監修
塚原 清彰 先生 (東京医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科分野 主任教授)
口内炎ができる主な原因は、大きく分けて次の3つです。
・免疫機能の低下
・栄養バランスの乱れ
・口腔内の傷やウイルス、細菌
それぞれの原因について、以下で詳しく解説します。

疲労やストレスなどで免疫機能が低下すると、口内炎ができやすくなります。免疫機能が低下すると、口腔内の常在菌が過剰に繁殖してしまうためです。
免疫機能が低下する要因には、睡眠不足や生活習慣の乱れ、慢性的な疲労、冷え、喫煙、老化などが挙げられます。また、がんや糖尿病などの疾患がある人や、免疫抑制薬、抗てんかん薬を使用している人も、免疫機能の影響を受けやすい可能性があります。
栄養バランスの乱れによって口内炎ができることもあります。特に皮膚や粘膜、内分泌機能などの働きにかかわるビタミンAやビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ナイアシン、鉄分が不足すると口内炎になることがあるため注意が必要です。
栄養バランスを整えるには、主食・主菜・副菜のそろった食事を中心に、乳製品や果物などの食品も取るように心がけることが基本です。特定の食品やメニューに偏った食事は避け、なるべく多種多様な食品を取り入れましょう。
食生活の改善を心がけつつも、忙しくて毎食のバランスを整えるのが難しいときには、ビタミン剤やサプリメントなどを補助的に活用して不足している栄養を補うのも一つの方法です。
口腔内を噛んでしまったり、歯が当たって粘膜が傷ついたりすると、そこから細菌やウイルスに感染して口内炎になります。また、欠けた歯や合わない入れ歯、矯正器具による物理的な接触が原因で起こる損傷も、口内炎の原因の一つです。
また、歯磨きの際に力を入れすぎたり、熱い飲み物で火傷したりといった刺激も口内炎の原因になってしまいます。特定の成分が含まれる歯磨き粉や洗口液の他、酸性の食品なども刺激やアレルギー反応を引き起こす場合があるため、原因不明の口内炎を繰り返している場合は注意が必要です。
ひとくちに口内炎といっても、その種類はさまざまです。
・アフタ性口内炎
・カタル性口内炎
・ヘルペスウイルス性口内炎
・カンジダ性口内炎
・ニコチン性口内炎
・アレルギー性口内炎
それぞれの特徴や症状、原因について、以下で詳しく解説します。
中には市販薬やセルフケアでは対処できない口内炎も含まれます。セルフケアをしても症状が良くならない場合や、長引く場合は何らかの病気が隠れている可能性もありますので、医療機関を受診するようにしてください。
アフタ性口内炎は、最も一般的で頻度が高い口内炎の一つです。
直径約0.3~1cm程度の白っぽく窪んだ潰瘍ができ、周囲が赤く腫れて触れると痛みをともないます。
アフタ口内炎になる原因としては、口腔内の傷や栄養不足、過労、ストレス、ホルモンの影響などが挙げられます。その他チョコレートやコーヒー、ピーナッツ、卵など特定の食品が原因で生じることもあります。
カタル性口内炎では、粘膜が赤く腫れたり、水ぶくれができたり、粘膜の表面が白く濁ったりするのが特徴です。
頬の内側を噛んでしまったり、熱い飲み物で火傷したりと、物理的な刺激によってできた傷に雑菌が繁殖することで起こります。また合っていない入れ歯や矯正器具、欠けた歯が口内でこすれる、といった刺激も原因になります。
ヘルペスウイルス性口内炎は、その名の通りヘルペスウイルスが原因で生じるものです。唇や口内に多数の水ぶくれができる他、強い痛みや発熱、だるさなどをともなうのが特徴です。
特に単純ヘルペスウイルスに感染することで生じる場合が多いとされています。小児に多い口内炎ですが、近年では大人にも見られる症状です。一度ヘルペスウイルスに感染すると体内から消えることはないため、治癒したあともストレスや過労、加齢などで免疫機能が低下すると再発してしまいます。
カンジダ性口内炎は、真菌(カビ)の一種であるカンジダ・アルビカンスが引き起こす口内炎です。白い苔のようなブツブツが舌の表面に現れるものの、ほとんど痛みはともなわないのが特徴です。
カンジダ菌は皮膚や粘膜にいる常在菌であるため、普段健康な状態では特に問題を起こすことはありません。しかし、免疫機能が低下したときや、他の病気の治療などで抗生物質や副腎皮質ステロイド剤を服用したときなどに増殖し、口内炎が生じることがあります。
ニコチン性口内炎は、喫煙習慣がある人にできる口内炎です。特にパイプ喫煙者の口蓋(口腔内の天井部分)に生じやすいといわれています。
また、唾液腺の出口あたりにできることが多く、白くなった部分を囲むように赤いブツブツが見られますが、痛みはほとんど現れません。
個人差はあるものの、長期間の喫煙習慣がある人のほうが出やすいとわかっており、予防や改善のためには減煙・禁煙が推奨されます。
食品や薬剤の刺激によってアレルギー反応が引き起こされ、口内炎が生じることもあります。
特に原因になることが多いものは、次の通りです。
・クエン酸・リンゴ酸など酸味の強い食品
・シナモンが含まれる食品
・歯茎を引き締める成分(収れん剤)が含まれる歯磨き粉や洗口液
・解熱剤・抗菌薬・風邪薬などの薬剤
・入れ歯・矯正器具・詰め物など歯科治療に用いられる金属
アレルギー性の場合、口内炎だけではなく、皮膚症状や高熱など重篤な症状が現れるケースもあるため、早めの受診が必要です。
口内炎を早く治すためには、以下3つのポイントに気を付けることが大切です。
・口腔内を清潔に保つ
・質の良い睡眠とストレスケア
・市販薬の活用
以下で詳しくまとめているので、参考にしてください。
口内炎の悪化を避け、早く治すためにも、こまめな歯磨き・うがいを心がけ、口腔内を清潔に保つことがポイントです。
ただし、歯磨き・うがいの際には口腔内を傷つけたり刺激したりしないよう注意が必要です。患部は避けて、歯ブラシが当たらないよう小さなストロークで細かく磨くようにしましょう。また、ヘッドが小さめの歯ブラシや毛が柔らかめの歯ブラシを選ぶ他、歯磨き粉やうがい薬の刺激にも気を付けることも大切です。

