監修
宇井 千穂 先生 (やさしい美容皮膚科・皮フ科 秋葉原院/東京浅草院 総院長)
シワは、主に以下の種類に分類されます。
1.表皮ジワ
2.真皮ジワ
3.表情ジワ
それぞれの種類や特徴について、以下で詳しく解説します。

皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層の構造になっています。そのうち表皮ジワは最も外側にある表皮で起こる浅いシワで、いわゆる小ジワやちりめんジワ、乾燥ジワとも呼ばれます。
特に皮膚が薄い目元や口元に現れやすく、表情を動かした際に目立ちやすい点が特徴です。
表皮ジワは、空気の乾燥や誤ったスキンケアなどによって表皮の水分量が失われることが原因で起こると考えられています。
比較的初期段階のシワであるため、早い段階からの保湿ケアによって進行を抑えたり、目立ちにくくしたりすることが期待できます。一方で、乾燥や紫外線などの影響が重なると、真皮にまでダメージが及ぶ可能性があるため、日ごろからのケアが重要です。

真皮ジワは、表皮の下にある真皮層の変化によって生じる、比較的深いシワで、大ジワとも呼ばれます。
真皮はコラーゲンやエラスチンで構成され、肌のハリや弾力を支えています。しかし加齢や紫外線の影響によりコラーゲンやエラスチンが減少すると、真皮の構造が弱まり、皮膚を支える力が低下します。
その結果、皮膚が弾力性を失い、ほうれい線やまぶたなどに見られるような深いシワとして現れやすくなります。
真皮ジワは一度目立つようになると、日常のスキンケアだけでは十分な変化を感じにくいことがあります。そのため、紫外線対策や保湿などの日々のケアを継続することが大切です。

表情ジワは、その名の通り表情のクセによって生じるシワです。おでこや眉間、目尻、口元など表情筋がよく動く部位に現れやすい傾向があります。
繰り返される表情の動きに加え、加齢や乾燥によるハリ低下が重なることで、表情の跡が戻りにくくなり、シワとして定着しやすくなります。
シワは、乾燥や摩擦、紫外線、加齢などによる肌構造の変化、表情といった複数の要因が重なって生じます。ここでは、代表的な原因について解説します。
空気の乾燥やエアコンの使用などによって角質層の水分量が低下すると、バリア機能が弱まり肌のキメが乱れやすくなります。その結果、目元や口元などに細かなシワが現れやすくなります。
また、保湿不足や誤ったスキンケアも乾燥によるシワを悪化させる要因の一つです。肌の乾燥は、シワのなかでも特に表皮ジワの原因となりやすいため、日頃から保湿ケアを継続し、肌のうるおいを保つことが大切です。
さらに、洗顔やクレンジング時の強いこすり洗いなどの摩擦もバリア機能の低下を招き、シワの一因となるため注意が必要です。

