胃もたれで薬を服用しようとしている女性の画像

胃もたれに効く市販薬|シーン別のおすすめの選び方も解説

食後に胃の調子が悪くてもたれる感じがする―というとき、時間に余裕があればクリニックを受診することもできますが、忙しさのため市販薬で様子をみるという人も少なくないようです。ある調査では、「軽い胃の症状、胸やけ」で医療機関を受診するとの回答は8.9%であるのに対して、64.2%の人は市販薬で対処すると回答したという結果1)が示されています。薬局へ行くと、どれを選べば良いのか迷うほど、たくさんの胃薬が販売されています。それだけ多くの人が胃の症状を抱えているということかもしれません。実際、日本人の約4分の1が、1ヵ月に何らかの消化器症状(胃腸の症状)を経験しているという報告2)もあります。そこで、ここでは胃もたれをはじめ、胃の不調に対する市販薬の選び方を解説します。

1)日本一般用医薬品連合会・日本OTC医薬品協会「セルフメディケーション税制に関する生活者16万人調査」(2020年7月2日発表) 調査実施機関:株式会社インテージヘルスケア
2)Yasuharu Tokuda et al. Gastrointestinal symptoms in a Japanese population: A health diary study(World Journal of Gastroenterology, 2007.
この記事を監修いただいた関 洋介 先生(四谷メディカルキューブ 消化器外科 減量・糖尿病外科センター 副センター長 腹部ヘルニア総合センター 副センター長 臨床研究管理部 部長 一般社団法人GERD・LPRD診療ネットワーク(Japan Foregut Society)理事長)のプロフィール画像

監修

関 洋介 先生 (四谷メディカルキューブ 消化器外科 減量・糖尿病外科センター 副センター長 腹部ヘルニア総合センター 副センター長 臨床研究管理部 部長 一般社団法人GERD・LPRD診療ネットワーク(Japan Foregut Society)理事長)

この記事からわかること

  • 胃もたれの主な原因は、食べ過ぎやストレス、加齢による胃の機能低下など。一時的な胃の不調は、セルフケアで対処できることが多い。
  • 急な激しい痛みがある場合や、不調が長引く(繰り返す)場合は、セルフケアで済ませず医療機関を受診することが大切。
  • 胃もたれの市販薬は「胃酸を抑える薬」と「胃の運動を良くする薬」に大別される。胸やけや膨満感など、自分の症状に合わせて選ぶのがポイント。
  • 2025年にスイッチOTC化された「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」は、胃酸の分泌を抑える、医療用と同じ成分を初めて配合した市販薬。購入時には薬剤師による説明が必要。
  • 市販薬は用法・用量を守って正しく使い、長期の連用は避ける。症状が改善しない場合は、速やかに医師や薬剤師に相談しよう。

胃もたれの主な原因

胃もたれで食欲不振になっている女性のイラスト

胃もたれは、胃の働きが低下し、食べたものが胃の中に長時間とどまることで起こりがちな症状です。そのような状態になる主な原因として、以下の3つを挙げることができます。

・食べ過ぎ・飲み過ぎ・脂っこい食事:胃の消化能力を超えてしまい、負担がかかる。
・ストレスや自律神経の乱れ:緊張や不安により胃の働き(ぜん動運動)が鈍くなる。
・加齢による胃の機能低下:年齢とともに消化酵素の分泌量や胃の運動機能が落ちる。

ただし、胃の不調が起こる原因はこれらのうちの一つとは限らず、さまざまな要因が絡んでいることが少なくありません。

胃もたれなどの一時的な胃の不調はセルフケアで対処できることがほとんど

日本人の約4分の11ヵ月の間に何らかの消化器症状(胃腸の症状)を経験しているという報告があります。その一方で、胃の症状のために医療機関を受診した結果、胃や食道に器質的な病気(臓器などの構造的な異常による病気)が見つかるのは、1割程度ではないか3)といわれることも。

このような統計から、胃もたれや胃痛・胸やけなどの多くは一時的な胃の不調であって、その多くはセルフメディケーション、つまりセルフケアで対処できると考えられます。しかし、そうであっても見逃してはいけない病気が起きている可能性も、もちろん否定することはできません。
そこで、まずは医療機関を受診すべき胃の不調の状態と目安について解説します。

※セルフメディケーション:自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること
3)日本臨床83(12):2025.12「上腹部症状の原因 : 胃酸過多,消化管運動,消化管知覚,炎症,中枢機能について」

