日焼けをしたら、その後のケアが重要!顔や体のおすすめ日焼けケア

日焼けをしたら、その後のケアが重要!顔や体のおすすめ日焼けケア

「日焼け」には、どのようなケアが良いのでしょうか?日焼けした肌は軽いやけどをしたのと同じ状態で、肌へのダメージとなる他、しみ・しわ・そばかすなどの原因にもなります。日差しの強い夏は特に、うっかり日焼け止めを塗らずにいると、後悔することになりかねません。また、女性だけでなく、男性にも日焼けケアは重要です。専門医が推奨する日焼けケアについて学んでおきましょう。
宇井 千穂 先生

監修

宇井 千穂 先生 (やさしい美容皮膚科・皮フ科 院長)

日焼け後はすぐにアフターケア

日焼けの後には、すぐにアフターケアをすることが重要といわれています。
なぜアフターケアが重要なのか、その理由を日焼けの概要とともに確認していきましょう。

日焼けとは

日焼けとは、日光によって生じるやけど(熱傷)の一種です。医学的には「日光皮膚炎」と呼ばれ、日光に含まれる紫外線が主な原因です。

強い日差しを浴びる、長時間日差しの下で過ごすなどして皮膚が紫外線に過剰にさらされると、肌がほてって赤くなったり、ヒリヒリと痛んだりするような炎症反応が生じます。その後、メラニンが皮膚に沈着する他、皮膚がダメージを受けて免疫の低下につながることもあります。
これらの反応が体全体に生じ、広範囲が日焼け=やけどの状態になって、入院が必要になるケースもあり、「たかが日焼け」と侮れません。

なお、やけどは、皮膚のどのくらいの深さまで影響があるかによって大きくⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分類されます。日焼けは、ほとんどの場合、肌が赤くなるだけのⅠ度熱傷ですが、ひどくなると水疱をともなうⅡ度熱傷になることもあります。

<やけどの深度>

熱傷深度
(やけどの深さ)
皮膚の見た目 患部の色 痛みや皮膚の感覚
乾燥 紅斑 痛みあり
知覚過敏
浅達性 湿潤(じゅくじゅくしている)で水疱がある 薄赤 強い痛み
知覚あり
深達性 やや白色 痛み軽度
知覚鈍麻
・乾燥
・硬化
・炭化
・蠟色(ろいろ)
・黄色~赤茶色
・黒色
無痛

また、やけどの種類は3段階ですが、日焼けの段階としては2段階あります。
紫外線が当たって数時間後から現れ、赤くなる日焼けをサンバーン、赤い日焼けが消え、数日後に現れてから数週間~数ヵ月続く、肌が黒っぽくなる日焼けをサンタンといいます。

アフターケアが重要な理由

日焼け=やけどをしてしまうと上記のような反応が生じるため、まずは日焼けを防ぐことが大切です。しかし、気をつけていてもうっかり日焼けをしてしまうこともあるでしょう。その場合は適切なアフターケアをして、ダメージが広がったり残ったりしないようにすることが重要です。

なぜなら日焼けの原因である紫外線は、しみの原因となるメラニンの産生に大きくかかわっているからです。紫外線を浴びると、表皮にあるメラノサイトという色素細胞でメラニン色素がつくられ、肌の色が濃くなります。
その後、本来であればターンオーバーによってメラニン色素ははがれていき、皮膚の色は元に戻りますが、ターンオーバーがうまくいかなくなったり、過剰に生じたメラニン色素が皮膚のなかに残ったりすると、しみやそばかすといった肌トラブルの原因となり、最終的にはがんの発生につながることも。したがって、できるだけ早くアフターケアをすることが大切なのです。

※表皮の肌の細胞が形をかえながら表面に押し出されて、新しい細胞へと生まれかわること

日焼けケアの基本

日焼けをしてしまった後の肌ケアは、どのように行うのが良いのでしょうか。アフターケアの基本を確認していきましょう。

まずは冷やすのが早く治すための近道

日焼けはやけどの一種ですから、まずは日焼けした部位をできるだけ早く冷やしましょう。冷やすことで日焼けの進行を止め、痛みを少なくすることができます。
冷やす時間は体の部位や年齢、やけどの度合いにより異なりますが、15~30分間がひとつの目安となります。

次に冷やす方法ですが、保冷剤ではなく、冷やしたタオルなどを用いるのがおすすめです。「冷やす」と聞くと保冷剤を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、保冷剤で日焼けした肌を冷やすと、冷やしすぎで凍傷を引き起こす可能性があります。患部に水疱ができている場合は特に、保冷剤とやけどした皮膚がくっついて、水泡が破けてしまうことも。水疱が破れると痛みが強くなったり、治るのに時間がかかったりするため、タオルを使用するようにしましょう。日焼けした範囲によってタオルの大きさを調整すると、より効率良く冷やすことができます。