免疫機能の低下によって口内炎が起こることは珍しくありません。口内炎を早く治すためには、質の良い睡眠やストレスケアを心がけることが重要です。
睡眠の質を高めるためには、夜更かしを避けたり寝室の環境を整えたりすることがポイントです。
またストレスケアとしては、ストレッチや腹式呼吸、軽い散歩など、自分に合ったリラクゼーション方法を取り入れるようにしましょう。
届出表示:本品にはユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)を含みます。ユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)には、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善し、起床時の疲労感を軽減する機能、作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能が報告されています。
口内炎の痛みが気になる場合や、患部をカバーしたい場合には、軟膏や貼り薬(パッチ)、スプレー、液剤、錠剤などの市販薬を使用しましょう。
栄養不足が口内炎の原因だと疑われる場合や、内側から改善したいという場合は、口内炎の症状を緩和する効能を持つビタミンB2やB6などが含まれる市販薬も役立ちます。
ただし、市販薬を2週間以上使用しても症状が改善しない場合は早めの受診を検討しましょう。また、痛みが強くて食事が取れない、発熱や全身のだるさをともなう、口内炎が多発しているといった場合も数日以内に医師の診察を受ける必要があります。

口内炎を悪化させる可能性があるため、特に以下の点には注意が必要です。
・刺激物(熱すぎる・冷たすぎる・辛すぎる・酸味の強いものなど)の摂取は控える
・舌や手、歯ブラシなどで患部を触らない
また、なかなか治らない場合には病院を受診することも必要です。
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
口内炎が治るまでは、以下のような刺激物の摂取は控えましょう。
・熱すぎるもの
・冷たすぎるもの
・辛すぎるもの
・酸味の強いもの
・物理的刺激となる硬いもの(ナッツやフランスパン)など
甘いものやアルコールの摂取も、代謝の過程でビタミンを消費してしまうため、口内炎の治りが遅くなる可能性があります。
また、喫煙も刺激になってしまうため、口内炎が治るまでは避けましょう。