紫外線は肌の奥にある真皮に影響を与え、コラーゲンやエラスチンにダメージを与えます。紫外線ダメージが長年蓄積すると、肌のハリや弾力が低下し、深いシワの原因となります。こうした紫外線による肌の変化は「光老化」とも呼ばれています。
日焼け止めをこまめに塗る、帽子や日傘を使用するなど、日常的な紫外線対策を継続することが重要です。
年齢を重ねると、コラーゲンやエラスチンの生成量が徐々に低下していきます。
その結果、表皮や真皮の構造が弱まり、皮膚を支える力が低下することで真皮ジワのような深いシワが形成されやすくなってしまうのです。
また、加齢に伴いターンオーバーが乱れると、肌の乾燥やハリ低下にもつながり、シワが定着しやすくなります。さらに、こうした変化に加えて、紫外線ダメージの蓄積などもシワに影響すると考えられています。
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笑う、しかめる、無意識の表情の繰り返しなどもシワの原因の一つです。若いうちは肌に十分なハリがあるため、表情の跡も自然と元に戻りやすい状態です。しかし、加齢に伴い真皮のコラーゲンやエラスチンが減少し、肌の弾力が低下すると、表情の跡が元に戻りにくくなり、表情ジワとして定着しやすくなることがあります。
シワのケアには、成分に着目したスキンケアを取り入れることも一つの方法です。
1.ナイアシンアミド
2.トラネキサム酸
3.ビタミンC誘導体
主な成分について、以下で詳しく解説します。
ナイアシンアミドは、シワ改善の有効成分として厚生労働省に承認されている成分です。
肌のハリや弾力に関わる成分の働きをサポートすることなどを目的に、薬用化粧品に配合されています。
ナイアシンアミドによる作用のメカニズムは現在も研究段階ですが、線維芽細胞に働きかけることでコラーゲンの産生に関与する可能性が示唆されています。そのため、シワの改善をサポートする成分として薬用化粧品などに広く用いられています。
トラネキサム酸は、炎症を抑えることで肌環境を整え、結果的に肌の状態をすこやかに保つことに関与すると考えられている成分です。
シワの形成には、紫外線によるコラーゲンの分解や真皮へのダメージ(光老化)が関与しています。トラネキサム酸は炎症を抑えることで、こうしたダメージの進行を間接的に防ぐと考えられています。
なお、トラネキサム酸は医薬部外品においてシワ改善の有効成分として承認されているものではありません。現在も関連性を検討するなど研究も進められており、今後の知見が期待される成分です。
ビタミンC誘導体は、抗酸化作用に着目して化粧品に配合されることがある成分で、肌のコンディションを整え、ハリや弾力の維持をサポートすると考えられています。
紫外線などによって発生する活性酸素は、肌にさまざまな影響を与えることが知られており、ビタミンC誘導体はこうした影響に着目した成分の一つです。
日々のスキンケアに取り入れることで、肌をすこやかな状態に保つためのケアとして活用されることがあります。
この項目では、シワをケアするためのセルフケアのポイントについて、外側からのスキンケアと内側からのケアに分けて解説していきます。

一般的な化粧品による保湿ケアで肌の乾燥を防ぎ、うるおいを保つことがシワケアの基本です。さらにナイアシンアミドなどの成分が配合された薬用化粧品を取り入れるのも、シワのケアにおすすめです。
また、トラネキサム酸やビタミンC誘導体などは、肌環境を整えることで、日々のスキンケアのサポートとして取り入れられる成分です。化粧品を選ぶ際は、目的(保湿・ハリケア・美白など)に応じて選ぶことが重要です。
紫外線は、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンに影響を与えることが知られています。ダメージの蓄積を防ぐために、日焼け止めをこまめに塗ることに加え、帽子や日傘なども活用しながら、日常的なUV対策を心がけましょう。
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強いこすり洗いや過度なマッサージは肌への負担につながるため、やさしくケアすることが重要です。
また、エタノールやAHA(フルーツ酸)、BHA(サリチル酸)など、刺激が強い成分を含むスキンケア製品の過度な使用は避けることもポイントです。肌状態に合わせて適切に使用し、刺激を感じた場合などは頻度や使用する製品を見直すことも大切です。
内側からのケアは、シワそのものを直接改善するものではありませんが、肌のコンディションを整え、外側からのケアを支える土台となります。バランスの良い食事や質の高い睡眠など、日々の生活習慣を整えることが重要です。