ちなみに、指輪などの装身具をつけている場合は早めに外しておきましょう。やけどの部位が腫れて外れなくなることもあります。

その後はたっぷり保湿する

肌が赤くなる程度の軽い日焼けであれば、日焼けによるダメージからの修復を促すためにも保湿が重要です。
保湿をすると、皮膚表面を覆う皮脂膜を補うことができます。皮脂膜には、肌のバリア機能を保つ働きがあり、外から受けるさまざまな刺激から皮膚を守る役割があります。
水疱ができるほど日焼けしている場合は、医師の診断を受けるまでは、自己判断で軟膏やクリームなどを塗らないほうが良いでしょう。

※バリア機能:ホコリや細菌などの外部からの刺激を防ぎ(外からのバリア)、体内の水分喪失を抑える(内からのバリア)機能。乾燥や加齢、ストレスや疲労で免疫力が低下しているときなどに低下しやすいといわれている

■保湿の方法

肌の保湿に使うアイテムは、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. 水分保持作用のある保湿成分を補充する化粧水など
  2. 表面に油膜を形成して水分の蒸散を防ぐ乳液やクリームなど

まずはベースとなる化粧水をつけて、肌に保湿成分を補充します。たたくようにしてつけると、肌の赤みやしみの原因になることがあるので、やさしく押さえるように浸透させましょう。
その後は、乾燥しやすい部分を中心に乳液やクリームをつけて油分の膜をつくり、肌を乾燥から守ります。たくさんつけ過ぎると余分な油分が毛穴に詰まり、湿疹や黒ずみなどの原因になるため、少しずつつけて、足りない部分には重ねづけするのがポイントです。

また、一日のうち、最も乾燥するタイミングとして、お風呂上がりが挙げられます。お風呂上がりは特にしっかりと保湿をするように意識すると良いでしょう。

肌が落ち着いてきたら、美白化粧品でスキンケア

日焼けによって受けた肌のダメージが落ち着いてきたら、美白化粧品を使って、肌の内部に生じたメラニンの排出を促し、しみ・そばかすなどを防ぐのも良いでしょう。
スキンケアにおける美白化粧品とは、メラニン色素の沈着を防いだり、生成を阻害する成分を配合したものを指します。メラニンを還元して退色させる働きをもつビタミンCやその誘導体などの成分を配合し、色素沈着を防ぎやすくして、しみ・そばかすなどをできにくくしているのが一般的です。これらを使うと、日焼け後も健康な肌を保つのに役立つことがあります。

パーツ別!おすすめ日焼け予防・ケア方法

日焼けのケアとして重要なのは、何よりも紫外線に当たらないことです。体の部位によって紫外線から受ける影響が異なるため、部位ごとに有効な予防やアフターケアの方法を確認しておきましょう。

顔の予防・ケア

顔は服などで肌を覆いづらいため、日焼け止めを塗って紫外線に直接当たらないようにすることが大切です。うなじ、耳たぶ、首にもきちんと日焼け止めを塗り、こまめに塗り直すなどしてケアしましょう。メイクをしている場合、メイクの上から使えるスプレータイプの日焼け止めを使うのも良いでしょう。

そして意外と盲点になりやすいのが唇です。唇は皮脂腺も皮脂膜もなく、紫外線の影響をダイレクトに受けやすい部位です。紫外線防止効果のあるリップクリームを使い、保護しましょう。

しかし、日焼け止めを使っていても、長時間屋外で過ごすなどした場合、日焼けをしてしまうことがあります。帰宅後には日焼け止めをしっかりと洗い流し、肌の状態に応じて冷たいタオルなどを使って冷やしたり、保湿をしたりして肌を整えましょう。

体(腕・背中・足など)の予防・ケア

体はなるべく衣服で覆い、紫外線に直接当たらないようにすることが大切です。皮膚に到達する紫外線を減らすには、織り目の詰まったしっかりした布地が良いといわれますが、その分、通気性や吸収性が悪くなると、暑い時期には熱中症が心配です。UVケアをほどこした通気性の良い衣服なども発売されていますので、それらを上手に利用しましょう。
衣服から出ている部分には、しっかりと日焼け止めを塗ることも忘れずに。

それでも日焼けをしてしまったときは、日焼けした部位をしっかりと冷やしてから保湿してケアしましょう。日焼けの部位が広範囲にわたる場合、ぬるめのシャワーでやさしく肌をクールダウンすると良いでしょう。

