目のかゆみ
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目のかゆみ

目のかゆみは、主にまぶたや白目と呼ばれる結膜についた異物の刺激や、異物に対するアレルギー反応によって起こります。また、まぶたや白目などに起こる炎症反応として、かゆみが出ることも少なくありません。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

日常生活から考えられる原因

目の乾燥

目を保護している涙の分泌が減ったり、涙が蒸発して目が乾燥すると、かゆみが出ることがあります。エアコンによる部屋の乾燥、パソコン作業や車の運転などによるまばたきの回数の減少が主な原因です。また、強いストレスも自律神経の働きを低下させて涙の分泌を抑制するので、かゆみが起きやすくなります。

コンタクトレンズの不適切な使用

コンタクトレンズの洗浄が不十分だったり、決められた装用時間を守らないなどの不適切な使い方をすると、汚れが細菌感染の原因になったり、酸素不足のために目が乾燥してかゆみが出ることがあります。人によっては、コンタクトレンズ自体でアレルギーを起こし、かゆみなどの症状が起こることもあります。

花粉やハウスダストなどのアレルギー

目の結膜が、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質の刺激を受けて炎症を起こします。花粉など決まった季節にあらわれるものと、ダニなどのハウスダストによって1年中症状が続くものとがあります。

目のかゆみの原因となる主な疾患

細菌やウイルス感染で起こる麦粒腫(ばくりゅうしゅ・ものもらい)や細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、花粉やハウスダストが原因となるアレルギー性結膜炎、春季カタルなどが目のかゆみを引き起こす原因になります。他にも、慢性的な炎症が原因となる霰粒腫(さんりゅうしゅ)、乾燥が引き起こすドライアイなども目のかゆみの原因として考えられます。また、これらの疾患や思い当たる原因がないのに目がかゆくなることもあり、それをまとめて結膜そう痒症といいます。

目のかゆみをともなう疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

細菌性結膜炎

結膜炎は一般的に、充血、目やに、かゆみ、涙目、ゴロゴロする異物感などの症状があらわれます。黄色ブドウ球菌などに感染して起きる細菌性結膜炎は、黄色い膿のような目やにが特徴です。感染力は強くありませんが、抵抗力が弱い高齢者や乳幼児などでは慢性化することがあります。

ウイルス性結膜炎(はやり目)

アデノウイルスなどに感染して起きるウイルス性結膜炎は、目やにがべっとりつき、まぶたが腫れたり充血したりする他、耳前リンパ節にしこりができることもあります。夏にプールでうつることが多い咽頭結膜熱(プール熱)は、目のかゆみの他にのどの痛みや発熱、だるさ、吐き気、下痢などの全身症状をともないます。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎は、アレルギーの原因となる異物が結膜に入ることで目に充血や強いかゆみが起きる疾患です。結膜がむくんで白目の部分がブヨブヨになることもあります。ハウスダストが原因の通年性のものとスギなどの花粉が原因の季節性のものがあり、最近ではコンタクトレンズの汚れが刺激になって起きることもわかってきました。

春季カタル

アレルギー性結膜炎の重症型で、花粉やハウスダストが原因と考えられています。強いかゆみやまぶしさに加え、充血、糸をひくような目やにが出ます。さらに悪化すると、まぶたの裏に白いブツブツができます。アトピー体質の子どもに起こりやすく、春から夏にかけて症状が悪化する傾向があります。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ・ものもらい)

まぶたのふちや内側にある皮脂腺に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こります。まぶたの一部が赤く腫れてかゆみが出たり、まばたきで痛みを感じたり、まぶたが重たくなるなどの症状があらわれます。膿をもった部分が白っぽくなることもあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

まぶたの中に小さな球状のしこりができるのが霰粒腫です。このしこりは、まぶたの内側の皮脂腺に、分泌物などが溜まったものです。しこりは、触ってみるとまぶたの中でグリグリと動きますが、通常痛みはあまりなく、かゆみもたまに感じる程度です。さらに細菌感染し、しこりの周囲に炎症を起こすと赤く腫れ、痛みが生じます。

ドライアイ

目を酷使したり、乾燥した室内に長時間いることで、目の表面を潤している涙が蒸発したり、分泌量が減って角膜が乾燥します。その結果、角膜に供給される酸素や栄養素が不足し、目の疲れやかゆみ、ゴロゴロとした異物感、充血といったトラブルを引き起こします。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。目の乾燥(ドライアイ)

