生理痛を緩和させるツボとは?‐つらい生理痛に効果的なツボ押し術を紹介

生理痛を緩和させるツボとは?‐つらい生理痛に効果的なツボ押し術を紹介

初潮を迎えてから閉経に至るまで、現在の女性は生理を450回以上繰り返します。「女性だから生理痛はあって当たり前」だと思い込んでいる方も少なくないようです。子宮や卵巣の疾患などの異常がないのに生じる生理痛は、セルフケアで痛みを軽減することもできます。ここでは、生理痛対策としての効果的なツボ刺激について解説します。繰り返すつらい痛み、少しでも軽減するお手伝いができればうれしく思います。自分でツボ押しする際の参考にしてみてください。
伊藤 剛 先生

監修

伊藤 剛 先生 (北里大学東洋医学総合研究所、北里大学客員教授)

生理痛緩和のためのセルフケアにはツボ押しもおすすめ

生理痛の緩和には、ツボ押しもおすすめです。

女性ホルモンの分泌が関係して起こるさまざまな症状を、日本では古くから「血の道症(ちのみちしょう)」と呼んできました。生理痛はその代表ともいえる症状です。東洋医学では、生理痛を「血」のうっ滞(瘀血/おけつ)による痛みととらえ、「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの乱れで起こると判断されます。また、西洋医学でも、生理痛は月経血を子宮から排出する過程で生じることが明らかになっています。

このような状態に対して、ツボを刺激して痛みやコリを取ると、「気」や「血」の流れを回復させることができ、また、生理痛のもう一つの原因と考えられるストレスの解消にもつながります。さらにツボ刺激には、自律神経やホルモンバランスを整えたり、骨盤内臓器の機能を調節したりするような働きもあるといわれています。

生理痛を緩和させるツボ押しのポイントと注意点

数千年の歴史がある東洋医学に基づく療法の一つが、鍼(はり)や灸(きゅう)を代表とするツボ刺激療法です。世界保健機関(WHO)が位置や名称を統一しているツボが361種(760カ所)あります。

東洋医学では、人間の体の中には心身機能を保つためのエネルギーがあって循環していると考えます。エネルギーが循環する道筋のことを「経絡(けいらく)」といい、ツボとは、その経絡に沿って並んでいる体表面のポイントのことです。正式には「経穴」と呼びます。

経穴、つまりツボを刺激すると、経絡の流れが良くなって、さまざまな症状が緩和すると考えられています。解剖学的にも、交感神経のように体表面に分布している神経と、内臓などに分布している神経は同じところから分岐しています。よって、体表面のツボを刺激することで、その作用が体の中にまで及ぶと考えられます。

ここではツボ押し(指圧)について解説します。

ツボの探し方

ツボ押しをするためには、まずはツボを見つけ出すことが大切です。ツボの探し方には、「なでる」「つまむ」「押す」の方法があります。自分にあったツボは、ツボの位置を解説した書籍やwebサイトなどを参考に、筋肉のしこり、押した時の感触、痛み、皮膚の状態などから見つけるようにします。押してみて、しこりに触れる場所、または痛みが鈍くひびく場所、あるいはじんわりとした気持ち良さを感じる場所を刺激するという方法も良いでしょう。

ツボの押し方

ツボ刺激を自分ではなく他の人に行う場合は、手のひらや親指で押すのが基本です。一方、自分で押す場合は親指を基本にしながらも、場所に応じて押しやすい指で押すと良いでしょう。強さは、気持ち良いと感じる程度から、多少痛いと感じる(痛気持ち良い)程度が適しています。指の腹で約5秒間押し、それを35回繰り返す方法がおすすめです。

ツボ刺激法としては、指で押す以外にも、最近では台座灸といって貼って燃やす手軽なお灸がよく用いられますが、代用としてお湯を入れたペットボトルの角で押して熱刺激を加えたりする方法もあります。ただし、お灸の場合はもちろんですが、お湯などの熱を利用する場合には、一般的な「やけど」はもちろん「低温やけど」(あまり熱くなくても長時間あてることで、皮膚の深い部分までやけどしてしまうこと)にも注意してください。

ツボ押しのタイミング

生理痛にかかわらず、ツボ押しのタイミングとしては、入浴後の血行が良くなっている時間帯や就寝前などがおすすめです。しかし押しすぎると皮下出血やもみ返しを起こし、症状を悪化させることがあるので注意が必要です。

その一方で、ツボ押しをしてはいけないのが、高熱のある時や、皮膚に痛みや炎症などがある時、入浴などで血行が良くなると痛みが増す場所です。また、妊娠中や悪性腫瘍なども、むやみにツボ押しをしてはいけない状態に挙げられます。

生理痛を緩和させるツボ

お腹のツボ

・関元(かんげん)

おへその3寸(指の幅4本分)下のあたりです。東洋医学で「気」や「血」の出入りの要所と位置づけられている重要なツボです。

生理痛や生理不順などの女性特有の症状や、冷えなどの女性に多い症状に効果が高く、生殖器、泌尿器の症状の改善にも良いとされます。押すだけでなくて、カイロなどで温めるのも良い方法です。

・維道(いどう)

上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)と呼ばれる腰骨の一番出っ張っているところから、体の中心側に向かって斜め下に約1cm離れたあたりに位置します。子宮内膜症や子宮下垂などの子宮の病気に効くといわれています。その内側には子宮(しきゅう)という同様の効果があるツボもあります。

