[四十肩、五十肩]
正式名称は肩関節周囲炎といいます。加齢に伴い、肩関節とその周辺の組織が慢性的な炎症を起こし、腕を上げたり、腕を後ろに回したりする動作が痛みのために制限されます 。じっとしていても、夜中に眠れないほど痛むこともあります
肩の痛みは、程度によって6カ月~1年半ほどで回復しますが、回復を早めるには肩の軽い運動を行うのが効果的です。痛さのあまり動かさないままにしておくと、肩の動きが悪くなってしまう可能性があります。
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 四十肩・五十肩
[変形性頸椎症]
首の骨と骨の間をつなぐ椎間板の弾力が加齢に伴い減少することで起こります。弾力が減少すると、椎間板に接している椎骨がトゲのように変形します。このトゲが、頸椎の間から肩に向かって出る脊髄神経を圧迫して刺激し、これにより首から肩甲骨、腕、手指にかけて強い痛みやしびれの症状があらわれます。
[更年期障害]
閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にトラブルが起きることがあります。この時期にあらわれる自律神経失調症に似たさまざまな症状を更年期障害といいます。
症状には、肩こりや疲れ、だるさ、のぼせやほてり、イライラや不安感などがあり、仕事や家事などの日常生活に支障をきたす場合が少なくありません。
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 更年期障害
[高血圧症]
遺伝や肥満、塩分の摂り過ぎなどの生活習慣が原因で収縮期(最大)血圧140mmHg以上、拡張期(最低)血圧90mmHg以上が続く状態です(日本高血圧学会2019)。高血圧症は、狭心症、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、脳出血など重篤な病気を引き起こす可能性があります 。自覚症状がない場合が多く、肩こりや動悸、のぼせ、息切れなどの症状があらわれることがあります。
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 血圧が高めである
[低血圧症]
遺伝や病気などが原因で起こるといわれていて、一般的には収縮期血圧が100mmHg未満の状態です 。多くの人が立ちくらみ、めまいを感じます。また、肩こり、だるさ、疲れ、頭痛、寝起きが悪いなどの症状が起こることがあります
この疾患・症状に関連する情報はこちら。 血圧が低めである
[狭心症]
心臓をとり囲む血管が動脈硬化によって詰まると、血液の流れが悪くなり、心臓の筋肉が酸素不足を起こします。典型的な症状は胸が締め付けられるような痛み ですが、関連痛(放散痛)として、肩などの心臓とは別の場所に症状を起こすことがあります。
例えば、肩こりを突然感じたり、胸の締め付けと同時に肩にも痛みが広がる発作が数分間続いたりすることがあります。
[心筋梗塞]
心臓をとり囲む血管が動脈硬化によって完全に詰まって、血流が途絶える状態です。胸に激痛の発作が起こり、呼吸困難や吐き気、冷や汗などを伴うことがあります。痛みは20分以上続き、激痛は胸だけではなく、肩、腕、胃のあたりに起こることもあります。
[肩こりに隠れたその他の病気]
肩こりはさまざまな病気の前兆であることがあります。肩こりに隠れたその他の病気のうち、主なものとして下記が考えられます。
片頭痛、解離性大動脈瘤、肝臓疾患、胆石症、膵炎、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、視力障害、内耳・外耳などの炎症性疾患、副鼻腔炎、顎関節症、心身症、うつ病など 。疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。
肩こりの治療法
肩こりの治療には、マッサージ療法、温熱療法、運動療法、装具療法、理学療法、ペインクリニック(神経ブロック;肩こりの症状が強い箇所等の神経やその周辺に麻酔薬やステロイドホルモンを注射し、痛みやこりをとる治療法)、薬物療法などがあります 。また、痛みの原因と考えられる筋膜(筋肉を包む膜)に働きかける筋膜治療もあります。
ただ、まずは、日常でできる予防法を目指しましょう。肩こりを重篤な持続症状にしないことが大切です。