しみ対策を解説!原因や予防方法、しみ消しにおすすめのスキンケアも紹介

しみ対策を解説!原因や予防方法、しみ消しにおすすめのスキンケアも紹介

しみ対策の基本は、なるべく紫外線を浴びないようにすることです。日焼け止めクリームを塗ったり、UVケア効果のある化粧品を使用したりすることに加えて、肌に良い栄養分を含んだ食事をバランス良く摂ると、しみの予防につながります。また、しみは予防するだけでなく、できてしまったものへの対策も重要です。しみができる原因や予防方法、しみを繰り返さない生活習慣、できてしまったしみへの対策を学んでいきましょう。
宇井 千穂 先生

監修

宇井 千穂 先生 (やさしい美容皮膚科・皮フ科 院長)

しみの種類

しみとは、メラニンの蓄積などによって皮膚の色が変化した部分のことをいいます。
しみは大きく、以下の4つに分けることができます。

特徴 できやすい場所 主な原因
老人性色素斑 紫外線を浴びることによって生じる一般的なしみ 最初は薄い茶色だが、どんどん濃くなっていく 頬、鼻、こめかみ、耳の上、デコルテ、手など 紫外線。
20歳くらいまでに浴びた紫外線の総量がしみに関係するという説もある。
炎症後色素沈着 ニキビや虫刺されなど、何かしらの炎症が起きた後にできるしみ 赤茶色 特になし やけど、ニキビ、虫刺され、傷、繰り返す摩擦などが原因とされている。
肝斑 ホルモンの影響でできるしみ モヤモヤとした薄茶~グレー~黒っぽい色 頬や口元に左右対称にできる 女性ホルモンの影響が大きい。 ピルの服用時や妊娠、出産時などにできやすい。紫外線や摩擦によって悪化する。
ADM (後天性真皮メラノサイトーシス) 斑点状のしみ。 主に20歳以上に発生し、肝斑やそばかすに似ている 茶色やグレー 頬やまぶた、小鼻など はっきりした原因は不明。 遺伝的要素、紫外線、ホルモンバランスの乱れなどで、真皮内でメラニンが増えてできるといわれている。

上記の他に、しみからイボのように盛り上がった「脂漏性角化症」や、海やレジャーなどでの急激な日焼けの後、首~背中にかけて花弁状のしみが広がる「花弁性色素斑」などもあります。

しみができる原因は?

遺伝などの影響で3歳頃からできはじめるそばかすとは異なり、しみはある程度年齢を重ねてからできることが多い傾向にあります。主な原因は紫外線ですが、その他にストレスや虫刺され、ニキビなどがしみの原因になることもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

紫外線によるメラニン色素の蓄積

紫外線は、しみの最大の原因です。
紫外線を浴びると、皮膚を守ろうとする機能が働き、表皮にあるメラノサイトという色素細胞ではメラニン色素がつくられます。その後、メラニン色素はターンオーバーと呼ばれる皮膚の新陳代謝によって排出されますが、ターンオーバーがうまくいかなくなったり、過剰に生じたメラニン色素が皮膚のなかに残ったりしてしまうとしみになるのです。

ストレス

強いストレスにさらされたり、長期間ストレスを抱えた状態が続いたりすると、自律神経が乱れるなどして、肌のターンオーバーの周期が乱れることがあります。そうすると、表皮でつくられたメラニン色素の排出がうまくいかなくなり、肌に残ってしみができやすくなります。
ストレスの他、食生活の乱れ、運動不足、睡眠不足なども、同様にターンオーバー周期を乱す原因になりやすいといわれています。

虫刺されあと・ニキビの色素沈着

虫刺されやニキビは、肌の表面に炎症を起こします。炎症と一緒に、かゆみや痛みなども生じるため、その部分をかきむしったり、触ったりして刺激を与えてしまうと、肌を守ろうとメラニン色素が生成されます。それが肌の内部に残り、色素沈着が生じてしみになることもあります。

【プチメモ】ターンオーバーとは

ターンオーバーとは、ケラチノサイト(表皮角化細胞)が基底層で細胞分裂し、分裂したうちの片方が徐々に皮膚の表面に押し出され、やがて垢となってはがれ落ちていく一連の過程のことをいいます。肌の新陳代謝とも呼ばれ、ターンオーバーが繰り返されることで、肌は健康な状態を保っています。

※表皮の大部分を占め、角化という特殊な分化を示す細胞。その成長のさまざまな段階で基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞と次々に形を変える。

ターンオーバー周期の基本は、個人差はありますが約28日。短すぎると、肌細胞がきちんと形成されないまま肌の表面に現れてしまうため、乾燥しやすくバリア機能の弱い肌になります。
一方、周期が長すぎると、古くなった角質が肌表面に溜まったままになり、しみ、しわ、毛穴の詰まり、くすみなどの肌トラブルの原因になることもあります。
ターンオーバーはストレスや睡眠不足、ホルモン分泌の変化などの影響で乱れることが少なくありません。