複数の経絡に属することから、腰痛や股関節の痛み、便秘などさまざまな症状に有効であるため、覚えておくと良いでしょう。

・お腹のツボ押しの工夫

お腹はとてもデリケートな場所です。ですから、あまり強く押しすぎないように注意しましょう。両手の中指や、中指を中心とする3本の指をあて、息を吐くタイミングで数秒間押して離すという方法がおすすめで、これを適度に繰り返してください。

また、お腹はツボ刺激に温熱効果をプラスするとより効果的。ペットボトルに50℃以下のぬるめのお湯を入れて、その底面をツボにあてたりするのも良いでしょう。

背中や腰のツボ

・腎癒(じんゆ)

ツボの名称のとおり、腎臓に関連した症状に効果があるとされているツボです。生理痛や生理不順など、女性特有の症状を改善するための施術にも、よく用いられます。

位置は、肋骨の背中側、一番下の高さで、背骨の真ん中から親指の幅1.5本分ほど離れた左右の2カ所です。

・八髎穴(はちりょうけつ)

骨盤の一部である「仙骨」(背骨の一番下にある三角形の骨)にあたる部分に、左右4つずつ、計8つあるツボです。上から順に、上髎(じょうりょう)、次髎(じりょう)、中髎(ちゅうりょう)、下髎(げりょう)と呼ばれています。四髎穴という場合もあります。これら八髎穴は、「血の道症」に効果的なツボとされています。しっかりと、やや強めの力で押すのがポイントです。

・背中や腰のツボ押しの工夫

一人でツボ押しをする場合、背中や腰はなかなか押しづらいものです。マッサージグッズを使う、もしくは野球の軟式球やソフトボールなどをツボにあてて寝転んだり、椅子の背もたれに挟んで腰掛けたりすると良いでしょう。

※名称は「軟式」や「ソフト」ですが、ここではいずれも硬いボールを指します。

足のツボ

・三陰交(さんいんこう)

内側のくるぶしの出っ張りから3寸(指の幅4本分)上のあたりです。うっ滞した血液を排出するように働くといわれています。生理痛やPMS(月経前症候群)を含めて、婦人科系の不調全般に効果的とされているツボです。次に取り上げる血海とあわせて刺激してみてください。

・血海(けっかい)

ひざのお皿の上端内側から2寸(親指の幅2本分)上のあたりです。ひざをピンと伸ばすと、そのあたりにくぼみができますが、そのくぼみのやや上方です。

血海というツボの名前は、「血」がたくさん溜まるところという意味です。ここを刺激することで、「血の道症」の症状の解消につながるとされています。冒頭にお話ししたように、生理痛は「血の道症」の代表のような症状ですから、生理痛を改善したい時に、最初に試してみたいツボの一つです。上記の三陰交とあわせて刺激してみてください。

ツボ押し以外の生理痛緩和に役立つセルフケア

体を温める

生理痛は、お腹を適度に温めると、血行が良くなり痛みが和らぐことがあります。腹巻きを使ったり、お腹(おへその下)と腰下(仙骨部)の両方にカイロをあてて、お腹まわりをサンドイッチしたりするように温めると良いでしょう。背中の温める位置については、腰よりも少し下の「仙骨」のあたりを的にすると、体がより温まりやすくなります。

また、体全体を温めるには、温かい湯船につかるのが一番です。もし、経血量が多いために浴槽に入るのがはばかられるというのであれば、シャワーで温めましょう。その際は、お湯を首から背中にあてるようにしてみてください。

市販薬を活用する

生理痛には、いわゆる「痛み止め」と呼ばれる市販薬が有効です。

痛み止めと呼ばれる薬の大半は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)というタイプの薬です。NSAIDsは、子宮を収縮させるように働いて痛みを引き起こす「プロスタグランジン」の生成を抑えるように作用します。痛みがピークになる前に服用すると、より効果的に痛みを抑えられます。

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このNSAIDs以外にも、ビタミンEは血行改善作用に加え、プロスタグランジンの生成を抑える働きをもっています。

ツボ刺激と同様の東洋医学による痛み対策として、漢方薬を用いて気血水のバランスを整えるのも良い方法です。生理痛は「血」のうっ滞(瘀血/おけつ)による痛みととらえられ、体力や体質に応じて、当帰建中湯、五積散、桂枝茯苓丸、通導散、当帰芍薬散などの漢方処方が使われます。

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生理痛はがまんせずに医師の診察を受ける

生理痛がツボ押しや痛み止めなどのセルフケアで痛みが緩和しない場合や、がまんできない痛みの場合は、産婦人科医師の診察を受けましょう。

とくに、生理痛の痛みが次第に強くなってきている、生理周期の乱れなど、痛み以外の症状も加わってきた、経血にペースト状の塊が増えてきた、などが当てはまる場合は要注意。子宮内膜症などの治療すべき疾患の可能性や、将来の不妊のリスクにつながる可能性もあるため、長期間の様子見は禁物です。早めに診察を受けましょう。

■参考資料

最新版 カラダを考える東洋医学

東西医学の専門医がやさしく教える即効100ツボ

東洋療法学校協会/医道の日本社「あん摩マッサージ指圧理論(第3版)」

新一般用漢方処方の手引き(日本漢方生薬製剤協会編集)