眼瞼炎、眼瞼縁炎(がんけんえん、がんけんえんえん)

まぶたに起こる炎症をまとめて眼瞼炎、まつ毛の根元付近に起こるものを眼瞼縁炎といいます。麦粒腫のように、ウイルスや細菌の感染が原因になるものと、化粧品や石けん、毛染め、点眼液などさまざまな物質の刺激が原因になるものとがあります。痛みやかゆみがあらわれることが多く、原因によってはただれや水泡をともなうこともあります。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

日常生活でできる予防法

細菌やウイルスから目を守る

手で目をこすらない、帰宅後はよく手を洗う、結膜炎にかかっている人とタオルなどの生活用品は別々にする、プールから出たらよく洗顔し、目薬をさすなどして、細菌やウイルスから目を守りましょう。

部屋をまめに掃除し清潔に保つ

ハウスダスト対策は、部屋の掃除をこまめに行うことや通気を良くすることが大切です。ダニの繁殖を防ぐために、寝具はまめに干し、カーペットは敷くのを止めるか、時々丸洗いをします。ペットを飼っている場合は、飼育環境を清潔に保ちましょう。

外出時はできるだけ花粉を避ける

晴れて風が強い日中は花粉がたくさん飛びます。とくに飛散のピークとなる昼前から午後3時ごろの時間帯はなるべく外出を控えましょう。外出時はマスクをし、メガネやゴーグル、帽子を着用します。ニットの服は花粉がつきやすいので、花粉の季節は、花粉の付きにくいスベスベした素材の服を選んで着るようにしましょう。

室内に花粉を持ち込まない

外出から戻ったときは、家に入る前に玄関先で服などについた花粉を払いましょう。また、すぐに手や顔、目、鼻を洗い、うがいをすることが大切です。花粉の季節は洗濯物はできるだけ乾燥機を利用するか部屋干しで。布団を外に干したときは、よく花粉を払ってから取り込み、さらに掃除機をかけて残った花粉を吸引しましょう。

室内の花粉を減らす

晴れて風が強い日中は、窓やドアをできるだけ閉めておきましょう。室内に漂っている花粉を取り除くには、空気清浄機が効果的です。掃除をするときは花粉を舞い上げないことが大切なので、床や畳は拭き掃除をしてから掃除機をかけます。ソファやカーテンにも念入りに掃除機をかけ、仕上げに家具を濡れた雑巾で拭きましょう。

目の乾燥を防ぐ

パソコンのモニター画面などをじっと見つめているときは、まばたきの回数が減っています。まばたきは分泌された涙を瞳に送り出すポンプの働きをしたり、涙の蒸発を防ぐ働きをしますので、目を潤すためには意識してまばたきをすることが必要です。また、エアコンの風が直接目に当たらないように工夫し、室内が乾燥する場合は加湿器を使いましょう。夜間は涙の分泌量が減少するので、夜ふかしをしないことも大切です。

対処法

目を冷やす

目のかゆみが強いときや炎症を起こしているときは、清潔なタオルで冷たいおしぼりを作り、まぶたの上に置くと楽になります。目の乾燥によるかゆみの場合は、冷やした後に温めると、血行が良くなり症状が改善します。

市販の薬を使う

目のかゆみには、抗炎症成分プラノプロフェン配合の点眼薬、乾燥によるかゆみには涙と同じ成分の塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムが含まれている点眼薬、ものもらいや結膜炎のときは抗菌成分サルファ配合の点眼薬を使用します。薬剤師または登録販売者に相談して、症状に合った薬を選びましょう。

病院で診察を受ける

数日たってもかゆみが治まらないようなときは、重大な疾患が隠れていることがあります。眼科で診察を受けましょう。

プチメモものもらいになりやすい人

ものもらいになりやすい人

かゆみを起こす疾患の一つである麦粒腫(ものもらい)にかかりやすい人は、前髪が目にかかっている、アイメイクが濃い、コンタクトレンズの扱いが不衛生、花粉症でよく目をこする、ストレスが溜まり疲れている人などです。
日頃から気をつけて、目を清潔に保ちましょう。
また、ものもらいは「うつる病気」といわれますが、誤解です。ものもらいの原因は主に黄色ブドウ球菌で人から人へ感染する細菌ではありません。家族など周囲の人がものもらいになっても、ことさら神経質になる必要はないのです。