季節の変わり目に起こる体調不良に注意!症状の対策や自律神経との関係を解説

季節の変わり目に起こる体調不良に注意!症状の対策や自律神経との関係を解説

季節の変わり目には、人によっては肩こりや関節痛がひどくなったり、体調の変化が起こりやすくなったりします。それらの症状や病気の多くが「自律神経の乱れ」と関係しているようです。季節の変わり目に発症しがちな症状の対策や、自律神経との関係を解説します。
谷口 英喜 先生

監修

谷口 英喜 先生 (済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長、東京医療保健大学大学院 客員教授)

季節の変わり目っていつのこと?

「季節の変わり目」とは、春先や秋口などの寒暖差が大きい時期のことです。そのような時期は、日ごとの寒暖差だけでなく、1日のなかでも明け方と日中の気温の差が大きく、体に負担がかかりやすくなります。
ただ、冷暖房が発達した現代社会では、1日の寒暖差がそれほど大きくない夏や冬であっても、空調の効いた部屋とそうでない別の部屋やスペース、または屋外などとの温度の落差が大きくなりがちです。そのため、男性も女性も季節にかかわりなく、体に負担が生じてしまうこともあります。

季節の変わり目に起こる体調不良の原因

天候や気圧などの自然環境の変化

季節の変わり目に起こる体調不良の原因として、第一に挙げられるのが、天候や気圧などの自然環境の変化です。具体的には以下のようなことです。

春から夏

  • 梅雨の湿度上昇
  • 不安定な気圧
  • 日照時間の延長

夏から秋

  • 台風の影響による大雨と気圧変動
  • 急な気圧低下

秋から冬

  • 空気の乾燥
  • 日照時間の短縮

このような天気や気温・湿度の変化や気圧の変動は、人の体に動悸や息苦しさなどをもたらしたりして、ストレスとして直接的に影響を及ぼします。また、植物や昆虫などの成長や繁殖を介して、人の健康に影響を及ぼすこともあります。例えば、春の花粉症、夏から秋にかけて増えるダニやその死骸によるアレルギー症状などです。

季節の変わり目の不調には自律神経の乱れが大きく関係?

季節の変わり目の不調には、自律神経のバランスが乱れてしまうことの影響が大きいと考えられています。

自律神経とは、自分の意思とは関係なく、心臓や内臓器官などの体の諸機能を最適な状態に保つための神経です。心拍数や血圧、体温、発汗、胃腸の活動などを無意識のうちに調節しています。
自律神経は車に例えるとアクセル役の交感神経と、反対にブレーキ役の副交感神経からなり、その二つのバランスで全身をコントロールしています。日中や活動時は交感神経が優位になり、夜間や安静時は副交感神経が優位になります。
季節の変わり目には、交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすくなって、不快な症状が現れやすくなると考えられます。その結果、免疫力が低下し、体調を崩してしまったり、風邪をひきやすくなったりするため、注意が必要です。
自律神経のバランスの乱れを簡単にチェックする方法も提案されていますので、確認してみてください。

・自律神経の乱れ セルフチェック
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季節の変わり目に現れやすい症状

体の不調:頭痛、肩こり、関節痛、めまい、倦怠感、不眠、肌荒れ、鼻づまり…

自律神経のバランスの乱れは、その人の弱い部分に現れやすいものです。例えば、飛行機に乗った時に頭痛を感じやすい人は、気圧が急変しやすい時期にも頭痛が起きやすくなる可能性があります。また、雨が降る前に関節や古傷が痛むという人もいます。そのため「気象病」「天気痛」などとも呼ばれます。頭痛や関節痛の他、微熱、咳、肩こり、めまい、吐き気、倦怠感、不眠、肌荒れ、鼻づまりなども、気象病や天気痛の症状として挙げられます。

・体の「季節病」

より季節性がはっきりあらわれる「季節病」と呼ばれる病気もあります。日本人の4割近くが罹患しているともいわれる花粉症は、その代表的な病気です。
その他にも、気管支喘息は季節の変わり目に症状が悪化しやすく、脳卒中は冬に多いことも古くから知られていますし、冬季のインフルエンザ、夏季の熱中症や食中毒も、季節病という側面があります。なお、花粉症に似ていて鼻づまりや鼻水が出る「血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)」という病気もあり、これは気温の急変による影響が大きい病気です。花粉症との違いとして、春に限らず寒暖差の大きい季節の変わり目に症状が強くなり、また目のかゆみは生じません。

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心(メンタル)の不調:イライラしやすい、やる気が出ない、うつ状態…

季節の変化がメンタルの不調を引き起こすこともあります。例えば、新年度が始まる4月は、不慣れな仕事や新たな人間関係を築かなければならないストレスで、不安やイライラが募りやすい季節です。そのような不安やイライラも、自律神経のバランスに影響を及ぼします。一方で、新しい環境に慣れてきて緊張がほぐれると、反動が一気にきて、やる気がなくなってしまうこともあります。いわゆる五月病です。

・心の「季節病」

「季節性うつ」という病気があります。冬になると抑うつ症状が現れ、春になると改善するため、「冬季うつ」と呼ばれることもあります。その一因として、日照時間が少なくなり、紫外線を受けてビタミンDから皮膚で変換されできあがる活性型ビタミンDの量が不足することも関係していると考えられています。
症状は一般的なうつ病と基本的に同じですが、食欲がかえって増進し、特に炭水化物を多く食べたくなったり、過眠傾向がよく現れたりすることがわかっています。なお、患者さんは少ないものの、夏の季節性うつもあります。

