帯状疱疹の痛みは通常、発疹がひくとともに治まりますが、発疹が治っても3カ月から数年くらい痛みが続くことがあります。これが帯状疱疹後神経痛で、神経が炎症によって傷ついたことで起こると考えられています。帯状疱疹になった人の約3%に発生し、60歳以上の高齢の人や帯状疱疹の初期症状が重かった人に多くみられます。
難聴
物音や人の話し声が聞こえにくくなった状態が難聴です。ほお、下あご、耳から首や肩にかけて帯状疱疹が発症し、内耳の神経が侵されると耳に異常が起こります。はじめに耳痛や頭痛があらわれ、次第に難聴やグルグル回転しているようなめまいが起こります。皮膚の症状が治まったあともめまいなどの症状が残ることがあります。
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 耳が聞こえにくい(難聴)
顔面神経麻痺
顔の神経は脳から内耳の神経と一緒に耳の奥を通って耳の穴の近くから分かれて顔に分布しています。そのため、帯状疱疹が頬やあご、首など耳の近くに発症すると、顔の神経にも障害をもたらし、顔がこわばって目を開けたり閉じたりできないほどの麻痺が起こります。難聴やめまい、味覚障害をともなうこともあります。
角膜炎・網膜炎
目の周囲や額に帯状疱疹が発症し、顔の神経が侵されると、目の角膜や網膜に炎症を起こすことがあります。目の痛み、まぶしさ、涙が出るなどの症状があらわれ、進行すると視力が低下します。炎症の影響は視神経にまで及ぶことがあるため、最悪の場合失明することもあります。
その他の合併症
お腹に発症した場合は、片側の腹筋が麻痺して、大腸などの働きが低下し膨満感を感じたり、便秘になることがあります。また、陰部周辺に発症した場合は、膀胱や尿道の働きが低下して尿の出が悪くなることがあります。さらに、炎症が強く帯状疱疹が脊髄の深い部分にまで及ぶと、運動麻痺や筋肉の萎縮を起こすこともあります。