首のこり

パソコンやスマートフォンなどの画面をずっと見続けたり、悪い姿勢でデスクワークやパソコンを使用したりすることで、首の後ろがかたくなったり、こわばったりしたという経験はないでしょうか。 ここでは、首のこりの症状や原因、予防法、首のこりを改善するための対処法などをご紹介します。

監修:手塚 正樹 先生(高砂慶友整形外科 院長)
※「首のこりセルフチェック」は、井上修二先生(共立女子大学名誉教授、医学博士)のご監修です。

首のこりってどういう状態?

1首のこりの症状

「こり」とは筋肉が縮んでかたくなったり、
こわばったりした状態をいい、首のこりは首の後ろ、うなじ周辺の筋肉がこり固まった状態です。
長時間のパソコン作業などで首から肩の筋肉が緊張すると、血行が悪くなり、血液から供給される酸素が不足して老廃物質がたまり、それが原因で痛みやこりなどの不快な症状が引き起こされます。

日常から考えられる首のこりの原因

1頭を支えることによる負荷

頭の重さは体重の8〜10%とされており、首と肩にはこの重さを支えるために日常的な負荷がかかっています。首や肩の筋肉は負荷がかかると縮まり、そこを通る血管も縮むので血行が悪くなります。血行が悪くなると、筋肉にできた老廃物質がたまって神経を刺激するため、こりや痛みの症状が出てきます。

2長時間同じ、または悪い姿勢でいることによる筋肉の緊張と疲労

デスクワークやパソコン作業などで長時間同じ姿勢でいると、首や肩の周辺の筋肉に緊張が続き、老廃物質がたまって、こりの症状があらわれます。また、姿勢が悪いままでスマートフォンやテレビなどの画面を見続けたりしても、同様にこりの症状が出てきます。

最近では理学療法の研究が進み、しつこい首のこりの原因は、首の筋肉の奥深くにある後頭下筋群がこることで起こるといわれています。後頭下筋群がこると首の後ろ上部の張りや痛みなどがあらわれ、首をまわしにくくなることもあります。「僧帽筋」という背中から首を覆う筋肉がこることで起こる肩や首のこりとは異なるので、肩周りをもみほぐしても解消しにくいという特徴があります。

3眼精疲労

パソコンやスマートフォンなどで長時間にわたって目を酷使し続けると、目の疲れだけでなく全身に疲れを感じることがあり、この状態を眼精疲労といいます。首のこりもその症状の一つです。

また、近視や乱視、老眼などの矯正でメガネの度が合っていない場合や、白内障などで物が見づらい場合などは、目を近づけるなどの不自然な姿勢をとりがちで、その結果、首のこりが引き起こされることがあります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。疲れ目

4運動不足による筋肉疲労と血行不良

日頃から体を動かしていないと筋肉が使われないため、筋肉の緊張や疲労が起こりやすくなり、肩や首筋のこりがあらわれやすくなります。
また、運動不足は血行不良を招き、首のこりが悪化する原因にもなります。
運動量の少ない人は、筋肉量も減ってしまうので、首のこりなどを生じやすくなります。筋肉量の多い人は、血行不良を起こしにくく、首のこりなどなりにくいことがわかっています。

5ストレスによる緊張

精神的なストレスを受けると自律神経の働きが乱れます。自律神経は筋肉の緊張や血行にも関係しているので、ストレスが続くことでバランスを失うと、筋肉の緊張や血行障害となり、首のこりが起こります。
一時的なものであれば問題ありませんが、連日ストレスにさらされ筋肉に過剰な緊張状態が続くと、首のこりが慢性化することがあります。

6寒さによる緊張、自律神経の乱れ

寒い場所や冷房の効いた部屋で長い時間過ごしていると体に不自然な力が入り、筋肉が緊張します。さらに、寒さによって自律神経の乱れが引き起こされ交感神経が過度に働くことで筋肉の緊張が強まります。そうすることで首のこりが生じます。

首のこりをともなう疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

1外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん・むち打ち症)