受診すべき胃の不調

◆急な発症

程度として「なんとなく胃の具合が悪いな」といった漠然とした症状ではなく、特に思い当たることもなく突然の痛みや激しい痛みなど、今まで経験したことがない、または明らかに普段と異なる異常を感じた場合には、早急に受診して原因を特定してもらい治療を受けるべきです。

◆不調が長引いていたり、繰り返し現れたりする

がまんできないほどではないものの、不快な胃の症状が長引いていて、生活上で不便さを感じるという場合も、原因の特定と治療が必要です。また、一時的に治まっても、しばらくすると同じような症状が繰り返し現れるという場合も同様です。

◆胃の不調以外の症状をともなっている

胃の不調だけでなく、息切れ胸痛食欲不振体重減少便秘下痢、気分の落ち込みなど、他の症状もある場合、原因は胃ではない、または胃以外の病気も同時に起きている可能性が考えられます。このような場合も、必ず受診のうえ、専門医に相談してください。何科を受診すべきか?という点については、持病などがあり、かかりつけ医がある場合はまずかかりつけ医に相談し、そうでない場合は症状の強いほうの専門の科を受診するのが望ましいでしょう。

胃もたれに効く市販薬の種類

市販薬の瓶、カプセル、PTP包装シートのイラスト

胃もたれなどの胃の症状に有効とされる主な市販薬のタイプを一覧表にまとめてみました。市販薬を選択する際に参考にしてみてください。

胃薬の分類表

【プチメモ】2025年にスイッチOTC化されたPPI(プロトンポンプ阻害薬)

現在、日本では国民の健康増進や医療費の適正化が政策として進められていて、その一環としてセルフメディケーションが推進されています。そして、セルフメディケーションとしてはOTC医薬品(Over The Counter:カウンター越しに処方箋なしで購入できる市販薬)が、中心的な役割を果たしています。

このような流れを背景として、さまざまな病気の処方薬が徐々にスイッチOTCされてきています。例えば胃薬では、1997年にH2ブロッカー、2022年に消化管運動改善薬、そして2025年にプロトンポンプ阻害薬(PPI)がスイッチOTC化されました。

※スイッチOTC化:病院で処方される医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性の高いものを市販薬(OTC医薬品)に転用(スイッチ)すること

PPIは2025年にスイッチOTC化された医薬品であるため、市販薬として薬局で購入できることを知らない人もまだ少なくないようです。PPIの胃酸分泌抑制作用は概してH2ブロッカーよりも強く、適切に使用すればご自身でしっかりと症状を管理しやすいと考えられます。

ただし、漫然と服用し続けると器質的疾患を発見する機会を逃してしまう懸念もあるため、OTC医薬品を使用の際には使用期間を守る、症状と効能が合っているかを確認するなどの適正使用がいっそう重要といえるでしょう。

※器質的疾患:感染や炎症、血管障害、変性疾患などで、細胞や組織が破壊される、もしくは変化した結果、症状として現れる疾患のこと

なお、OTC医薬品のPPIは医療用から一般用へ転用されて期間が浅く、購入時の対面ないしオンライン指導と情報提供が義務であるため、要指導医薬品に該当し、販売時に薬剤師による説明を受ける必要があります。

その代わり、要指導医薬品のうち、PPIのように「特定要指導医薬品」に該当しないものは、薬剤師の判断で、オンライン服薬指導による必要な情報提供などを行ったうえで、インターネット販売も可能(2026年5月より)となり、アクセスしやすくなりました。

※特定要指導医薬品:2025年の薬機法改正で新設された、市販薬の販売に際し指定の研修を修了した薬剤師による指導や薬剤師の面前での服用などが必要とされる薬の区分。インターネット等での通信販売は禁止されており、現在緊急避妊薬のみが該当。

H2ブロッカーとPPIの主な違いは以下の通り。

胃酸分泌抑制OTC医薬品H2ブロッカーとPPIの比較

※同じ成分でも、剤形(錠剤・口腔内崩壊錠<OD錠>・細粒など)によって、服用しやすさや使用感などの特徴に違いがある場合があります。

胃もたれ、胸やけ、胃痛に効くアリナミン製薬のOTCプロトンポンプ阻害薬(PPI)

