花粉症
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花粉症

スギやヒノキなどの特定の花粉が鼻やのど、目の粘膜についたときにアレルギー反応が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなどの症状を起こすのが花粉症です。症状が重くなると、皮膚のかゆみや頭が重い、だるさや不眠、集中力の低下など、全身にさまざまな症状があらわれることがあります。

白土 秀樹 先生

監修

白土 秀樹 先生 (医療法人しらつち耳鼻咽喉科 理事長、九州大学医学部臨床教授)

原因となる花粉はスギ・ヒノキ以外にもカバノキ科、イネ科、ブタクサなど様々

スギ、ヒノキ科の花粉

日本で最も多い原因は、約7割をしめるスギ花粉です。地域差はありますが 2月頃から飛散し始め、約2カ月間続きます。花粉は晴れた日に多く飛散し、1日の中では正午前後と日没直後に飛散量が多くなります。しかし、近年飛散量が増えているヒノキ科の花粉がスギ花粉より1カ月から1カ月半遅れて飛散するので、症状が長引く場合はヒノキ花粉症を併発している可能性があります。

* 一般社団法人日本アレルギー学会・厚生労働省「アレルギーポータル(https://allergyportal.jp/provision/allergic-rhinitis/)」より(閲覧日:2024年3月1日)

カバノキ科の花粉

北海道にスギは少ないので、スギ花粉症はほとんどありませんが、3月から6月にかけてシラカバやハンノキなどのカバノキ科の花粉が飛散し花粉症を引き起こします。近畿地方ではカバノキ科のヤシャブシが多く植林され、ヤシャブシ花粉症が問題になっています。花粉は1月から4月にかけて飛散します。

イネ科の植物の花粉

花粉症の原因となるイネ科の植物の代表はカモガヤです。全国いたるところの道端、空き地、土手、河川敷など身近な場所に繁殖し、主に5月から10月に花粉を飛ばします。

ブタクサなどの雑草の花粉

第二次世界大戦後、アメリカから大量に入ってきたブタクサは花粉症の原因としてよく知られていますが、空き地の減少や積極的な刈り取りにより少なくなっています。飛散時期は8月から10月。ヨモギによる花粉症もブタクサと同じくらいみられ、シーズンはブタクサより半月程度遅れます。

花粉症の4大症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ(4大症状)

花粉症のくしゃみは発作のように連続して起こり、回数が多いのが特徴です。風邪の場合は長くても1週間程度で治まりますが、花粉症の場合は原因となる花粉の飛散している間続きます。鼻水は水のようにサラサラして、風邪のときのように粘り気がある黄色い鼻水にはなりません。鼻づまりや目のかゆみも強く出ます。

その他のさまざまな症状

花粉がのどから気管に入ると、たんの出ない乾いたせきが続くことがあります。重症の場合は、気管支の粘膜が腫れ、のどの痛みや呼吸困難が起こることもあります。皮膚に花粉がつくことで肌が荒れたりかゆみが起きることもあります。花粉症の症状が重いと、ぼーっとして熱っぽい、だるく倦怠感がある、頭が重いといった全身症状をともなう場合もあります。

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花粉を避ける、室内に持ち込まないなどの予防が重要

外出時はできるだけ花粉を避ける

晴れて風が強い日中は花粉がたくさん飛びます。とくに飛散のピークとなる昼前から午後3時ごろの時間帯はなるべく外出を控えましょう。外出時はマスクをし、メガネやゴーグル、帽子を着用します。ウール素材の服は花粉がつきやすいので、花粉の季節は綿や化学繊維などスベスベした素材の服を選んで着るようにしましょう。

室内に花粉を持ち込まない

外出から戻ったときは、家に入る前に玄関先で服などについた花粉を払い落としましょう。また、すぐに手や顔、目、鼻を洗い、うがいをすることが大切です。洗濯物はできるだけ乾燥機を利用するか部屋干しで。布団を外に干したときは、よく花粉を払い落としてから取り込み、さらに掃除機をかけて残った花粉を吸引しましょう。