自動車の追突事故やラグビーなどのスポーツで激しく衝突したときに起こることが多く、よく“むち打ち症”と呼ばれるものです。

首がむちのようにしなり、それにつれて頭が振られるために頚椎の関節や筋肉が損傷されます。首の痛みや熱感、肩こりだけでなく、首が動かしにくい、首の痛み、首のこわばりなどの症状があらわれます。損傷がひどい場合には頭痛や吐き気、めまいなどを伴います。

2変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう)

加齢とともに頸椎(首の骨)が変形することで起こります。多くの場合、頸椎の骨と骨の間にはクッションのような役割を果たしている椎間板がありますが、これが薄くなって弾力が減少し、椎間板に接している椎骨がトゲのように変形します。
このトゲが頚椎の間から肩に向かって出る脊髄神経を圧迫して刺激し、首、肩の痛みや違和感などがあらわれるようになり、やがて手と腕に痛みやしびれなどの症状があらわれます。

3頚椎椎間板ヘルニア

首の椎間板に亀裂が生じて、椎間板の中身が飛び出した状態をいいます。神経を圧迫して首の後ろから肩や背中が痛む、腕が痛む、しびれるなどの症状があらわれます。40〜50歳代の男性に多く発症します。

4更年期障害

女性の閉経前後の約10年間を更年期といいます。この期間は女性ホルモンが急に減少し、ホルモンを調整している脳の視床下部が混乱し、ホルモンの分泌が乱れ、自律神経にも影響を及ぼします。その結果、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。心に起こる症状にはイライラや不安感など、体に起こる症状にはこりや疲れ、疲れやすい、のぼせやほてりなどがあります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。更年期障害

5高血圧症

血圧の高い状態を高血圧といい、繰り返して測っても血圧が正常よりも高い場合を高血圧症とよびます。収縮期(最大)血圧140mmHg以上、拡張期(最低)血圧90mmHg以上が続く状態です。

高血圧症の多くは、神経系や腎臓などになんらかの遺伝的な異常があり、そこに塩分の摂り過ぎや過食などの生活習慣や環境の要因が加わって起こります。高血圧症は自覚症状がない場合が多いですが、肩や首のこりや頭痛、めまいなどの症状があらわれることがあります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。血圧が高めである

6自律神経失調症

さまざまな症状がある一方で、検査をしても異常がなく病気が特定できない場合に自律神経失調症という病名がつきます。医学的に自律神経が障害されているわけではなく、人間関係の悩みや仕事の不調、家庭内での葛藤などから来る心身のストレスや、環境の変化、不規則な生活などが原因になります。

思春期や更年期などホルモンバランスの変化が起こりがちな時期に生じやすく、女性に多いという特徴があります。肩や首のこりだけでなく腰痛や背部痛、足の痛み、後頭部の筋肉痛などの症状があらわれることもあります。この疾患・症状に関連する情報はこちら。自律神経の乱れ

日常でできる首のこりの予防法

1食事で血行を良くする

血行不良を改善するために、栄養も大切です。例えば、血行を促す栄養素はビタミンEで、アーモンドやクルミ、たらこなどに多く含まれています。また不飽和脂肪酸のDHAやEPAも血行を促進する作用があります。これらは背の青い魚(いわし、あじなど)に多く含まれています。
そして筋肉の元となるのはたんぱく質です。肉類、魚類、豆腐や納豆などの大豆製品に多く含まれています。
また、カルシウムやカリウム、マグネシウムといったミネラルは、筋肉の働きを助ける役目があります。
これらは体内で相互に作用しあって働くので、バランスよく摂ることが大切です。食事を見直して、不足を補うようにしましょう。

2ストレッチなどで血行を良くする

こりを感じたら、首の筋肉のストレッチをしましょう。腹式呼吸をしながら前後左右に無理なく伸ばせるところまでゆっくりと首の筋肉を伸ばします。伸ばせるところまで伸ばしたら、その状態を20~30秒間保って元に戻します。また、肩甲骨周辺の筋肉をほぐすような肩甲骨ストレッチも首や肩のこりに効果的です。
体に負担が少なく、全身の筋肉をバランス良く使う運動を、少しずつでも行うようにしましょう。ウォーキングやサイクリング、ストレッチ、ラジオ体操なども良いでしょう。