【シーン別】胃もたれなどの胃の不調に効く市販薬の選び方

胃もたれをはじめ、胃の不調には、「胃もたれに効く市販薬の種類」の項でまとめたように、さまざまな市販薬が発売されています。それらの中から自分にあったものを選ぶことが、症状改善の近道といって良いでしょう。

多くの胃薬がありますが、これらは
① 胃酸の分泌や胃酸の刺激を抑える薬
② 胃のぜん動運動を良くする薬
の二つに大別できます。

理論的には、胃酸の分泌過多が症状に関係している場合は①の胃酸に対処する薬、胃の働きが低下している場合は②の薬を選択するという使い分けが考えられます。

ただし、胃の不快な症状は複数の原因が重なり合って現れていることが少なくないことや、作用の強さの違い、効果の現れる速さの違いなどもあって、どれが良いとは一概にはいえず、どちらの薬もきちんと症状に合っていれば、それなりに効く傾向があります。

また、市販薬で対処する場合、自分の症状の原因が胃酸過多によるものか、胃の運動の低下によるものかの区別を付けることは難しいため、ここではあくまで一つの目安として、生活者の視点での市販薬の選び方を示します。

少しでも早く症状を軽くしたい

一般的に、胃酸の分泌を抑制または中和したり(胃酸分泌抑制薬、制酸薬)、胃の粘膜を保護したりする薬(胃粘膜保護薬)は効果が速く現れる傾向があります。

胃の運動を活発にする薬(消化管運動改善薬、健胃薬)は、しばらく連用(一定期間続けて服用)することによって、効果を実感できることが多い傾向があります。

胸やけがともなう胃もたれを改善したい

胸やけという症状は胃酸が関係していることが多いため、胃もたれに胸やけをともなう場合には、胃酸分泌抑制薬が合っている可能性が高いといえます。

胸やけよりも膨満感が強い胃もたれを改善したい

胸やけはあまりなく、膨満感食欲不振などをともなう胃もたれには、胃の運動を助けるタイプの薬(消化管運動改善薬など)が、作用メカニズム上は適している可能性があります。

服用回数が気になる

胃の粘膜を保護する薬(胃粘膜保護薬)や、胃の運動を助ける薬(消化管運動改善薬、健胃薬)などは、比較的服用回数が多く、毎食前または毎食後など、13回服用するものが多くあります。

一方、胃酸の分泌を抑える薬(胃酸分泌抑制薬、制酸薬)は服用回数が少なく、H2ブロッカーは1日最大2回まで、PPI11回です。

胃もたれを市販薬で対処する場合の注意点

チェックリストのイラスト

胃もたれを市販薬で対処する場合、以下の点に気を付けるようにしましょう。

① 服用してはいけない条件に該当しないか確認する

薬によって、使用してはいけない条件や、専門家に相談の上使用の可否を決めるものがあります。

例えば、
・妊娠中や授乳中の女性
・その薬でアレルギーを起こしたことがある人
・透析を受けている人
・何らかの病気の治療中の人
・何らかの薬を使用している人
などです。必ず製品の箱などの注意書きを確認し、不明点があれば薬剤師や登録販売者などに確認したうえで購入しましょう。

② 定められている通りに服用する

服用する量(錠剤やカプセルなどの数)、服用する回数とタイミングなどをきちんと守りましょう。

③ 副作用を疑ったら服用を中止し相談

服用を始めた後に何らかの不調が起きたら、副作用の可能性も考えられます。そのような場合には服用を中止し、医師、薬剤師、登録販売者に相談しましょう。相談の際には、薬の箱や添付文書を持参すると良いでしょう。

④ 長期にわたって連用しない

しばらく使っても症状が改善しない、または薬の使用を中止するとすぐに再発してしまうという場合は、市販薬では対処できない原因の可能性があります。決められた服用期間以上の連用は避け、医療機関を受診してください。

【プチメモ】胃もたれに効く薬の剤形

胃薬にはさまざまなタイプがあります。それは、成分がいろいろあるというだけではありません。剤形(薬の形状)もさまざまです。例えば、錠剤、カプセル、細粒、顆粒、散剤、液体など。また、同じ錠剤でも、水とともに服用する一般的な錠剤と、口腔内崩壊錠(OD錠)がある医薬品もあります。

OD錠(Orally Dispersing Tablets)とは、口の中で速やかに溶ける錠剤のことで、手元に水がない状況でも服用できるというメリットがあります。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の一部にもOD錠とそうでないタイプがあります。