室内の花粉を減らす

晴れて風が強い日中は、換気のコツは開窓の幅を10cm程度にすることと、レースのカーテンを使用すること。これで侵入する花粉を約1/4に減らすことができるそうです。室内に漂っている花粉を取り除くには、空気清浄機が効果的です。掃除をするときは花粉を舞い上げないことが大切なので、床や畳は拭き掃除をしてから掃除機をかけます。ソファやカーテンも念入りに掃除機をかけ、仕上げに家具を濡れた雑巾で拭きましょう。

花粉情報を活用する

花粉が飛び始める時期や量、花粉の多い日や地域、時間帯などの情報は日本気象協会などのホームページやテレビ、新聞、インターネットなどさまざまなメディアから手に入れることができます。外出の計画などに役立てて、花粉から身を守りましょう。

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雑草を刈り取る

スギ花粉が数十キロメートル先にも飛散するのに対し、イネ科やブタクサなどの雑草の花粉は数百メートル以内にしか飛散しません。原因となる雑草が茂っている場所がわかれば、自分で刈り取る、土地の所有者に願い出る、河川敷などの場合は所轄の官庁に働きかけるなどして、原因の植物を刈り取ることができれば花粉の飛散を減らすことができます。

花粉症の症状はマスクや生活習慣改善、市販薬などでも対処可能

マスクをする

マスクは鼻の中に入る花粉の量も減らしてくれるので、花粉症の時期には欠かせないアイテムです。鼻の粘膜を保湿し炎症を防ぐことで症状を緩和する効果もあります。
使いやすいマスクは息がしやすいもの、衛生面から毎日交換する使い捨てのものが推奨されます。

目を冷やす

目のかゆみが強いときは、清潔なタオルで冷たいおしぼりをつくりまぶたの上に置くなど、冷やすと症状が楽になります。

生活習慣を改善する

疲労は自律神経を過敏にし、アレルギー反応を起こしやすくします。睡眠を十分にとり、ストレスを溜めないようにしましょう。また、お酒やタバコ、香辛料などは鼻の粘膜を刺激して、花粉症の症状を悪化させます。できるだけ控えましょう。

栄養バランスの良い食事をとる

アレルギーに負けない体をつくるには、栄養バランスの良い食事をとるように心がけるのが一番大切です。とくに肉中心の高たんぱく質・高脂質な食事は、アレルギー反応を悪化させるといわれているので注意しましょう。また、乳酸菌は花粉症の症状緩和に効果があるともいわれていますが、特定の食品ばかりではなくバランス良く食べるようにしましょう。

市販の薬を使う

アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きや粘膜の炎症を抑える内服薬で、鼻の症状やのどの痛みを緩和することができます。スプレータイプの点鼻薬や目のかゆみ、充血を緩和する点眼薬もありますので、薬剤師や登録販売者に相談のうえ、自分に合った薬を選びましょう。

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病院で診察を受ける

毎年一定の時期にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出る場合は、花粉症の可能性があります。耳鼻咽喉科やアレルギー科で診察を受けましょう。ただし、とくに目の症状がつらい場合は眼科、皮膚症状なら皮膚科、せきや全身症状のある場合は内科など、症状に応じて診療科を選ぶことが必要な場合もあります。

参考文献

プチメモ花粉症用マスクの効果は?

花粉症用マスクの効果は?

鼻の粘膜についた花粉の数を比較した実験によると、普通のマスクをしたときではマスクをしないときの約3分の1、花粉症用マスクでは約6分の1という結果が出ています(日本医科大学耳鼻咽喉科調べ)。ただし、花粉症用マスクでも大きすぎると顔とマスクの間にすき間ができ、花粉が入りこんでしまいますから、マスクを選ぶときは自分の顔に合った大きさのものを選びましょう。