「もしかして貧血?」症状チェックで分かる原因と生活習慣の見直しのポイント

「もしかして貧血?」症状チェックで分かる原因と生活習慣の見直しのポイント

「最近、なんだか疲れやすい」「頭痛がある」「ちょっとした動作で息切れする」これらの症状は、もしかすると貧血のサインかもしれません。貧血とは、血液中の赤血球や、その中に含まれるヘモグロビンの量が減少している状態のこと。体内に酸素が十分に行き届かなくなり、さまざまな不調を引き起こします。特に女性に多く見られる症状ですが、日々の疲れやストレスと見分けがつきにくく、気づかないまま放置されているケースも少なくありません。この記事では、貧血で起こりやすい代表的な症状、その種類と原因、今日から始められる生活習慣の改善策などを詳しく解説します。まずは自分の体調を見直すところから始めて、貧血予防と改善をはかりましょう。
窪 麻由美 先生

監修

窪 麻由美 先生 (丸の内の森レディースクリニック 副院長)

貧血のよくある症状をチェック

貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンの濃度が減少し、体内の酸素が足りない状態のことを指します。ヘモグロビンには酸素を全身に運ぶ働きがあるため、ヘモグロビンの濃度が減少すると、体が酸欠状態になってしまい、さまざまな不調が出現するのです。ここでは、貧血の主な症状について解説します。

貧血セルフチェック

以下の項目に当てはまるか確認してみましょう。これらの症状が見られる場合は、貧血の可能性があります。

▼貧血のセルフチェックリスト

□ 軽い運動時の息切れ・動悸
□ 疲れやすい(倦怠感)
□ 顔色が悪い
□ 立ちくらみ
□ 朝すっきり目覚めることができない
□ 頭痛
□ 爪が割れやすい
□ 氷が食べたい

※ヘモグロビン:酸素を全身に運ぶ役割をもつ、赤血球中にある鉄を含むたんぱく質

軽い運動時の息切れ・動悸

安静にしているときには症状が現れないことが多いですが、やや長い距離の歩行や階段を上るときなど体を動かすと体内で必要とされる酸素の量が増え、血液による酸素の供給が追いつかなくなります。その結果、血液中の酸素量を増やそうとして、反射的に呼吸が速く深くなります。このとき、息切れや動悸などの症状が現れることがあります。

疲れやすい(倦怠感)

貧血になると、血液中のヘモグロビンが不足し、全身の組織に酸素が十分に届けられなくなってしまいます。これにより酸素が不足すると、筋肉や脳などの細胞がうまく働かず、少しの動作でもすぐに疲れを感じたり、イライラしたり、集中力が続かなくなったりといった症状が現れます。

顔色が悪い

貧血は、血液量が正常でも赤血球やヘモグロビンが減少し、酸素運搬能力が低下します。ヘモグロビンは酸素と結合すると赤色を呈するため、その量が減ると血液の赤みが薄くなり、皮膚の下の血管が青白く見えるようになります。

立ちくらみ

フワフワと浮遊するようなめまいや目の前がクラクラするようなめまいは、立ちくらみにつながることがあります。なお、貧血で立ちくらみが単独で見られることは少なく、立ちくらみの症状だけがある場合は、起立性低血圧など他の原因を考えましょう。

その他の症状

その他、朝なかなか起きられない、頭痛、爪が割れやすいといった症状が見られたり、氷が食べたくなることもあります。また、貧血が冷え症の原因となり、体に冷えを感じるケースもあります。これは、貧血によって血液中の酸素供給が低下し、栄養を摂ってもエネルギー不足の状態になるため、体の働きが低下し、血流が悪くなることで冷えを感じることがあるからです。特に女性は鉄不足やホルモンの変化により、冷えを感じやすい傾向があります。
冷え症への対処の1つとして、漢方薬があります。自分の体質にあった漢方薬を選択することが大切です。また、食事のバランスが偏りがちな場合は、鉄やビタミンB群を含む食事を意識しましょう。日々の食事だけでは補えないときは、ビタミン剤を服用するのもおすすめです。

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貧血の種類と原因

貧血は主に5つの種類に分類されます。ここではそれぞれの特徴と原因を解説します。
※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することで、ヘモグロビンが正常につくられなくなる貧血です。貧血の中では最も多く、特に月経のある女性や成長期の子ども、妊婦や授乳中の人に多く見られます。鉄分が不足する原因としては、食事からの摂取不足(ダイエットや菜食主義など)、出血、吸収不良などがあります。

