監修
大島 菊枝 先生 (管理栄養士・フードコーディネーター)
胃に優しい食べ物としては、どのようなものが挙げられるでしょうか。ここでは、胃に優しい食べ物の選び方のポイントを紹介します。
食材はやわらかく調理すると、消化しやすくなります。固い食べ物は胃の負担になりやすいので、煮る・蒸すなど加熱するほか、細かく切り刻んだり、つぶすなど調理方法を工夫すると良いでしょう。
脂質が多い食べ物は、消化にかかる時間が長く、胃に負担をかけやすいため、胃の調子が悪いときは、できるだけ脂質が少ない食べ物を選ぶようにしましょう。
しかし脂質のなかでもバターやマヨネーズなど乳化しているものは、揚げ物やラードに比べると消化が良いため、少量であれば問題ありません。
野菜などに多く含まれる食物繊維は、摂取によって便秘解消などさまざまな効果が期待できますが、消化酵素で消化されないため、胃に負担がかかってしまいます。
香辛料が多く含まれる食べ物は、胃の粘膜を刺激し胃酸の分泌を高めます。胃の調子が悪いときは、できるだけシンプルな味付けの食べ物を選ぶようにしましょう。
コンビニでも選び方を工夫すれば、胃に優しい食べ物を購入することが可能です。ここでは、主食・軽食・副菜・果物・デザートなど、コンビニで手軽に買える、胃に優しいおすすめの食品を紹介します。

炭水化物は消化に良いため、胃の調子が悪いときに適した食べ物です。コンビニの食品の中では、レトルトのおかゆや雑炊がおすすめです。麺類ではうどんが胃に優しく、煮込みうどんのようにやわらかく煮たものだとなお良いでしょう。パンは卵サンドなど具材と脂質の少ないものを選び、油脂が多く含まれている菓子パンなどは避けるようにしましょう。
コンビニで買える胃に優しい副菜としては、温泉卵、だし巻き卵、冷や奴、茶碗蒸し、野菜スープ、味噌汁、おでんの大根などの煮込んだ野菜が挙げられます。野菜は食物繊維が多いですが、茹でる・煮るといった調理を行うことで消化が良くなります。
果物では、バナナやりんごが特に消化に良いとされています。デザートは、ヨーグルト・ゼリー・プリンなどがおすすめです。

チャーハン、ラーメン、菓子パン、フライドチキンなどの揚げ物は脂質が高く消化に悪いため、胃の調子が悪いときは避けましょう。野菜や海藻類は食物繊維を多く含むため、生野菜やわかめ入りの味噌汁・スープには注意が必要です。
また、カレーや香辛料などの刺激物をはじめ、生クリームを使用したケーキやコーヒーゼリーなども胃を刺激しやすいため、控えるようにしましょう。
胃に負担をかけないためには、食事だけでなく飲み物の選び方も重要です。ここでは、コンビニで買えるおすすめの飲み物と、避けたほうが良い飲み物を紹介します。
冷たい飲み物は胃腸を冷やして刺激になることがあります。胃の調子が悪いときは、常温の水や白湯がおすすめです。

牛乳や豆乳は消化が良く、胃への負担も少ない飲み物です。食欲がないときでも、たんぱく質などの栄養を摂取できます。
ただし、冷たい乳製品は人によっては胃腸に刺激となることもあります。また、乳糖不耐症など体質によっては合わない場合もあるため、体調に合わせて取り入れましょう。
カフェインは胃酸の分泌を活発にするため、胃の調子が悪いときには控えたい成分です。お茶を飲みたい場合は、温かい麦茶やルイボスティーなど、カフェインを含まないものを選びましょう。
胃の調子が良くないときは、胃の粘膜を刺激したり胃酸を増やしたりする飲み物は控えることが大切です。カフェインには胃酸分泌を促す働きがあるため、コーヒーや紅茶などカフェインレスではない飲料はできるだけ避けましょう。また、炭酸飲料やアルコールも胃に刺激を与えるため、摂取を控えたいところです。
胃に負担をかけないために、食事を取る際に気をつけたいポイントを紹介します。
一度にたくさん食べると胃腸に負担がかかり、消化不良や胃もたれを招くことがあります。1回の食事量は控えめにし、数回に分けてこまめに取るようにしましょう。腹八分目を意識することが大切です。
よく噛むことで食べ物が細かく砕かれ、消化しやすくなります。また唾液中には炭水化物を分解する酵素が含まれています。しっかり噛むと唾液の分泌も高まり、消化を助けます。また良く噛んで食べると満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。一口30回以上を目安に噛むようにしましょう。
酸味・甘味・塩味が強い食品は胃酸の分泌を促します。胃の調子が悪いときは、味付けが控えめなものを選ぶと安心です。
寝る直前に食事をすると、睡眠中も消化を続けることになり、胃に負担がかかってしまいます。食べ物が長時間胃に残ると胃が荒れたり、翌朝の胃もたれや不快感につながることもあります。
また、食後すぐ横になると胃酸が逆流しやすくなるため注意が必要です。できれば、就寝の2~3時間前までに食事を済ませるようにしましょう。
胃の不調は食事内容だけでなく、ストレスや生活リズムの乱れなども影響します。ここでは、日常生活で意識したい習慣や、医療機関を受診すべきタイミングについて説明します。