3首や肩を冷やさない

夏のエアコンによる冷やし過ぎや、冬の寒さに身を縮める筋肉の緊張は、こりの原因となります。冷気をなるべく避け、冷えてしまったときは、蒸しタオルやカイロなどを使って首と肩を温めましょう。

4仕事の環境を見直す

パソコンの画面との距離を40cm以上離し、目線が下になるように位置を調節し、背筋を伸ばして椅子に深く腰掛け、キーボードは自然に手を置いたときに、ひじの角度が90〜100度くらいになるようにすると体に負担が少なくなります。

デスクワークが続く場合は最大2時間を目安に1回は休憩をとり、伸びをするなど適度に体を動かすようにしましょう。

首のこりの対処法

1自宅でのセルフケア

デスクワークなどにより同じ姿勢を長時間続けることで首がこってしまっている場合は、日常生活のなかで入浴や睡眠、休養などに十分注意することで解消できることが少なくありません。
また、筋力をアップすることで、血行が促進される上に、楽に正しい姿勢を保つことができるようになります。首の筋肉を鍛えて、こりが起こりにくい体を作りましょう。頭を右側に傾け、左の手のひらを左側頭部に当てます。左手で頭を押し、それに逆らって頭を戻そうとするトレーニングを、左右交互に心地よく感じる程度に繰り返すと良いでしょう。毎日行う必要はなく、一日おきなど負荷と休みを繰り返す方が筋肉は効率よく鍛えられます。

また、首や肩の周りを動かす、入浴するなどにより血流を良くしたり、市販の薬を使ったりすることでも症状の改善が期待できます。

効果的な入浴で血行を良くする
ぬるめのお湯に胸の下までゆったりと浸かりましょう。こっている部分にシャワーで温める方法も効果がありますが、湯船で体の芯から温めると血行がよくなります。半身浴をしながらストレッチをすると、筋肉がほぐれ、さらに血行がよくなります。
また、温冷交代浴(体を温めるのと、冷やすのを交互に行う入浴法)もおすすめです。ぬるめのお湯にじっくり浸かって体を温め、次に湯船から出て少し冷たいシャワーを手足から肩にかけ、再びぬるめのお湯に入ることを3~4回繰り返します。血管の拡張と収縮を繰り返すことになるので、効果的です。

ほど良い刺激のマッサージを受ける
痛みを感じるほどのマッサージは、筋肉に余計な緊張や局所的な疲労を与えたり、小さな傷をつけてしまうことがあります。周囲の人にマッサージをしてもらう場合や、自分で行う場合は、さする、軽く押す、もむ程度の軽い刺激にとどめておくのがいいでしょう。

市販の薬を使う
首のこりや肩こりの緩和には、鎮痛消炎成分であるインドメタシンやフェルビナクなどを配合した外用鎮痛消炎薬(貼付薬、ゲルなど)を用い、頭痛や頭が重い感じが伴う場合はイブプロフェンなどの成分が配合された鎮痛消炎薬を服用するのも効果的です。

さらに、ビタミンB1、B6、B12などの有効成分を配合したビタミン剤やこれらにビタミンEを含むものも、肩こりや腰痛、眼精疲労、神経痛、手足のしびれに効果があります。

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2医療機関の受診

自宅でのセルフケアをやっても首や肩に痛みやこりが残る場合や、首や肩のこりだけでなくしびれや麻痺も感じるような場合は、他の病気が潜んでいる可能性があります。主治医や整形外科の診察や治療を受けましょう。

プチメモ

1寝違えたら、どうする?

朝起きたら、首すじが痛くて曲がらない、回せないという経験はありませんか。

寝違えによる首の痛みに襲われたら、痛い方向には動かさないようにしましょう。首を動かせるようであれば緩やかなストレッチが効果的なこともありますが、痛みを我慢してストレッチするのは逆効果の場合もあります。マッサージも同様に、さらに痛みがひどくなるようであればやめた方が良いでしょう。

寝違えが治らない場合は、痛みの原因となる病気が隠れていないか調べてもらうよう病院の受診をすすめます。

※画像はイメージです

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