なお、PPIの成分は主に腸で吸収されるのですが、腸に到達する前に、強酸性の胃を通過しなければなりません。実は、PPIの成分は酸に弱い性質があり、できるだけ短時間で胃を通り抜ける必要があります。また、胃の幽門部分(胃の出口)は、閉じられた状態だと直径2㎜ほどしかなく、何らかの理由で胃の運動機能が低下しているような場合、2㎜以上の固形物はすぐさま通り過ぎることができません。この点は、胃薬が必要になるような状態(活動が低下している可能性のある胃)では、解決すべきとくに重要な課題といえます。そのためPPIOD錠の中には、口の中で溶け細粒の状態に速やかに変わり、より迅速に腸へ届くように工夫されている製品もあります。

胃もたれ、胸やけ、胃痛に効く、口腔内崩壊錠(OD錠)のアリナミン製薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)

胃もたれ・薬に関するQ&A

虫眼鏡を持ち何かを発見している男性のイラスト

結局、胃もたれには、どんなタイプの薬が向いていますか?

胃もたれとともに吐き気や膨満感が強く感じるのであれば、胃の運動を刺激する薬(消化管運動改善薬、健胃薬)などが向いているといえます。
一方、胃もたれとともに胸やけや胃痛がある場合は、胃酸の分泌を抑制する薬(胃酸分泌抑制薬、制酸薬など)が向いているといえます。

胃酸が関係する胃もたれは、どんな特徴がありますか?

胸やけ、呑酸(酸っぱいものが、のどに逆流してくる感じ)、げっぷなどは、胃酸が関係している症状です。胃もたれとともにこれらがある場合は、胃酸の分泌を抑える薬が適していると考えられます。

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げっぷがよく出るのはなぜ?病気が原因?げっぷと健康上の関係を解説

胃酸を抑えるタイプの薬は、市販でも使われることがありますか?

胃酸の分泌を抑える薬にはいくつかのタイプがあり、そのうちH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(PPI)といったタイプの薬は、市販薬としても流通しています。

胃もたれの薬を使う際、生活習慣で気を付けることはありますか?

胃もたれなどの症状は、一般的には胃薬を使うことで改善することが多いといえるでしょう。ただし、胃の症状が現れている背後には、偏食や過食、寝る間際の食事、喫煙、飲酒、運動不足、睡眠不足などが関係していることが少なくありません。薬に頼るばかりでなく、それら生活習慣の見直しも大切です。

薬局の薬剤師や登録販売者に相談して最適な薬を選ぼう

薬局で薬を準備している薬剤師の女性のイラスト

胃もたれの市販薬による治療について解説してきました。さまざまなタイプの薬から、自分にあった薬を選ぶには、まず、自分の胃の症状をきちんと把握すること、そしてその症状が「効能・効果」に含まれている薬を探して、その中からより適したもの、飲みやすいものを見つけ出す必要があります。わからないことは薬剤師や登録販売者に質問して、納得したうえで購入しましょう。

監修の先生(関洋介先生)からのアドバイス

「胃が痛い」「胃がもたれる」といって受診される患者さんはたくさんいらっしゃいます。実は、それらの患者さんの中から、すぐに入院や手術が必要となるような、明らかな異常が見つかる確率はそれほど高くありません。多くの患者さんは、胃酸の分泌を抑える薬や消化管の運動を高める薬で症状をコントロールしながら、生活習慣の見直しなどを行うことになります。そのため、プロトンポンプ阻害薬(PPI)など、かつては医師の処方薬であった有効性の高い薬を、近年ご自身の判断で購入できるようになってきたことは、より便利な社会に変化してきたと捉えることも可能です。

しかし、胃の軽い不調の背後に、セルフメディケーションでは対処しきれない、または医師による診断・治療が必要な病気が潜んでいることもあります。例えばピロリ菌の感染や胃潰瘍、さらには胃がんなど。時には胃ではなく、狭心症や心筋梗塞など、心臓の病気が見つかることさえあります。
市販薬を正しく使うのは当然ながら、効果が十分でないときや使用をやめると症状がぶり返すようなときは、医師に相談すべきタイミングともいえます。そんな場合には、必ず医療機関を受診するようにしてください。

参考文献
日本OTC医薬品情報研究会編集、じほう2024OTC医薬品事典 2024-25
日本臨床83(12):2025.12「上部機能性消化管疾患の診療にあたって」
日本臨床83(12):2025.12「胃食道逆流症の生活・食事指導の意義と内容」