季節の変わり目に起こる体調不良の対策と対処法

バランスの良い食事、特にビタミンB群不足に気をつける

食事は健康の基本です。バランスの良い食事を心がけましょう。
バランスの良い食事とは、栄養素のバランスと、食べる量と身体活動量のバランスの双方が良い食事という意味です。
自律神経への影響という点からは、ビタミンが不足しないように気をつけることがポイントになります。なかでもビタミンB群は神経の働きに重要な役割を担っているため、特に注意したい栄養素。関節痛で医療機関を受診する人のなかにも、ビタミンB群が不足している人が少なくないようです。さらに、脳内神経伝達物質のセロトニンは心の健康の維持に重要とされていて、セロトニンの材料であるトリプトファンの吸収には、ビタミンB6が必要とされます。

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適切な睡眠時間の確保と朝の太陽

睡眠不足も自律神経のバランスを崩す大きな原因の一つです。日ごろから適切な睡眠時間を確保するようにしてください。
約1日の周期で変動する身体機能のリズム(概日リズム:がいじつリズム)は、季節の変わり目にずれが生じやすく、そのずれの影響で自律神経のバランスが乱れることもあります。朝に強い光を浴びることで概日リズムをリセットできるので、目覚めたらまずはカーテンを開けて太陽光を浴びるようにしましょう。

また、太陽の光を浴びると、活性型ビタミンDが体内で産生されます。活性型ビタミンDには骨の健康や免疫機能、うつ状態への作用が期待されていたり、睡眠の質の改善作用があったりすることが報告されています。太陽の光を浴びる習慣をつけ、適切な睡眠時間を確保するようにしましょう。

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適度な運動を習慣的に続ける

健康の維持・増進には、運動も重要です。自律神経のバランスを整えるためには、ストレッチの他に、ウォーキングや水泳などの、ゆっくりとしたリズムで長時間続けられるタイプの運動が良いといわれます。軽く汗をかくくらいの運動を習慣的に続けてください。

姿勢を見直し、腹式呼吸

食事、睡眠、運動と同じくらい重要なのが「姿勢」です。姿勢を正すのは、時間やコストなどを全く必要とせず、いつでもできます。今この瞬間から始めてみましょう。
また、あわせて呼吸の仕方も意識してみてください。腹式呼吸といわれる方法が良いとされます。胸ではなく、お腹で息をするような感覚で、深く、ゆっくりとした呼吸を心がけてみましょう。

寒暖差を小さくする

季節の変わり目の体調不良を引き起こす原因のひとつは、寒暖差です。気温にあわせて着るものをこまめに変えるようにしましょう。特に春や秋は、同じ1日のなかでも気温の変化が激しくなりがちですから、日にち単位だけでなく、時間単位でも重ね着をしたり、薄着に変えたりするなどして、体への影響を抑えてください。空調の効き過ぎや、屋外や他の部屋との寒暖差にも注意しましょう。

湯船につかる

夜になったら副交感神経を優位にすることで、質の良い睡眠をとることができます。そのための方法としておすすめなのが、入浴です。シャワー浴ではなく、ぜひ温かい湯船にゆったり浸ってください。その際、入浴剤を使用するのも良いかもしれません。入浴剤には保温・保湿効果が期待される各種成分が配合されています。特に医薬部外品の薬用入浴剤には冷え症、疲労、神経痛などへの効能を有するものもあるため、活用してみるのも良いでしょう。

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花粉症の対策を行う

花粉症のような季節性のはっきりしている病気に対しては、シーズン前から対策を立てましょう。花粉飛散情報をチェックして、飛散量が多い日は防備をよりしっかりと。近年では花粉の飛散量の予測が、シーズン前からアナウンスされています。例えば以下のサイトなどです。

https://tenki.jp/pollen/expectation
https://alinamin-kenko.jp/tokushu/kafunsho/index.html

自律神経を整えるツボを押す

気温と並び、体調への影響が大きい気象条件として「気圧」が挙げられます。その気圧の変化は、耳の奥の内耳で感知しています。耳の近くにあるツボを刺激して自律神経の緊張を抑えることで、症状が改善することがあります。ツボの名称では、「耳門(じもん)」、「角孫」(かくそん)、「翳風(えいふう)」、「完骨(かんこつ)」などです。また、首の後ろ側の「風池(ふうち)」も、交感神経の緊張をほぐすのに効果的とされています。

症状が続く場合は医療機関を受診する

自律神経のバランスを整えて、季節の変わり目に起こる体調不良に対処する方法を解説してきましたが、当然のことながら、それらの対策にも限界があり、十分に改善しないこともあります。また、たまたま季節の変わり目に症状が現れただけで、本当の原因は季節とは関係のない病気の発病や悪化なのかもしれません。もしも症状が長引くようなら、無理せずに早めに医療機関を受診してください。

季節の変わり目にはきちんと対策を行って健康に乗り越えよう

日本は四季がはっきりしている国だといわれています。俳句に季語があるように、昔から季節の移ろいを敏感に感じ取り、いつくしむような文化があるようです。そんな美しい国に住んでいるのに、体調不良のために季節の変化を楽しめないとしたら、がっかりですね。ご自身の体調不良に季節の変化が関係しているのではないかと思ったら、季節の変わり目の前に少し早めに対策を立ててみてください。

参考文献

The effect of vitamin D supplement on the score and quality of sleep in 20-50 year-old people with sleep disorders compared with control group
Mohammad Shahi Majid, Hosseini Seyed Ahmad, Helli Bizhan, Haghighi Zade Mohammad Hosein, Abolfathi Mohammad 2018 Sep;21(7):511-519
久手堅司『気象病ハンドブック』,誠文堂新光社,2022
渡邊章範『その痛みやモヤモヤは「気象病」が原因だった』,青春出版社,2015

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