※バリア機能:ホコリや細菌などの外部からの刺激を防ぎ(外からのバリア)、体内の水分喪失を抑える(内からのバリア)機能。乾燥や加齢、ストレスや疲労で免疫力が低下しているときなどに低下しやすいといわれている。

【おすすめのしみ予防の方法】しみを繰り返さないスキンケアと生活習慣

しみを予防する方法を、スキンケアと生活習慣の両面から紹介します。

正しいスキンケアで肌のターンオーバーを整える

しみをつくらないようにするには、肌のターンオーバー周期を正常に保ち、メラニン色素の排除がしっかりと行われることが重要です。そのために、スキンケアをして、ターンオーバーが正常に行われるように肌の状態を整えておきましょう。
スキンケアの重要な役割は、肌の保湿です。保湿をすると、皮膚表面を覆う皮脂膜を補うことができます。皮脂膜には、肌のバリア機能を保つ働きがあり、外から受けるさまざまな刺激から皮膚を守る役割があります。保湿によって肌の状態が整えば、ターンオーバー周期も正常に保たれ、しみもできにくくなっていくでしょう。

保湿の方法

  1. 化粧水などを使って水分保持作用のある保湿成分を肌に浸透させる
  2. 乳液やクリームなどを肌の表面に塗布し、油膜をつくって水分の蒸散を防ぐ

この二段構えで行うのが、しっかりとした保湿方法です。

スキンケアを行い、肌の状態を整えることは、男女問わずしみの予防につながります。

UVケアで紫外線から肌を守る

しみの最大の原因である紫外線は、日焼け止めを使って効率良く防ぎましょう。日焼け止めを使うと、上空から降り注ぐ紫外線だけでなく、空気中に散乱する紫外線も防ぐことができます。
また、選び方や使い方を工夫すると、さらに効果的に紫外線を防ぐことが可能です。

  • 生活シーンに合わせて最適な強さの日焼け止めを選ぶこと
  • 適量を正しく使うこと
  • こまめに塗り直すこと

この3つのポイントを押さえておきましょう。

日焼け止めは、それぞれ強さに違いがあります。日焼け止めの強さは、

  • SPF(Sun Protection Factor)の数値
  • PA(Protection grade of UV-A)の「+」の数

の2つの指標で表されていて、どちらも数が大きくなるほど紫外線を防ぐ力が強くなります。しかし、その分肌への負担も大きくなるため、時と場合に合った強さの日焼け止めを使い、肌を上手に守る必要があります。下記のグラフを参考に、日焼け止めを使い分けましょう。

なお、パッケージに表示されているSPFやPAの値は、1平方cmあたり2mg(液体の場合は2μl)の日焼け止めを塗って調べたものです。パッケージ通りの効果を得るには、それと同じだけの量を使う必要があります。適量を正しく使って紫外線を正しく防ぎ、しみを予防しましょう。

さらに、どれだけきれいに塗っても、手や衣類に触れたり汗をかいたりすると、日焼け止めは徐々に落ちていき、効果が薄れてしまいます。2~3時間おきに塗り直して、効果を持続させましょう。 

今、行っている紫外線対策が十分かどうかを、セルフチェックで確認してみてはいかがでしょうか?
・しみ・そばかす・日焼け セルフチェック
https://alinamin-kenko.jp/navi/check_hiyake_zenshin.html

食事からしみ予防に効果的な栄養素(食べ物)を摂取する

しみ予防に効果的な栄養素を摂取することも効果的です。

抗酸化物質には、体内の活性酸素の影響から体を守ってくれる働きがあるといわれています。

βカロテン(ビタミンA)
(食べ物のなかでは主に緑黄色野菜に含まれる)
ビタミンC
(赤ピーマン、ブロッコリー、キウイなどに多く含まれる)
ビタミンE
(アーモンドやひまわり油などに多く含まれる)
ポリフェノール
(赤ワインやコーヒー、緑茶などに多く含まれる)

などは抗酸化物質に含まれます。
抗酸化物質を含む食べ物を日頃から積極的に摂取しましょう。

特に、ヒトの体内でつくることができないビタミンCについては、食べ物やビタミン製剤などからの摂取が効果的です。ビタミンCは水溶性ビタミンで、摂りすぎてしまっても尿に溶けて排出されるため、過剰摂取のリスクも少なく、ビタミン製剤の利用もしやすいでしょう。

※活性酸素:細胞や組織をさびさせ、しみやしわを増やしたり、動脈硬化の原因になったりする物質。

また、タンパク質も皮膚のターンオーバーが順調に行われるために必要な栄養素です。

<関連記事>

・ビタミンC(アスコルビン酸)
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・ビタミンE(トコフェロール)
https://alinamin-kenko.jp/kenkolife/vitamin/hyakka/e.html
・病気や老化の原因にもなる「酸化」を防ぐ、抗酸化とは?
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十分な睡眠と適度な運動でストレスのない生活を