【コラム】月経や妊娠、消化器症状との関係

鉄欠乏性貧血は、月経や妊娠、消化器症状とも関連があります。月経がある女性の場合、体内から鉄分が失われます。経血量が多い人は注意しましょう。

妊娠中の女性は、胎児の成長に必要な血液を子宮へ送るため、体内の血液量が増加し、必要な鉄分量も増加します。さらに、体内の鉄分が胎児の発育のために優先的に使われるため、鉄不足になりやすくなります。また出産時に出血をともなうことや、母乳が血液からつくられることから、出産直後や母乳育児中も鉄分が不足しやすいです。

また、胃潰瘍や大腸ポリープ、大腸がんなどの消化管の病気によって、長期間にわたり少しずつ出血が続くこともあります。たとえ少量の出血でも、それが長く続くと結果的に多くの血液を失うことになり、貧血につながる可能性があります。もしこれらの症状に心当たりがある場合は、早めに受診するようにしましょう。

巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)

巨赤芽球性貧血とは、赤血球の成熟が阻まれることで起こる貧血です。赤血球が正常に成長・成熟するためには、ビタミンB12や葉酸といった栄養素が欠かせません。これらが不足すると、赤血球が異常に大きく未熟な形(巨赤芽球)のままで骨髄にとどまり、うまく血液中に出ていけなくなります。原因としては、偏った食生活の他、胃の手術や萎縮性胃炎などの胃の病気、腸の病気による栄養吸収の不良などが挙げられます。

溶血性貧血

溶血性貧血は、赤血球が通常よりも早く壊されてしまう(溶血)ことで起こる貧血です。赤血球が壊されるスピードに骨髄の造血が追いつかず、結果として血液中の赤血球が不足してしまいます。その原因はさまざまで、自己免疫疾患、遺伝、薬剤、感染症などが挙げられます。
その他、激しいスポーツなどでも起こりますので、部活などでスポーツをしている成長期のお子様たちにも起こることがあります。

腎性貧血

腎臓の機能が低下すると、本来腎臓でつくられる「エリスロポエチン」という造血ホルモンが不足してしまいます。このホルモンは赤血球をつくるために重要で、不足すると貧血になります。さらに、尿毒症性物質により赤血球の寿命が短くなったりすることも、貧血を引き起こす原因となります。この貧血は、慢性腎臓病にともなって起きることが多いです。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、赤血球だけでなく、白血球や血小板など、全ての血液細胞をつくる「骨髄」の働きが低下することで起こる貧血です。血液が十分につくられなくなるため、貧血症状の他、感染症にかかりやすくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。日本では国が指定する「難病」に含まれており、専門的な医療機関での診断と治療が必要です。原因が特定できない場合もありますが、薬剤の影響やウイルス感染が関係していることもあります。

隠れ貧血とは

隠れ貧血とは、ヘモグロビン値は正常であるものの、体の中に貯蔵されている鉄が不足している状態のことです。

体内の鉄分は、大きく分けて「機能鉄」と「貯蔵鉄」の2種類があります。機能鉄は体内の鉄分の約70%を占め、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンとなって酸素を全身に運ぶ他、筋肉中のミオグロビンとして酸素を蓄える役割を果たしています。つまり、体内の鉄の大部分は赤血球の中に存在しています。

一方の貯蔵鉄は残りの約30%を占め、肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられています。赤血球中の鉄が不足すると、この貯蔵鉄を使って補います。体内で鉄を貯蔵するたんぱく質は、「フェリチン」と呼ばれています。フェリチンの値は貯蔵鉄の量をみる指標とされており、基準値は25~250ng/mLとされています。25ng/mL未満から貧血の症状が出ることがあり、その場合治療が必要となります。

ヘモグロビン濃度が正常範囲内であっても、フェリチン値が低い場合は貯蔵鉄が不足している「隠れ貧血」といえます。隠れ貧血は女性に多く、鉄不足に由来するさまざまな体調不良の原因となります。動悸や息切れ、疲れやすいなどの症状が続く場合は、専門医に相談し、適切な検査を受けることが重要です。

貧血につながる生活習慣

普段の生活習慣が、貧血のリスクを高めることもあります。特に以下のような生活習慣には注意するようにしましょう。

朝食を抜くなどの偏った食生活

朝食を抜いたり無理なダイエットで食事量を減らしたりすると、正常な血液をつくるために必要な栄養素が不足しやすくなります。

特に鉄分は、貧血予防に欠かせない重要なミネラルの一種です。
また、ビタミンB12や葉酸は骨髄で正常な赤血球をつくるために不可欠な大切な栄養素で、これらが不足すると造血作用がうまく働かず、巨赤芽球性貧血を引き起こすことがあります。さらに、ビタミンCには鉄分の吸収を高める働きがあり、これらの栄養素を意識してバランスのよい食事をとることが大切です。

