水虫(白癬菌)
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水虫(白癬菌)

水虫はカビの一種である白癬(はくせん)菌が、足の裏をはじめ体や頭などの皮膚に入り込み、感染した状態です。白癬菌による小さな水ぶくれが目立つことが多いことから、水虫とも呼ばれています。長時間革靴やパンプスなどを履いている社会人は水虫になりやすいといわれています。

宇井 千穂 先生

監修

宇井 千穂 先生 (やさしい美容皮膚科・皮フ科 院長)

水虫の原因は高温多湿の環境や水虫の人との二次接触、ペットからの感染など

高温多湿の環境による菌の繁殖

白癬菌は、高温多湿の環境を好み、梅雨の時期から夏にかけて増殖し、皮膚の角質層に侵入し感染します。革靴やパンプス、長靴やブーツの靴の中といった、通気性が悪く高温多湿な環境で繁殖しやすくなります。1日中革靴やパンプスなどを履いている社会人は水虫になりやすいといわれています。

水虫の人との二次接触

水虫の人が使ったマットやスリッパに触れることで、白癬菌に感染する場合があります。家庭内感染が多いですが、銭湯や温泉、プール、ジムといった公共の場でも、脱衣所、通路、体重計、畳、スリッパなど、白癬菌が足に付着する機会は常にあると考えられます。

ペットとのスキンシップから感染

白癬菌の中には、犬や猫などの動物の毛を好んで寄生するものもいます。水虫に感染したペットを抱くことにより、感染することがあります。感染した場合、ペットを抱いたときに触れやすい顔や首、腕などに強い赤みとかゆみがあらわれます。

水虫(白癬菌)の症状は足の指の間のかゆみ以外にも様々

足の指の間が赤くなり、かゆみが生じる趾間型(しかんがた)

足の指の間、とくに薬指と小指の間が赤く腫れ、皮膚が白くふやけてジクジクし、赤くただれ、かゆみが生じます。水虫に一番多いタイプといわれています。

小さな水疱がいくつもできる小水疱型(しょうすいほうがた)

足の裏や指の付け根に赤い水疱(すいほう)ができ、激しいかゆみが生じます。水泡が乾いて皮がむけてくると、かゆみは消失します。

あかぎれのようなひび割れを起こす角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

かゆみはありませんが、足の裏全体やかかとの角質層が厚く、硬くなっていきます。こすると皮がむけたり、あかぎれのようなひび割れを起こします。はがれた角質が床に落ち、そこから感染することがあります。

爪の先が厚くなり、黄白色に濁る爪水虫(つめみずむし)

爪の表面に光沢がなくなり、厚く白濁し、爪の質がもろくなります。かゆみはありませんが、他の爪に感染したり治りにくいなどやっかいな水虫です。足の水虫をきちんと治療しなかったために、足の爪に白癬菌がうつるというパターンが多くみられます。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 爪の異常

体中に赤い輪が広がるぜにたむし(体部白癬・たいぶはくせん)

顔、体幹、手の甲、足の甲までありとあらゆる場所に生じる可能性があります。初期は赤い発疹(ブツブツ)ですが、次第に輪のように広がっていきます。強いかゆみはないことが多いです。

赤い隆起と激しいかゆみがあらわれるいんきんたむし(股部白癬・こぶはくせん)

股間に繁殖した白癬菌が感染し、弓状の赤い隆起ができ、激しいかゆみをともないます。股の部分に汗が溜まりやすい男性に感染が多くみられます。

毛が抜けるしらくも(頭部白癬・とうぶはくせん)

頭に繁殖する水虫です。毛髪に白癬菌が感染し、頭皮の炎症と脱毛を引き起こします。頭部に丸く脱毛斑が生じたり、毛穴が赤く腫れ上がることがありますが、かゆみはあまりありません。

足を清潔にし高温多湿を防ぐことや、家庭内感染対策をすることで水虫を予防しよう

足をいつも清潔にする

家に帰ったら足を洗う習慣をつけましょう。洗うときは、足の指の間まで石けんなどでよく洗いましょう。白癬菌は24時間以内であれば、洗い流すことで死滅します。足を清潔に保つためにも、靴下を毎日履き替えることはもちろん、足の手入れをこまめにしましょう。

足をよく乾燥させる

白癬菌は温かく湿った環境を好み、とくに温度15℃以上、湿度70%以上のときに活発になるといわれています。足は常によく乾燥させておきましょう。

複数の靴を履きまわす

窮屈な靴は避け、通気性の良い靴を選び、一足を履き続けるのではなく、何足かを交互に履きましょう。通勤用と職場用と使い分けるのもおすすめです。また洗える靴は洗って乾燥させ、洗えない靴も布などで拭いてから干して湿気を除いておきましょう。

家族間での感染を防ぐ

白癬菌に感染している人の皮膚が剥げ落ち、そこから菌が増殖し、同居している家族などが感染することが多くありますので、こまめに掃除をして、部屋のゴミ、ホコリを排除しましょう。また、バスマットやスリッパは白癬菌が繁殖しやすい場所ですので、各自別々にするのが理想的です。

水虫の治療は、環境の改善や薬を根気良く使用し続けることが重要

生活環境を改善する

こまめな掃除や靴の選び方など、すぐにできることから見直しを始めましょう。とくに、足の洗浄は大切です。皮膚を傷つけないようゴシゴシこすらず、指の間まで丁寧に洗いましょう。また、靴下は通気性が良く足の指の間などに湿気がこもらないものを選びましょう。

治療は気長に行う

白癬は完治に時間がかかります。症状が改善したと思って治療を止めると、すぐに再発してしまうことがあります。治療、再発を繰り返すことで慢性化してしまうことがあるので、症状が消えても1ヵ月は治療を続けることが、再発を防ぐコツです。

市販の薬を使う

趾間型、小水疱型、角化型、たむし、いんきんたむしには、白癬菌を破壊する抗白癬菌成分などを配合した薬が効果的です。剤型にはエアゾール剤やクリームタイプなどがあります。水虫の薬は、毎日欠かさずかゆみや赤みのある患部よりも広く薄く塗りましょう。入浴後に塗布するとは角質がやわらかくなっているため、浸透しやすく効果的です。

病院で診察を受ける

爪水虫やしらくも、重度の角質増殖型は外用薬だけでは完治しない場合があります。このような場合は、皮膚科での治療をおすすめします。皮膚科では症状によっては内服薬が処方されることもあります。

■参考文献

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家族に水虫の人がいるとき、つい感染を恐れて洗濯を別にしている人も多いはず。 ですが、洗濯しているうちに白癬菌を含んだアカは洗い流されますので、洗濯機の中で白癬菌がうつる心配はありません。