活によるエネルギー不足

栄養バランスが偏った食事を続けていると、体の基礎となるたんぱく質や脂質、炭水化物と、それらの栄養を熱に変えるビタミン、ミネラルが不足し、冷え症になります。極端な食事制限によるダイエットも、体温の元になるビタミンやミネラルが不足し、冷え症の原因になります。

きつい下着や露出の多いファッションによる血行不良

体を強く締め付ける下着は、血液の流れを悪くするので、冷え症の原因になります。また、ミニ丈のボトム、ローライズジーンズ、素足にサンダルやパンプスなどの露出したファッションも、冷え症の原因になることがあります。

空調の効かせすぎによる自律神経の乱れ

人の体は、自律神経の働きによって一定の温度に保たれています。しかし空調の効かせすぎによって室内外の温度差が激しくなると、自律神経の機能が乱れ、体温調節がうまくできなくなり、冷え症を引き起こすことがあります。

女性ホルモン(エストロゲン)の乱れによる血流作用の低下

女性ホルモンは、女性の心と体をコントロールしています。また、手足の先に行く細い血管を拡げて、血流を多くする作用もあります。そのため、ストレスや更年期などによって女性ホルモンの分泌が乱れると、血行の悪化や卵巣の機能低下を招き、冷えをはじめ、生理痛や生理不順などのトラブルが起きやすくなります。

冷え症をともなう疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。冷えの他に倦怠感、立ちくらみ、めまい、耳鳴り、頭痛などの症状が起こります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 貧血

低血圧症

遺伝や自律神経の乱れなどが原因で起こるといわれていて、一般的には収縮期(最大)血圧が常に100mmHg未満の状態です。手足の冷えや肩こり、だるさ、疲れ、寝起きが悪いといった症状があらわれます。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 血圧が低めである

更年期障害

閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。症状には、冷え、肩こり、疲れ、だるさ、のぼせやほてり、イライラや不安感などがあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 更年期障害

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

冷え症が引き起こす疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

月経困難症

生理がはじまり、日常生活に支障をきたすほどの生理痛があるのが月経困難症です。激しい生理痛や腰痛の他に、頭痛や吐き気、眠気やイライラなどの症状がみられます。冷えによる卵巣機能の低下が誘因の一つとして考えられています。月経の困難は、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が原因となる場合もあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 生理不順・生理困難

膀胱炎

膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。冷えによって水分の代謝が下がり、排尿がうまくいかなくなることや疾患が原因で起こります。膀胱炎になると、尿意が近くなる、残尿感、排尿時の痛みなどの症状があらわれます。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

日常生活でできる予防法

入浴で血行を良くする

38〜40℃のぬるめのお湯に、20分程度つかりましょう。入浴後は簡単なストレッチをすると、さらに効果的です。湯船につかれないときは、シャワーだけですませず足湯で下半身をしっかり温めましょう。お風呂から上がったら保温性の高いインナーや冷え症対策用の靴下などで熱を逃がさないようにしましょう。

朝食をしっかりと食べる

朝食を食べないと、体温調節に必要なエネルギーをつくり出すことが困難になります。ビタミン、ミネラルが豊富な肉類や、いわし、卵、納豆、魚、チーズ、玄米やパン、その他わかめや豆腐、大根の入った汁物などのエネルギーを生み出しやすい献立で、1日を始めましょう。

運動で血行を良くする

体中の筋肉を働かす全身運動が一番ですが、時間がないことも多いはず。そんなときはどこでも簡単にできて、血行を良くする足裏のツボを刺激する運動がおすすめです。足を軽く開いて立ち、両足一緒にかかとを上げ下げする背伸び運動を行いましょう。座り仕事が多い場合は、仕事中に足元に小さいボールや空き缶などを置いて、足の裏で転がすと、足裏のツボが刺激され、全身の血行が良くなります。

対処法

冷えの状態を長く続けない

冷えの状態が長く続くと、体に不調があらわれやすくなります。一日の最後に、しょうが入りの飲み物で体を温めた後、ぬるめのお風呂にゆったりとつかりましょう。岩塩や保温効果のある入浴剤を入れるとさらに効果的です。

市販の薬を使う

冷え症には、女性ホルモンや自律神経の働きを整えて、血行を良くするビタミンE配合のビタミン剤が有効です。更年期による冷えを感じるときは、心と体の両面から症状を緩和してくれる漢方薬などを服用するのも一つの方法です。

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病院で診察を受ける

冷え症がつらく日常生活に支障がでるようなときや、生理痛、生理不順などの症状がある場合は、他の疾患が隠れている場合があります。主治医や婦人科、または内科の診察を受けましょう。

プチメモ男性も冷え症になります

男性も冷え症になります

冷え症は女性特有のものと思いがちですが、実は男性にも冷え症はあります。原因は女性と同じように、手足の先に行く細い血管の血行不良です。
男性の場合は冷えによって腰痛やED(勃起不全)を引き起こすこともあります。
足首から先を触ってみてひんやりとしているときや、中高年の男性で腰痛に悩まされている人は、冷え症を疑ってみましょう。