日々の食事でこれらの栄養素を補うことが理想ですが、難しい場合はビタミン剤を活用するのも良いでしょう。

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カフェインやアルコールの過剰摂取

コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるカフェインは、鉄分の吸収を妨げる働きがあるため、これらの飲み物をたくさん飲む習慣がある方は注意が必要です。また、アルコールの過剰摂取は肝臓に負担をかけ、ビタミンB12や葉酸など造血作用のある栄養素の吸収を悪化させる可能性があるので注意しましょう。鉄分の補給を意識する場合、食事中のカフェイン飲料は控えたり、アルコールは適量に控えるなど心がけましょう。

激しい運動

激しい運動や強度の高いトレーニングを長期間続けると、筋肉での鉄の消費量が増える他、汗によって鉄分が体外に排出されたり、ランニングなどで足の裏に強い衝撃が繰り返しかかって赤血球が壊れやすくなったりします。これによって貧血になりやすくなる場合があります。持久力系スポーツの選手や、長距離ランナーなどに見られることがあります。

今日からできる貧血対策

ここでは、貧血を予防するために日頃から気をつけたいポイントを紹介します。

貧血予防に関わる栄養素の摂取

ここでは、貧血予防のために意識して摂取したい栄養素と、それらを多く含む食べ物を紹介します。

鉄分

鉄分には肉や魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀物、海藻などに含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて体に吸収されやすいのが特徴です。

ヘム鉄を多く含む食べ物:赤身の肉、カツオなど
非ヘム鉄を多く含む食べ物:小松菜、大豆製品など

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たんぱく質

たんぱく質は、ヘモグロビンや赤血球の材料になります。ヘモグロビンはたんぱく質と鉄で構成されています。また、赤血球をつくる過程で働く酵素やホルモンはアミノ酸からつくられるため、たんぱく質不足は造血全体に影響します。
たんぱく質を多く含む食べ物:鶏胸肉、鮭など

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ビタミンC

ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収率を高める働きがあります。
ビタミンCを多く含む食べ物:じゃがいも、柑橘類など

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ビタミンB12

ビタミンB12は、赤血球を正常につくるために必要なビタミンです。
ビタミンB12を多く含む食べ物:豚レバー、アサリなど

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葉酸

葉酸は、ビタミンB12とともに、赤血球を正常につくるために必要なビタミンです。
葉酸を多く含む食べ物:牛レバー、ほうれん草 など

これらのビタミンは普段の食事から摂取することが理想ですが、栄養バランスが乱れがちな場合は、ビタミンB12や葉酸、ビタミンCを含むビタミン剤を活用するのもおすすめです。

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軽い運動の習慣化

適度な運動には、内臓の働きを活性化し、鉄分の吸収を助ける効果があります。また、赤血球の生成を促進する作用もあるため、貧血予防にも役立ちます。ジョギングやウォーキングなど、軽い運動を習慣化するようにしましょう。

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ストレスケア

ストレスを軽減することで、鉄分の吸収や代謝に悪影響を与える要因を減らせるため、間接的に貧血予防につながると考えられています。
ストレスへの対処法として、何にストレスを感じているのかを紙に書き出し、原因を把握するのもおすすめです。しかし、ストレスによる症状が心身に出ているような場合は、我慢せず医療機関を受診するようにしましょう。

ストレスを和らげるためには、忙しい日常のなかでも、趣味を楽しんだり、リラックスしたりする時間を持つことが大切です。仕事や家事・育児の合間に、意識して休憩を挟むように心がけましょう。

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貧血症状をチェックして、体が発するサインを見逃さないようにしよう

貧血の背景には、さまざまな原因が潜んでいます。疲労感や息切れ、冷えといった症状があっても、実は貧血が原因だと気づかないことがあります。まずは日頃の生活習慣を振り返り、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけることから始めてみましょう。特に、鉄分やたんぱく質、ビタミンC、ビタミンB12、葉酸などを意識しましょう。食生活が乱れがちな人は、市販のビタミン剤などを活用するのも良いでしょう。貧血の効能がある漢方薬の服用を検討するのも一つの手。ただし、症状が長引く場合や、セルフケアで改善しない場合は、別の疾患が原因となっている場合もあるので、医療機関を受診してください。貧血のサインを見逃さず、早めに対策をすることが大切です。

<参考文献>
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「貧血」