髪・頭皮の予防・ケア

髪や頭皮も紫外線の影響を受け、日焼けをします。日傘や帽子、スカーフなどを使って、紫外線をガードしましょう。
昨今はヘア専用のUVケア製品も発売されていますので、そうしたものを利用するのも良いでしょう。
髪や頭皮は体の最も上部にあるため、紫外線の影響を受けやすい部位といえます。油断せず、ケアしておきましょう。

インナーケア

紫外線の影響から肌を守るには、食べ物や栄養素による内側からのケア=インナーケアも大切です。
紫外線を浴びると、体内では活性酸素が発生します。活性酸素が増えると、細胞や体の組織がさびていき、しわやしみの原因になるといわれています。
こうした活性酸素の影響から体を守る役割を果たすのが、βカロテン、ビタミンC・E、ポリフェノールなど「抗酸化物質」です。これらを日頃から積極的に摂取するのも、重要な日焼けケアのひとつです。
抗酸化物質を多く含む食品を摂る他、医薬品やサプリメントなどを活用するのもおすすめです。特に、ビタミンCやEが配合されたビタミン剤を取り入れると、食事だけでは不足しがちな抗酸化ビタミンを補うことができます。

<関連記事>

・ビタミン・ミネラル事典
https://alinamin-kenko.jp/kenkolife/vitamin/
・病気や老化の原因にもなる「酸化」を防ぐ、抗酸化とは?
https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_kizi_kousanka.html

日焼け後に気をつけたいこと

日焼け後に以下のことを行うと、皮膚のダメージを大きくしてしまうことがあります。十分に注意しておきましょう。

日焼けケアをしない

日焼けや紫外線を浴びた後、「もう紫外線を浴びてしまったし、紫外線対策はしなくていいか」と思ってしまうかもしれませんが、それは大きな間違いです。日焼けはやけどの一種であるため、日焼け対策を忘れて紫外線を浴びてしまった場合でも、気付いたタイミングで日焼け止めを塗り、帰宅後には肌のクールダウンと保湿をしっかりと行うなど、肌をケアすることが重要です。

むけた皮膚をはがす

日焼け後、皮膚がめくれてくることがありますが、これはサンバーンの症状です。めくれた皮膚を無理やりはがすのは皮膚感染症などのトラブルがおきてしまう可能性があるため、保湿をして自然にはがれ落ちるのを待ちましょう。清潔にするのがコツです。そして、今後は皮膚がめくれるほどの日焼けをしないような対策を心掛けましょう。

刺激の強い化粧品を使う

日焼けにより皮膚がダメージを受けた状態では、普段使いの化粧品でも刺激を感じたり、痛みを感じることがあります。刺激の強いアルコールやメントール配合の化粧品は、日焼け後の肌に負担をかけることがありますので、刺激の少ない化粧品を選ぶことが大切です。

うっかり日焼けしてしまうのを防ぐ、紫外線対策

ちょっとしたポイントを押さえると、さらに有効な紫外線対策につながります。
以下のポイントにも注意し、うっかり日焼けを防ぎましょう。

紫外線を避けるための対策

■出かけるときは紫外線の強い時間を避ける

時間帯によって紫外線の強さは異なります。最も強くなるのは、太陽の位置が最も高くなる正午前後です。
時間の調整が可能な場合は、紫外線の強い日中の時間帯を避けて出かけるだけでも紫外線対策につながります。

■日傘や帽子、サングラスを利用する

外出時は日傘と帽子、サングラスを上手に組み合わせることが効果的な対策です。日傘には、紫外線防御機能を高めたものもあるので、必要に応じて活用すると良いでしょう。帽子は、幅の広いつばのあるものだと顔の紫外線対策にもなります。
サングラスは、色の濃さよりも紫外線防止効果の表示の有無で選びましょう。レンズサイズの小さな眼鏡や顔の骨格に合わない眼鏡では、正面以外からの紫外線を十分に防ぐことができないため、大きさも意識して選ぶと良いでしょう。

■日陰を歩く

外出時にはなるべく日陰を歩くようにすることも、紫外線対策につながります。
ただし、日陰を歩くことには太陽から直接降り注ぐ紫外線を防ぐ効果はありますが、空気中で散乱したり、地面や建物から反射したりした紫外線の対策にはなりません。直射日光の当たらない日陰であっても、紫外線を浴びていることは忘れないようにしましょう。