口内炎に刺激を与えると治りが悪くなるため、舌や手、歯ブラシなどで触れないことが大切です。口内炎に触れた舌や指を介して細菌やウイルスが移動することで、口内炎がさらに増えてしまうこともあるため、気になっても触らないよう注意しましょう。
また、歯磨きの際には普段よりも優しいブラッシングを心がけたり、必要に応じてヘッドが小さく毛が柔らかい歯ブラシを使ったりすることもポイントです。
特に以下のような症状がある場合は、原因となる他の病気が隠れていたり、医師の診断によってしか処方されない薬が必要な場合もあるため、耳鼻咽喉科の診察を受けることが推奨されます。
・口内炎が10日以上続いている場合
・口内炎によって飲食が難しい場合
・何度も口内炎を繰り返している場合
・全身のだるさや発熱がある場合
・口腔粘膜以外の皮膚にただれ、発疹、水疱などがある場合
・目の炎症がある場合
このような症状が現れたら、無理に様子見をせず早めに医療機関を受診してください。
口内炎を繰り返さないためには、以下のような方法で生活を見直すことが大切です。
・栄養バランスの良い食事を取る
・サプリメントやビタミン剤を活用する
・生活習慣を整える
・正しい口腔ケアを行う
また、根本的な解決のために、口内炎の原因となる病気がある場合はその病気をまず治療することが重要です。
<セルフチェック>
・口内炎ができやすい生活習慣になっていないかのセルフチェックはこちらから

口内炎を繰り返さないためには、主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を心がけることが大切です。特に以下の栄養素は偏りのある食事によって不足しやすいため、意識的に取り入れるようにしましょう。
・ビタミンB1:豚肉、大豆など
・ビタミンB2:豚・牛・鶏レバー、さばなど
・ビタミンB6:豚赤身、バナナなど
・ビタミンB12:豚・牛・鶏レバー、いわしなど
・ビタミンA:うなぎやにんじんなど
・ビタミンC:じゃがいも、赤ピーマンなど
・鉄分:あさり、豚レバーなど
これらの成分は免疫機能の維持や健康な皮膚・粘膜の維持に役立つため、普段から意識的に摂取するようにしてください。ただし、特定の食品やメニューに偏るのではなく、多種多様な食品から摂ることがポイントです。
口内炎の再発を予防するためには、先述の通り栄養バランスを整えることも大切です。
タンパク質の代謝や細胞分裂、皮膚、粘膜の維持に役立つビタミンB群やビタミンC、鉄分などを意識的に摂るようにしましょう。
もし食事から摂ることが難しい場合やすぐに食生活を変えることができない場合は、サプリメントや口内炎の緩和効能を持つビタミン剤を活用するのも一つの方法です。
口内炎が治ったあとも、日ごろから質の良い睡眠とストレスケアなどを意識し、生活習慣を整えることがポイントです。具体的には、以下のような点を意識するようにしましょう。
・適度な運動を習慣にする
・湯船に浸かる
・夜更かしを避け、休日も普段と同じ時間に起きる
・起床後に太陽を浴びて体内時計をリセットさせる
・朝食の欠食を避け、毎日3食の食事を基本にする
・減煙や禁煙を心がける
・間食、アルコールの量や飲み方を見直すなど
無理のない範囲から一つずつ取り入れ、継続していくことが再発予防につながります。
口内炎を繰り返さないためには、口腔内環境を整え、細菌の増殖や刺激を最小限に抑えることも重要なポイントです。口腔内を清潔に保つためには、正しい口腔ケアを継続することが欠かせません。
ただし、正しい口腔ケアの方法は以下の要素によって異なります。
・年齢
・歯並び
・虫歯・親知らずの有無
・入れ歯・矯正装置の有無
・飲酒・喫煙習慣
・既往症(ドライマウス、糖尿病など)
このような要素によって適切なケア方法や使用すべきケア用品は異なり、気づかないうちに誤ったケアを行っている場合もあります。口内炎を繰り返している場合や、気になる症状がある場合は、歯科を受診し自分に合ったケア方法を指導してもらうと安心です。

口内炎の治し方は、口腔内を清潔に保つことや、十分な睡眠・ストレスケアを心がけることなど、日常生活の見直しが基本です。免疫機能の低下や栄養不足は口内炎の大きな原因となるため、バランスの良い食事を意識し、必要に応じてビタミンB群やビタミンC、鉄分などを補うことも大切です。食事から補うことが難しい場合には、サプリメントやビタミン剤を活用するのも良いでしょう。
また、口内炎を繰り返さないためには、生活習慣を整えるとともに、口腔内の状態に合った口腔ケアを続けることが重要です。セルフケアだけでは改善しない場合や、口内炎が長引く、何度も繰り返す場合には、自己判断せず早めに医療機関へ相談するようにしましょう。
■参考文献
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 口腔・咽頭の病気
・MSDマニュアル 口内炎(口腔のただれや炎症)
・日本口腔外科学会 口腔内のトラブル