体を健康に保つことも、肌の健康を維持し、しみを防ぐのに重要な役割を果たします。

まず、たばこやアルコールは控えめにすると良いでしょう。喫煙によって肌の血液の流れが悪くなる、飲酒によってビタミンCがアルコールの分解に利用されてしまうといったデメリットがあるためです。

また、寝ている間に皮膚に栄養が補給され、老廃物を外に出しているため、睡眠を十分に取ることも重要です。質の良い睡眠のために、疲労回復に効果的なビタミンB群を、ビタミン製剤などで摂取するのも良いかもしれません。

休養を取るとともに適度な運動を心がけることによって、ストレスを軽減したり、ストレス解消の方法を見つけたりして心身の健康を保ち、しみを予防しましょう。

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・健康寿命を延ばす鍵はビタミン!? 改めて知るべきビタミンの大切さ
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できてしまったしみへの対策

できてしまったしみについては、医療機関での治療が必要になる場合と、セルフケアで改善できる場合があります。
4種類のしみのなかでも、老人性色素斑、炎症後色素沈着は、比較的セルフケアでの改善が見込めやすいしみといえます。具体的な対策方法を見ていきましょう。

美白成分配合の化粧品、クリームなどでスキンケアをする

美白化粧品とは、過剰に生成されて皮膚のなかに溜まってしまったメラニンを排出・破壊したり、しみを薄くしたりする成分が配合された化粧品です。使い続けることで、しみを薄くする効果が期待できます。昨今では女性用だけでなく、メンズ用の美白化粧品も市販されています。

美白化粧品は、しみのなかでも主に老人性色素斑、炎症後色素沈着の軽減に役立つといわれていますが、炎症後色素沈着は長年放置したり、摩擦や日焼けの影響を受けたりしていると軽減されにくくなることがあります。注意しておきましょう。

市販薬やサプリメントを服用する

市販薬やサプリメントを用いて、紫外線によるダメージやしみを体の内側から対処することもひとつの方法です。

しみ対策として最も知られているのはビタミンCの服用でしょう。ビタミンCにはメラニンの生成を抑え、しみの色を薄くする働きがあるため、ビタミンCを含む市販薬やサプリメントは「しみ対策」とうたわれることが多いです。また、水溶性のビタミンであるビタミンCは、過剰に摂取してしまった分は尿とともに排出されるため、安心な成分でもあります。約28日で肌のターンオーバーが行われること等を考慮すると、2~3ヵ月を目安として服用してみると良いでしょう。

その他、メラニンの生成を抑制するといわれているトラネキサム酸や、肌のターンオーバーを助けるL-システイン、メラニンの排出を助けるビタミンE、肌細胞の生まれ変わりを助けるパントテン酸カルシウム、脂質の代謝を助けるビタミンB2などもしみの緩和効果が期待されています。

しみの緩和に関連する製品

医療機関を受診する

医療機関では、投薬によってしみを薄くしたり、レーザーによってしみ消しをしたりすることができます。

例えば肝斑は、老人性色素斑等と違って変化するシミです。医療機関で処方される内服薬によって、薄くなるなどの効果が見られます。
内服薬の代表はトラネキサム酸。治療法の第一選択は、レーザーをしながらトラネキサム酸を内服する治療法です。ただしトラネキサム酸が体質に合わず服用できない禁忌の方や副反応が出てしまう方には、ビタミンCの内服や高濃度ビタミンCの点滴等が第二選択となります。
肝斑としみの判別を自分ですることは難しいため、医療機関を受診して診察を受けましょう。

他の3種類のしみについては、メラニンを対象にした「Qスイッチレーザー」などを照射して取り去ることが可能です。Qスイッチレーザーは、短い照射時間で強力なレーザーを照射できるため、周囲の細胞を傷つけず、肌の奥深くの色素沈着を治療するのに適しています。

ただし、斑点状をしていてそばかすに似た「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」と呼ばれるしみは、根が深いため、特殊なレーザーを複数回照射する必要があり、治療回数が多くなる傾向があるなど、しみの性質により違いがあります。場合によっては、手術で除去することもあります。

医療機関でのしみの除去を考えている場合は、医師と相談して自分のしみに合った治療法を選択していきましょう。

正しいしみ対策で、理想の肌を目指そう

しみは、最大の原因である紫外線の対策をすることと、肌のターンオーバー周期を正常に保つことで、ある程度の予防が可能です。できてしまったしみも、医療機関での治療やセルフケアで目立たなくすることができます。
また、肌へのケアだけでなく、十分な休息や栄養補給で健康な体を保つことも大切です。
さまざまな角度からしみを対策して、しみのない理想の肌を目指しましょう。

参考文献

「病気がみえる vol.14 皮膚科」メディックメディア,2020
「美容のヒフ科学」南山堂,2021
「正しい知識がわかる 美肌事典」高橋書店,2021
紫外線環境保健マニュアル2020 環境省

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・症状・疾患ナビ「しみ・そばかす・日焼け」
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・症状・疾患ナビ「肌あれ」
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・ニッポン健康大調査「あなどれない!肌トラブル」