内側からのケアとしては、コラーゲンの材料や生成をサポートする栄養素を意識的に取り入れることがポイントです。
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栄養素 |
食品の例 |
主な働き |
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ビタミンC |
赤ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツなど |
コラーゲンの生成 |
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タンパク質 |
豚肉、鶏卵、豆腐など |
筋肉や皮膚、毛髪などの体を構成する |
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ビタミンB2 |
さけ、豚肉、牛肉など |
皮膚や粘膜の健康維持をサポートする |
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ビタミンB6 |
ぬか漬け、にんにく、さんまなど |
タンパク質代謝を助け、皮膚の健康維持に関与する |
〔出典:文部科学省「食品成分データベース」〕
これらの栄養素を意識しつつ、主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を心がけましょう。
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体内の水分が不足すると、肌の乾燥を招き、小ジワが目立ちやすくなる可能性があります。
特に汗をかきやすい季節や、空気が乾燥しやすい時期は注意が必要です。のどの渇きを感じる前に少量ずつこまめな水分補給を行い、内側からも肌のうるおいを保つことを意識しましょう。
質の高い睡眠を取ることも、肌のコンディションを整えるうえで重要です。
睡眠中は肌のターンオーバーや修復に関わる成長ホルモンが分泌されるため、睡眠不足が続くとバリア機能の低下やハリの低下につながる可能性があります。
お風呂などでリラックスできる時間を作る、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を見直す、生活リズムを整えるといった意識が大切です。
届出表示:本品にはユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)を含みます。ユーグレナグラシリス由来パラミロン(β-1, 3-グルカンとして)には、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を改善し、起床時の疲労感を軽減する機能、作業時の一時的なストレス(イライラ感、緊張感)を緩和する機能が報告されています。
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ビタミン剤やサプリメントなどは、シワそのものを直接改善するものではありません。しかし毎日の食事で不足しがちな栄養素を補う手段の一つとして活用できます。
ビタミンCやビタミンB群などの肌の健康を支える栄養素については、必要に応じて補うことも選択肢の一つです。
ここからは、シワに関するよくある質問について回答します。
エイジングサインは40~50歳で現れるというイメージもあるかもしれませんが、シワ対策は年齢に関わらず、出来るだけすぐはじめましょう。20代くらいの若い時にはできるだけ予防をすることが大切です。30代以降からはそれまでの影響を受けてシワとして表面化してきます。40~50代からはシワが深く定着化してしまいますので、進行を遅らせるためのケアを意識しましょう。
また、年齢を問わず、エイジングサインや肌の変化を感じたときもケアを見直すタイミングといえるでしょう。
シワとしみは原因が異なる部分もありますが、紫外線対策や保湿など、基本となるケアが共通している点もあります。そのため、日々のスキンケアや生活習慣を見直すことで、両方を意識したケアを行うことが可能です。
ナイアシンアミドのように、シワケアや美白ケアの両方に関わる成分が配合された薬用化粧品もあるため、肌悩みに合わせて選ぶことがポイントです。
また、紫外線対策や保湿、栄養バランスの良い食事、質の高い睡眠、ストレスケアなどを組み合わせて行うことで、肌を意識した総合的なケアにつながります。

シワは、乾燥や紫外線、加齢、表情のクセといった複数の要因が重なって生じます。種類や原因を正しく理解し、それぞれに合ったケアを継続的に行うことが大切です。
ナイアシンアミドやトラネキサム酸・ビタミンC誘導体などの目的に応じた成分を取り入れたスキンケアや、紫外線対策、摩擦を避けるケアを心がけましょう。一方で、バランスの良い食事やこまめな水分補給、質の高い睡眠を意識することもポイントです。
シワのケアは一度のケアで大きく変化するものではなく、日々の積み重ねが大切です。自分の肌状態やライフスタイルに合った方法を無理のない範囲で継続しながら、必要に応じて皮膚科などの専門機関に相談することも検討しましょう。
シワのケアで大切なのは、年齢に伴う変化を無理に「なくす」ことではなく、「これ以上深くならないように整えていく」ことです。
乾燥や紫外線といったシワの進行に関わる要因に対して、保湿や紫外線対策といった基本的なケアを継続することに加え、肌の状態やシワの種類に応じたケアを無理なく取り入れることが、将来の肌状態にも影響すると考えられます。シワのケアは、短期間で変化を実感できるものではなく、日々の積み重ねが大切です。だからこそ、ご自身のライフスタイルに合わせて「無理なく継続できるケア」を選びながら、焦らずご自身の肌と丁寧に向き合っていきましょう。
■参考文献
高橋書店,2021「正しい知識がわかる 美肌事典」
高橋書店,2012「一生ものの美肌をつくる 正しいエイジングケア事典」
エヌ・ティー・エス,2006「皮膚の抗老化最前線」
医学書院,2013「標準皮膚科学 第10版」