消化器官の運動は、自律神経によってコントロールされています。自律神経とは、呼吸や血液の流れ、体温の調節、消化・排泄・生殖・免疫など、生命を維持するための働きを自分の意思とは関係なく自動的に調整する神経のことです。自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は体が緊張したり興奮したりしているときに働き、胃の動きを抑える作用があります。一方副交感神経はリラックスしているときに働き、胃の動きを活発にして消化を助けます。
しかし、ストレスなどで自律神経のバランスが乱れると、胃の働きが低下し、消化がうまくいかなくなり、胃もたれを起こしやすくなります。胃の中に食べ物が長く残ると、胃酸の分泌が長時間続き、長時間胃食道への刺激が続くことから、痛みを感じやすくなります。また胃酸が食道へと逆流することにより、みぞおちの上のあたりに焼けるような感覚を覚えたり、酸っぱい液体が上がってくるような感じがしたりする症状を覚えることもあります。
胃の不調を改善するためには、ストレスを溜めないことが大切です。緊張状態が続いている場合は、リラックスできる時間を意識的に増やしましょう。悩みごとがある場合は、一人で抱え込まずに信頼できる人に相談することも有効です。ストレスを溜めないためには、できるだけポジティブな考え方を心がけることが大切です。
胃の痛みなど症状がつらいときは、胃腸を休めましょう。その後は水分を取り、症状が軽くなったらおかゆなどの消化が良いものを少しずつ食べるようにしてください。必要な栄養素やビタミンに加えてエネルギーを摂取できるゼリー状飲料などを活用するのも一つの方法です。
胃の不調を予防するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
特に食生活においては、腹八分目を心がけましょう。空腹が長時間続くと胃酸が胃の粘膜を刺激して、胸やけや胃もたれ、胃痛などにつながりやすくなります。1日3食、できるだけ決まった時間に食事を取るようにしましょう。
また睡眠を十分にとり、疲労を溜め込まないように気をつけましょう。適切な睡眠時間は年齢や季節、個人差によって異なりますが、6時間以上が推奨されています。また寝る1時間前にはスマホやパソコンの使用をやめるなど、睡眠の質を高める工夫をすることも重要です。
眠りの浅さが気になる人は、睡眠の質を高めることが期待できるビタミン剤やサプリメントなどを活用するのもおすすめです。コンビニで扱っているサプリメントなどもありますので、活用してみるのも良いでしょう。
前述のように、胃腸の働きは自律神経によってコントロールされており、自律神経のバランスが乱れると胃腸の機能が低下してしまいます。自律神経を整えるためには、適度な運動も有効とされています。特にヨガ、ストレッチ、ウォーキングなどといった運動は、副交感神経を刺激して緊張をほぐしてリラックスを促すため、生活にうまく取り入れると良いでしょう。

胃もたれ、胸やけ、胃痛など、胃酸が原因と考えられる不調が続く場合は、食事や生活習慣の見直しだけでは改善しないこともあります。そのような場合には、症状緩和に役立つ市販の胃酸分泌抑制薬を使用するのも選択肢の一つです。特にPPI(プロトンポンプ阻害薬)と呼ばれる成分は、胃酸を分泌する「プロトンポンプ」に作用してその働きを抑制することで、胃酸の分泌をしっかりと抑え、長時間効果を発揮します。

食後にみぞおちの痛みを感じ、胸やけ、げっぷ、吐き気、食欲不振などの症状がある場合は、胃潰瘍の可能性もあります。加えて嘔吐や下痢、タール状になった黒い便が出るなどの症状が出る場合は、胃がんの初期症状の可能性が考えられます。
また器質的な原因(構造的な異常)を特定できない場合、自律神経の乱れなどにより胃の働きが低下し、不調が生じる病気「機能性ディスペプシア(FD)」と診断されることがあります。胃の不調が長引く場合は、医療機関での処置が必要な疾患が隠れている可能性があるため、我慢せずに受診しましょう。
胃の調子が悪いときは、消化が良く、胃への刺激の少ない食べ物を選ぶことが大切です。コンビニでも、おかゆやうどん、豆腐、ヨーグルトなど、胃に優しい食べ物がそろっているため、忙しいときや外出先でも胃に負担をかけない食事が可能です。また少しずつゆっくり食べることで、胃への負担を減らせます。どうしても食欲がないときは、無理をせず、エネルギーや栄養をビタミン剤等で補給するのも一つの方法です。また、食生活だけでなく、生活習慣やストレスも胃腸の不調を引き起こす要因となります。胃の不調を感じる方は、食習慣や生活リズムを整えるとともに、それでも改善しない場合は市販の胃薬(胃酸分泌抑制薬:PPIなど)を利用するのも良いでしょう。長く続く場合や痛みがひどいときは、我慢せずに早めに医療機関を受診してください。
<参考文献>
・公益財団法人宮崎県健康づくり協会「胃に負担の少ない食べ方教えます」
・国立長寿医療研究センター
「高齢者の食欲低下について ~年を取るとどうして食欲がなくなるの?~」
・静岡がんセンター