日焼け止めを使用した紫外線対策

■その時々に合わせた日焼け止めを使用する

空気中に散乱している紫外線を防ぐには、やはり日焼け止めの使用が重要です。
日焼け止めの効果は SPF(Sun Protection Factor)と PA(Protection grade of UV-A)で表示されています。

SPF:主に「UV-B」という紫外線を防ぐ指標
日焼けを起こす力が強く、UV-Bはしみ、しわ、皮膚がんといった肌の光老化に大きな影響があります。数値が大きいほど、UV-Bを防ぐ効果が高いです。

PA:主に「UV-A」を防ぐ指標
UV-AはUV-Bよりも波長が長く、皮膚の奥深くまで入り込む性質をもっています。PAの強さは「+」の数で表され、数が多いほどUV-Aを防ぐ効果が高くなっています。

日焼けを防ぐためには「SPF値が高く、PAの数が多い日焼け止めを使うことが最善」と思われがちですが、実際には、紫外線を防ぐ力が強ければ強いほど肌に負担がかかるため、状況に合わせた適切な強さの日焼け止めを使い分ける必要があります。グラフを参考に、生活シーンに合わせた日焼け止めを選んでみてください。

耐水性のある日焼け止めを使用する場合は、普通に洗うだけでは落ちにくく、肌に残った日焼け止めが負担になることもあります。専用のクレンジングを使う必要があるかどうかを確認しておきましょう。

■適切な量の日焼け止めを使う

日焼け止めを塗る量にも注意しましょう。SPFやPAの値は1平方cmあたり2mg(液体の場合は2μl)の日焼け止めを塗って調べたものであり、実際に使用する量が少なければ、パッケージに記載された効果が得られなくなります。適量を使って、日焼け止めの効果を得るようにしましょう。

■日焼け止めをこまめに塗り直す

日焼け止めは適量を塗っても、手や衣服、汗に触れると効果が薄れてしまうため、こまめに塗り直すことが大切です。2~3時間おきに塗り直す他、汗をかいたらすぐに重ね塗りをするようにしましょう。

屋内やくもりの日でも!いつでも日焼けケアを

UV-Aは窓ガラスを通り抜けて室内に届くため、室内にいても日焼けに注意が必要です。また、雨やくもりの日でも一年中紫外線が降り注いでいることを忘れず、日焼け止めやUV対策の衣服を利用して紫外線対策、日焼けケアを行いましょう。

・日光浴はビタミンD産生に必要不可欠⁉
ここまで紫外線防止の重要性についてお話してきましたが、一方で、昨今は極端に紫外線を避ける生活によって、ビタミンD産生が不足してしまう問題もあります。骨や歯の健康を維持していくために必要なビタミンDは、食事から摂る以外に、日光を浴びて私たちの体の中でもつくりだすことができ、そのビタミンDの量は、食物を摂取して得られる量よりも多いのです。紫外線は、しみやしわなどの肌トラブルの原因になりますが、強い骨を維持するために適度に浴びる必要があることも意識しておきましょう。

まずは予防、それでも日焼けをしたら早めの対策を

日焼けケアで最も大切なのは紫外線に必要以上に当たらないよう、対策をすることです。
日焼け止めを使ったり、衣服や日傘、帽子などを工夫したりして紫外線を防いでいきましょう。
それでも日焼けをしてしまったら、きちんとアフターケアを行ってください。肌のクールダウンと保湿をして外からケアする他、ビタミンCなどを積極的に摂取して体の内側からケアすることも重要です。

日焼け後のケアを怠ると、将来的な肌トラブルが起こるリスクの上昇にもつながることがあります。最近では実用性の高いメンズ用の日焼け止めが発売されていたりと、男性も将来的な肌トラブルを見据えてのケアを行う時代になってきました。気になるしみ・しわ・そばかすなどを防ぐためにも、男女ともにしっかりしたケアを早めに行うことを心掛けていきましょう。

それでは、自分の紫外線対策が十分にできているか、以下のページでチェックしてみてください。

・しみ・そばかす・日焼け セルフチェック
https://alinamin-kenko.jp/navi/check_hiyake_zenshin.html

参考文献

・「紫外線環境保健マニュアル2020」環境省
・「美容のヒフ科学」南山堂
・「紫外線防止の基本」日本化粧品工業連合会
https://www.jcia.org/user/public/uv/prevent

関連情報

・症状・疾患ナビ「しみ・そばかす・日焼け」
https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_hiyake_zenshin.html
・症状・疾患ナビ「肌あれ」
https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_hadaare.html
・症状別対策BOOK「肌のトラブルの対処法」
https://alinamin-kenko.jp/navi/book/hada/answer.html