目のかすみ
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目のかすみ

視界の全体、もしくは一部がかすんだりぼやけたりすることをまとめて目のかすみといいます。その多くは、目を酷使しすぎたことによる目の筋肉の疲れや老眼によるものですが、疾患が原因になっていることもあります。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

日常生活から考えられる原因

目を酷使したことによる疲れ目

パソコン、テレビゲーム、携帯電話などのモニター画面を見続けることで、目の筋肉が疲れてピント調整機能が低下し、かすみが起こることがあります。また、度の合わないめがねやコンタクトレンズも目が無理にピントを合わせようとするため、目が疲れやすくなり、目のかすみを引き起こす原因になります。

エアコンなどによる目の乾燥

エアコンが効きすぎた部屋にいたり、ストレスなどが原因で自律神経が乱れると、目の表面を保護する涙が蒸発して目が乾くことがあります。そして乾燥によって角膜が傷つき、視界全体がかすむことがあります。

コンタクトレンズによる角膜の損傷

使用基準を超えて、長時間コンタクトレンズを使用することで、角膜が傷つき、目のかすみが起こることがあります。また、レンズについた傷によって角膜が傷つくこともあります。

目のかすみの原因となる主な疾患

加齢によって目のピント機能が衰える老眼は、誰もが避けては通れない道です。他にも、水晶体が濁ることで起こる白内障や、眼圧が上昇する緑内障、目の中心部にある黄斑部が変性する黄斑変性症などが目のかすみの原因となります。また、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症によっても目のかすみが起こります。

目のかすみをともなう疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

老眼(老視)

加齢にともない水晶体の弾力が低下することで目のピント調節の機能が衰え、近くのものが見えにくくなるのが老眼です。文字がかすんで見えたり、ピントを合わせるときに目の筋肉に負担がかかるため目が疲れやすくなります。見えにくさに個人差はありますが、40歳代から起こることが多く、誰もがなるものです。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 老眼(老視)

白内障

加齢などが原因で、レンズの役割をする水晶体が濁った状態です。水晶体は濁ると元に戻らず、進行するにしたがって、老眼鏡をかけても細かい文字が読めなくなり、霧がかかったように視界全体が暗くかすみます。その他、ぼやけて二重三重に見えたり、光がまぶしく感じるなどの症状があらわれます。

緑内障

緑内障は大きく慢性と急性と正常眼圧緑内障の3つに分けられ、放置すると失明に至ることもある疾患です。慢性では、眼圧が徐々に上がり、両目の視野が鼻側から欠けたりかすんだりして、視力低下を起こします。正常眼圧緑内障でも同様の症状が起こりますが、眼圧値に異常がみられないのが特徴です。急性では、眼圧が急上昇して目の激痛、頭痛や吐き気が出て、光の周りに虹がかかったように見え、発症48時間以内に早急に処置をしないと、失明の可能性が高くなります。

黄斑変性症

目の網膜の中心部にある黄斑部が老化などによって変質し、視力の低下や視界の異常を引き起こします。最も特徴的な症状は、片方の視野の中心がかすんだり黒ずんだり、物が歪んで見えるようになり、強い視力障害があらわれます。60歳以上の男性に起こりやすい疾患です。

糖尿病性網膜症

すい臓でつくられるインスリンの分泌や作用が低下し、血糖値が慢性的に高い状態になるのが糖尿病です。糖尿病で血糖値のコントロール不良が長く続くと、目の毛細血管の障害によって眼底出血を起こしたり、新生血管と呼ばれる極めて破れやすい血管が増殖することがあります。すると目の網膜の構造が破壊され、視力低下が進み、目のかすみや飛蚊症(ひぶんしょう)などの症状があらわれます。現在、成人の失明原因の1位になっています。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

日常生活でできる予防法

こまめな休憩をとる

長時間にわたってモニターを凝視する仕事では、間に休みをはさみましょう。1時間ごとに約15分は目を休めて、目の疲れをとる体操やマッサージをしましょう。また、蒸しタオルをまぶたの上にのせて、目を休めるとスッキリとします。遠視の場合は、たまに遠くを眺めるのも効果的です。

パソコンやテレビと適正な距離を保つ

パソコンと目の距離は40cm以上、テレビでは1m以上離すようにしましょう。またこれらの画面が自分の目より上の位置にあると上目使いの状態になり、より一層目が乾燥し、目のかすみを引き起こす原因になります。画面が目線より下の位置になるように、椅子の高さや配置などを調節しましょう。

室内の明るさを適正にする

室内が暗いと目が疲れやすくなります。とくに読書をしたり細かい作業をするときは部屋全体を明るめにするか、部分照明を活用しましょう。またパソコンを使うときは読書のときよりも少し暗い室内照明のほうが目が疲れにくくなります。さらに、外の光がパソコンのモニターに映りこまないようにカーテンなどで遮光しましょう。

目の体操をする

目の周りの筋肉を鍛えることは、疲れ目の予防になります。さらに老眼を遅らせる効果も期待できます。目に力を入れてギュッと閉じた後、閉じた目を大きく見開き、その後顔を動かさないように注意しつつ、目を八方にぐるりと回す体操を1日2分間ほど行いましょう。

紫外線を防ぐ

水晶体は紫外線を受けることで、大きなダメージを受け弾力を失っていきます。白内障の予防や老眼を遅らせるためにも、UVカット効果のあるサングラスや日傘を活用しましょう。

対処法

目のマッサージをする

目に疲れを感じたら、目の周辺をマッサージするだけで楽になります。目を閉じて、両手の親指を眉毛の下に置きます。そのまま目の周囲にある骨に沿って、指を滑らせるようにマッサージします。このとき、目に圧力をかけすぎないように注意しましょう。

目を温めて血行を促進する

蒸しタオルなどを使って目を温めることは、血行の改善と目の筋肉の緊張の緩和を促しますから、疲れ目に効果的です。ただし、目のかゆみや充血があるときや、目を酷使しすぎて目が熱っぽいときは、温めることで症状が悪化する恐れがありますので、冷たいタオルで冷やしましょう。

市販の薬を使う

市販の点眼薬の中で、とくに目のかすみに効果があるのは目の血行改善やピント調整機能の改善作用のあるものです。また、休息をとってもなかなか回復しない目の疲れを感じるときには、ビタミンA、B1、B6、B12が配合されたビタミン剤で体の中から働きかけていくのも良いでしょう。

病院で診察を受ける

目のかすみは、目の疲れや老眼によるものと思いがちです。しかし、慢性的に目がかすむときや視界の一部がかすんだり痛みをともなうようなときは、重大な疾患が隠れている場合がありますので、眼科で診察を受けましょう。また、糖尿病の治療を受けている人は、専門医の指示に従って定期的な眼科受診で眼底検査を受けるようにしましょう。

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